就活において一部企業で実施されている作文試験は、企業が学生の価値観や思考力を知るために行う重要な選考のひとつです。限られた時間・文字数のなかで、自分の考えをわかりやすく説得力をもって表現する力が求められます。記事では、作文の基本構成や読み手に伝わる文章作成のコツ、そしてテーマ別の800文字例文を解説します。
この記事でわかること
- 就活の作文試験は、本人の思考力や価値観、人柄を知るために実施される
- 作文は「導入・本文・まとめ」の基本構成に沿って書く
- 作文で独自性を出すには、抽象論で終わらず、自分の体験・行動に落とし込むことが重要
就活での作文試験とは?
就活で行われる作文試験は、企業が学生の思考力や表現力、価値観などを確認するために課す文章作成の課題です。与えられたテーマに対して自分の考えを整理し、限られた文字数と時間内で、読み手にわかりやすく伝える必要があります。
作文試験の実施方法は、大きく2つに分けられます。1つ目は書類選考時に作文を提出するパターンで、ES(エントリーシート)の設問が作文形式になっている場合や、ESとは別に作文を提出する場合があります。2つ目は適性検査や筆記試験と同日に実施されるパターンで、その場で提示されたテーマについて手書きまたはPC入力で作文を書く形式です。

単に文章がうまいかどうかだけではなく、自分の考えを順序立てて伝えられるかがポイントになります。
企業が就活で作文試験を実施する目的
作文試験を行う目的は企業によってさまざまですが、多くの場合で次のような目的があります。
- 論理的な文章構成ができているかを確認するため
- 思考力を判断するため
- 価値観や人柄を把握するため
論理的な文章構成ができているかを確認するため
企業がまず注目するのは、文章の流れが整理され、筋道を立てて説明できているかです。作文では、限られた文字数のなかで、自分の考えを読み手にわかりやすく伝える力が求められます。話の筋が一貫しているか、論点が途中でズレていないか、不要な情報を省き簡潔にまとめられているかが重要なポイントです。
また、段落構成や接続詞の使い方、改行のタイミング、文の長さや語彙選びといった基本的な文章力も確認しています。誤字脱字や敬語の誤用があると、細やかな配慮や丁寧さが不足していると受け取られる場合もあります。
思考力を判断するため
企業は作文試験を通じて、学生の考える力を知りたいと考えています。与えられたテーマに対して、自分なりの意見を持ち、それを根拠とともに論理的に組み立てて説明できることがポイントです。
自身の経験や視点を踏まえて「なぜそう考えるのか」を明確に示すことで、読み手に伝わりやすくなります。
価値観や人柄を把握するため
「学生がどんな価値観を持ち、どんな人柄なのか」を知る目的で作文を行う場合もあります。作文は本人の価値観が表れやすく、企業理念や社風にマッチする人物かどうかを判断するための材料になるでしょう。
例えば「仕事をするうえで大切にしていること」というテーマの作文では、「チームワークを大切にしている」「挑戦することに価値を感じている」など、本人の価値観や志向を読み取ることが可能です。

文章の書き方や表現からも、その人の誠実さや丁寧さ、相手への配慮といった人柄が伝わりますよ。
作文を書くときの基本構成
就活の作文は、構成を意識して書くことで、限られた時間と文字数でも読みやすく意図が伝わる文章になります。次の3つの流れで組み立てると効果的です。
1. 導入:テーマに対する結論や自分の考えを簡潔に述べる
最初に、与えられたテーマに対して自分の考えや主張を明確に示します。背景説明を冒頭から長々と書くのではなく、「私は○○と考えます」と一文で結論を提示するのがポイントです。結論を先に述べることで、話の全体がわかりやすくなります。
2. 本文(展開・理由付け):結論の根拠となる理由や具体的なエピソードを書く
導入で述べた考えを補強するために、理由や具体例を挙げて展開します。自分の経験を踏まえたエピソードを用いながら「なぜそう考えるのか」をわかりやすく説明しましょう。
1つの理由だけでなく、「理由→具体例」をワンセットにして、必要に応じて複数の理由や別の角度からの具体例も加えると、文章の内容がより充実します。こうすることで読み手にとって理解しやすくなり、指定された文字数にもあわせやすくなります。
