オーダースーツ業界の変化の理由をひも解く|業界が今求められている価値とは
2025.08.12

この記事の所要時間:約7分
クールビズの浸透やコロナ禍により、スーツの需要は大きく変化しつつあります。
「とっておきのおしゃれなスーツを、カッコよく着こなしたい」
「快適性を重視したスーツを着たい」
このようなニーズが聞かれるなか、特に注目されているのが、オーダースーツです。
本記事では、オーダースーツ業界が好調な理由や、需要の変化を考察します。オーダースーツ業界が今後更なる発展を遂げるためには、どのような価値を提供していく必要があるのか、一緒に探っていきましょう。
1. オーダースーツ業界|値上げしつつも好調な現在

コロナ禍により需要が減少したといわれるスーツ業界が、近年回復の兆しを見せています。
主な紳士服企業7社の、2023年度売上高合計は3,600億円で、これは2022年度と比べて約4%増となっています。直近では、2024年度の新入学や入社式向けのスーツの売れ行きが好調なようです。このことから、コロナ禍で滞っていた経済活動が、徐々に正常な状態に戻りつつあることがわかります。
洋服の青山を全国展開する青山商事に限っていえば、2023年度売上高合計は1,945億円で、これは2022年度と比べて約4.8%増となっています。
なかでもオーダースーツブランド 「Quality Order SHITATE(クオリティーオーダー・シタテ)」が、オーダースーツの需要にマッチしたことにより、幅広い世代の方から支持されています。
消費者のこだわりや個性を反映できるオーダースーツは、スーツ業界の更なる発展の鍵となるでしょう。
参考:株式会社帝国データバンク|上場「スーツ・紳士服 7 社」動向調査
2. オーダースーツ業界が好調な3つの理由


ここでは、オーダースーツ業界が好調な理由を詳しく解説します。なぜオーダースーツが注目されているのか、深掘りしていきましょう。
2-1. コロナ禍が生み出したスーツへのこだわりの変化

オーダースーツ業界が好調な理由として、コロナ禍による生活環境の変化が挙げられます。在宅勤務の普及により「スーツは特別な機会にのみ着用するもの」という声があがるようになったのです。
この変化は、2005年に提唱された「クールビズ」にも通ずるものがあります。クールビズをきっかけに「スーツは必ず着るべきもの」という概念が取り払われました。
スーツ着用の機会が減った分「ここぞというときには、値段が高くてもよいものを身に着けたい」と思う方が増えたことが、オーダースーツの需要増につながったのでしょう。
2-2. 若年層のオーダースーツ需要

オーダースーツ業界が好調な理由として、若い世代の購入増加が挙げられます。
近年、働き方の多様化が進み、オフィスカジュアルやラフな私服で働く職場が増えています。そのため、ここぞというときの服装選びに悩む若者が増加しています。このような環境が後押しし、自身のこだわりを反映できるオーダースーツが、支持されるようになったのではないでしょうか。
オーダースーツは、生地や裏地、ボタンなどを自由に選べるため、自身のセンスを存分に発揮できます。この自由さが、個性を出したい若者たちの心をつかんだのでしょう。
現在、オーダースーツは自分らしさを表現するツールとして、若者に認識されつつあるのです。
2-3. オーダースーツの敷居の高さが現在はより気軽なものに

オーダースーツ業界が好調な更なる理由として、オーダースーツの敷居の高さが下がり、よりカジュアルなものへと変化したことが挙げられます。
近年、自分の体型にフィットしたスーツを、気軽に購入できる機会が増えました。オーダースーツに対する「高級で手が届かない」というイメージが薄れたことにより、多くの方がオーダースーツを、より身近に感じられるようになったのです。
さらに、高級品として認識されていたオーダースーツが、手頃な価格で提供されるようになったことも、身近に感じられるようになった理由の一つです。
例えば、洋服の青山が展開するオーダースーツブランド「Quality Order SHITATE(クオリティーオーダー・シタテ)」では、ハイクオリティのスーツを3万円程度の価格からオーダーできます。
オーダースーツが身近なものになったことで「スーツはオーダーで買う」という考えがスタンダード化しつつあります。この変化が、オーダースーツ業界の好調につながっているのでしょう。
3. これまでのスーツの歴史からひも解く需要の変化


ここでは、スーツの歴史をさかのぼりながら、消費者の需要がどう変化していったかを詳しく解説します。
3-1. 高級品の象徴だったスーツに多様化を求める声

日本のスーツの歴史は、幕末から明治時代にかけての軍服が由来だといわれています。
高度成長期といわれた時代、スーツは熟練した職人によるオーダーメイドスーツのみだったため、いわゆる高級品として一般人には到底手が届かないものでした。
技術が進歩するようになったバブル期を迎える頃には、高級品だったスーツがより手頃な価格で購入できるようになり、色柄のバリエーションが増え始めます。
2000年頃になると、それまでのゆったりとしたスーツからタイトなスーツへとトレンドが移行し、クールビズの一般化とともに、機能性を重視したスーツの量産時代に突入します。同じ生地のパンツを2本付けた2パンツスーツや、形態安定素材などが登場したのは記憶に新しいでしょう。
このように、高級品の象徴だったスーツが、機能性へのニーズに応えるスーツへと変化していった様子がわかります。
3-2. スーツのエイジレス化による支持層の平準化

スーツの需要に変化が現れている理由の一つに、スーツのエイジレス化が進んでいることが挙げられます。シニアにはシニア向けのスーツ、若者には若者のスーツと、年代によって大きく異なっていたスーツスタイルが、近年では年代の境界線が曖昧になりつつあります。
例えば、若者にしか受け入れられなかったコスパ重視のスタイリッシュなスーツがミドル層の年代に注目されたり、クラシックな英国スタイルのスーツを若者が好んで着用するようになったりしているのです。
支持層が平準化し、幅広い年代からのスーツ需要が見込まれるなか、オーダースーツ業界は、多様な顧客層の獲得に成功していると考えられます。
4. オーダースーツ業界に今後求められているもの
ここでは、オーダースーツ業界が発展していくために、今後求められているものを解説します。
4-1. オーダースーツがもたらす魅力の発信

オーダースーツ業界が今後更なる発展を遂げるためには、オーダースーツがもたらす魅力を積極的に発信していくことが重要です。
オーダースーツの需要増加の背景には「自分だけの特別な1着を手に入れたい」という、スーツに対する消費者の価値観の変化があると考えられます。
在宅勤務の普及やクールビズの浸透により、スーツを着用する機会が減少したことで、スーツの必要性を疑問視する声があることは事実です。しかし、そのような状況下でこそ、オーダースーツが持つ価値観を伝えていくことが大切なのではないでしょうか。
オーダースーツは、自分のこだわりを反映できるのが最大の魅力です。その魅力を「スーツは必要ない」と考える方たちにも届けることで、スーツの新たな可能性を示すことができるはずです。
4-2. こだわりを求める顧客ニーズへの対応
オーダースーツ業界が今後更なる発展を遂げるためには、こだわりを求める顧客ニーズに寄り添う対応力が必要だと考えられます。
近年、SNSの普及により、消費者はさまざまな情報を簡単に入手できるようになりました。この機会を活かすことができれば、消費者とのコミュニケーションを通じて、トレンドや好みの変化を素早くキャッチできるでしょう。
ライフスタイルの多様化が進み、消費者のスーツに対する要望は、多岐にわたっています。
オーダースーツ業界は、こだわりを求める顧客ニーズへの、より柔軟な対応が期待されています。
5. まとめ

本記事では、オーダースーツ業界が好調な理由を中心に、スーツ需要の変化の実態や、オーダースーツ業界に今後求められているものなどを解説してきました。
クールビズの浸透や働き方の多様化により、スーツは、着ざるを得ないものから、自分らしさを表現するツールへと変化しました。このような、スーツに対する消費者の価値観の変化が、オーダースーツ業界が好調な理由につながっています。
洋服の青山が展開するオーダースーツブランド「Quality Order SHITATE(クオリティーオーダー・シタテ)」では、高品質なスーツを、3万円前後のお値打ちな価格からオーダーできます。
プロのスタイリストによる丁寧なカウンセリングは、オーダースーツ作りが初めての方にも好評です。ぜひ、特別な1着を仕立てに出かけてみてはいかがでしょうか。