構成例
理由1:「相手に寄り添うことで、信頼関係が築けると考えるためです。」
具体例1:「実際に、アルバイト先で……」
理由2:「また、立場の違いを理解することは、課題解決にもつながると考えています。」
具体例2:「ゼミ活動では……」
3. まとめ:自分の考えを再度整理する
最後に、もう一度テーマに対する自分の考えを簡潔に整理して伝えます。
テーマによっては、「入社後にどう活かせるか」「自分がどのように貢献できるか」まで触れると、一貫性のある締めくくりになります。例えば、「だから私は○○を大切にし、その姿勢を活かして働きたいと考えています。」とまとめれば、文章全体がきれいに締まります。
就活の作文試験で出題されるテーマ例
就活の作文試験では、学生の価値観や考え方、行動の背景を知るために幅広いテーマが出題されます。ここでは代表的なテーマ例をまとめました。
- 学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)
- 入社後に挑戦したいこと
- 仕事で大切にしたい価値観
- 失敗経験・挫折経験から学んだ経験
- AI・DX時代に発揮できる自分の強み
- チームで成果を出すために必要なこと
- 興味ある社会課題と解決策
- 理想のリーダー像
- 挑戦と安定、どちらを選ぶか
- 企業理念に共感した理由
- 自分の長所と短所、それをどう活かすか
- 将来描くキャリアプラン
- モチベーションを高めるために意識していること
- 働くうえで欠かせないと思うスキル
- あなたが考える理想のチームワーク
- あなたにとっての「働く意味」

志望企業のWebサイトに掲載されている選考情報も確認してみましょう。過去にどんなテーマの作文課題が出題されたか確認できる場合があります。
就活で出される800文字作文の例文集【テーマ別】
次の10テーマにおける、800文字作文の例文を紹介します。
- 学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)
- 入社後に挑戦したいこと
- 仕事で大切にしたい価値観
- 失敗経験・挫折経験から学んだ経験
- AI・DX時代に発揮できる自分の強み
- チームで成果を出すために必要なこと
- 興味ある社会課題と解決策
- 理想のリーダー像
- 挑戦と安定、どちらを選ぶか
- 企業理念に共感した理由

この記事の例文を参考にしつつ、企業が指定する文字数にあわせて、内容の具体性を変えて文字数を調整してみてください。
学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)
例文
私は、大学2年生のときに所属していたゼミでのグループ研究活動に力を注ぎました。特に、学外コンペへの参加を目指したプロジェクトでは、リーダーとしてメンバーをまとめ、成果を形にすることに尽力しました。
当初、メンバー間で研究テーマの方向性がまとまらず、議論が長引く場面が続きました。それぞれの関心分野が異なり、意見が交わされるものの結論が出ない状況に、私は強い危機感を覚えました。このままでは期限内に成果物を完成させられないと考え、まず全員の意見をホワイトボードに書き出し、共通点と相違点を整理しました。そのうえで、コンペの評価基準と照らし合わせながら、現実的かつ魅力的なテーマを絞り込み、最終的に「地域活性化を目的とした観光施策」という案に決定しました。
方向性が定まったあとは、効率的に作業を進めるために役割分担を明確にしました。調査班・資料作成班・プレゼン班の3つに分け、それぞれの進捗を週1回のミーティングで共有する仕組みをつくりました。ミーティングでは進捗確認だけでなく、作業の進め方や困りごとを自由に話せる雰囲気づくりも意識しました。また、作業が遅れがちなメンバーには、負担を減らすためのサポートや代替案を提案し、全員が無理なく取り組める体制づくりを心がけました。
その結果、期限内に発表資料を完成させることができ、コンペでは優秀賞を受賞しました。発表後、メンバーから「一体感を持って取り組めた」「意見を出しやすかった」という感想をもらい、自分の役割が成果だけでなくチームの雰囲気づくりにも貢献できたと実感しました。何よりも、意見が異なるメンバー同士でも、目的を共有しながら協力することで成果を出せるという学びが得られたことは、今後の大きな自信につながりました。この経験から、私は相手の意見を尊重しながら全体をまとめる姿勢の重要性を知りました。社会に出てからも、状況に応じた調整力とチーム運営の工夫を活かし、周囲と協力しながら成果を生み出していきたいと考えています。
ポイント
- 冒頭で「ゼミでのグループ研究活動」と具体的に提示し、テーマがぶれないようにしている
- 「意見をホワイトボードに書き出す」「役割分担を明確化」など、実際に取った行動を具体的に説明している
- 優秀賞の受賞という成果と「意見の異なる人とも目的を共有し協力できる」という学びを強調している
-
-
【例文9選】ガクチカとは?エピソードが思い浮かばないときの書き方も解説
ガクチカとは「学生時代に力を入れたこと」であり、書類選考や面接の質問で頻出します。アルバイトやゼミなどでの経験をガクチカとして伝えることは可能です。この記事では思い浮かばないときの対処法や、9つの例文などを紹介しています。
続きを見る
入社後に挑戦したいこと
例文
入社後は、貴社の不動産営業職としてお客様一人ひとりに最適な住まいを提案し、長期的な信頼関係を築くことに挑戦したいと考えています。不動産は生活の基盤であり、契約がゴールではなく、その後の暮らしの満足度が重要です。お客様の将来設計やライフスタイルを丁寧にヒアリングし、条件や予算だけでなく「そこでどんな暮らしができるか」まで提案できる営業を目指します。
この目標を持つきっかけは、学生時代に参加した地域活性化プロジェクトです。地元商店街の集客課題をテーマに取り組み、現地調査や住民へのヒアリングを行いました。その過程で、「若い世代が地域に根付くためには、暮らしやすい住環境の整備が不可欠」という声を多く聞き、不動産が地域の魅力や人の流れを左右する大きな要素であることを実感しました。
さらに、貴社のインターンシップや会社説明会を通じて、不動産営業職の仕事は物件を販売するだけでなく、お客様のライフプランに寄り添い、最適な選択をサポートする役割があると知りました。説明会で聞いた「契約後も長くお付き合いが続く」という言葉は特に印象的で、長期的な信頼関係を築くことの重要性を強く意識するようになりました。また、インターンシップでは実際に物件資料作成やお客様への提案ロールプレイングを体験し、情報整理力やヒアリングの深さが成果に直結することを学びました。
入社後は、まず幅広い物件知識や住宅ローン制度、関連法規などの専門知識を身につけます。現場での商談や内覧対応を通して、お客様の本音を引き出す質問力や信頼を得る傾聴姿勢を磨きたいです。将来的には、契約件数や売上だけでなく「あなたにお願いしてよかった」と言っていただける営業を目指します。地域イベントや相談会にも積極的に参加し、暮らしに関する情報発信や住まいの悩み解決を通じて、会社と地域双方の信頼を高めたいと考えています。顧客からの紹介やリピート契約が自然と生まれる関係性を築き、地域に根差した営業として長期的に貢献できる存在になることを目指します。
ポイント
- 冒頭で「お客様一人ひとりに最適な住まいを提案し、長期的な信頼関係を築く」と述べ、営業職で実現したい姿を具体化している
- 契約後も関係が続く営業職の特徴や、提案業務に必要なスキルなど、業界理解の深さをアピールしている
- 入社後の知識習得計画(物件知識・住宅ローン制度・法規など)を具体的に書いている
-
-
面接やESで頻出!入社後にしたいことの例文と回答のコツを紹介【就活】
「入社後にしたいこと」は頻出質問ですが、具体的な内容を考えるのは難しいかもしれません。自分がなりたい人の歩んできたキャリアを見て、今の自分に足りないものを補うことを「したいこと・やりたいこと」として考えるのもおすすめです。職種・業種別の「入社後にしたいこと」の例文も紹介しています。
続きを見る
仕事で大切にしたい価値観
例文
私は、相手の立場に立って物事を考える姿勢を大切にして働きたいと考えています。相手が何を求めているのか、どうすれば満足してもらえるのかを意識して行動することが、信頼関係の構築や仕事の質の向上につながると感じています。
この価値観を持つようになったきっかけは、学生時代に参加した地域イベントの運営ボランティアです。私は広報担当として、SNSやポスターを使った集客を任されました。当初は自分の感覚や好みを優先してデザインや文章を作成していましたが、来場者アンケートの結果を見ると「情報が見つけづらい」「内容がわかりにくい」という声が多く寄せられました。このままでは集客につながらないと感じ、来場者層を想定して情報の見せ方を根本的に見直すことにしました。
まず、来場者の中心が家族連れであることを踏まえ、あたたかみのある色使いや写真に変更しました。文字のフォントやサイズも見やすさを重視し、イベントの開催日時やアクセス方法など必要な情報を最初に目に入る位置に配置しました。また、文章も専門用語を避け、初めて参加する人でも理解しやすい言葉を選びました。変更後は、イベント当日の来場者数が前年よりも2割増加し、アンケートでも「情報が見やすくなった」「家族で安心して参加できた」といった声が寄せられました。
この経験を通して、相手の視点に立つことは情報発信や提案内容の質を高め、成果にも直結することを実感しました。今後仕事をするうえでも、この姿勢を忘れず、取引先や同僚、利用者など立場の異なる人々の意見やニーズを理解しながら行動していきたいと考えています。相手が安心して任せられる存在となれるよう、丁寧な準備と柔軟な対応を重ね、信頼関係を築きながら成果を出せる人を目指します。
ポイント
- 地域イベントの広報という明確なエピソードを挙げ、価値観が生まれた経緯をわかりやすくしている
- 課題発見→情報整理と改善→結果という流れで、行動の成果を示している
- 来場者数の増加やアンケートの改善結果と、「相手の視点に立つことの重要性」という価値観を直結させ、説得力を高めている
失敗経験・挫折経験から学んだ経験
例文
私は、大学2年生のゼミで行ったグループ研究発表での失敗から、大きな学びを得ました。テーマは地域の観光促進策で、私はプレゼン資料の作成を担当しました。当初、限られた時間で多くの情報を盛り込もうとし、グラフや文章量を増やして見栄えをよくしようとしました。しかし、発表練習をしてみると、資料が複雑すぎて説明が長くなり、制限時間を大幅に超えてしまいました。
修正の必要性はわかっていたものの、発表の数日前までほかの授業やアルバイトの予定を優先してしまい、改善が後手に回りました。当日も時間配分を誤り、最後まで説明できずに発表が終了し、質疑応答でも要点がうまく答えられませんでした。メンバーからは「もう少し早く共有してほしかった」と指摘され、自分の準備不足とチーム全体への影響の大きさを痛感しました。
この経験をきっかけに、私は「情報は多ければよいわけではない」「期限から逆算して行動する」という2つの意識を持つようになりました。情報の取捨選択では、目的に沿って必要なデータやエピソードを絞り、見やすく整理することを心がけました。スケジュール管理では、課題の締め切りを小分けに設定し、進捗をチームで共有する習慣をつけました。
その後のゼミ活動やアルバイトでは、この改善策を実践しました。アルバイト先の新商品紹介ポスター作成では、掲載情報を3点に絞って訴求しました。また、デザイン案を早期に共有し、店長や同僚から「見やすくてわかりやすい」と評価をいただきました。
この失敗から得た学びは、社会人になっても重要だと考えています。貴社の営業職でも、情報を整理し短時間でわかりやすく伝える力や、納期を守るための計画性は欠かせません。今後も失敗を恐れず挑戦し、そのなかで得た改善点を次の行動に活かす姿勢を持ち続けたいと思います。
ポイント
- 「資料が複雑すぎた」「時間を超過した」などの事実ベースで説明し、状況がイメージしやすい
- 準備不足や優先順位の誤りなど、自分の行動のなかにある課題を明確化している
- アルバイトでのポスター作成事例を挙げ、学びが行動に活かされていることを証明している
AI・DX時代に発揮できる自分の強み
例文
私の強みは、AIを含むデジタルツールを活用して情報を効率的に整理し、誰にでもわかりやすく伝える力です。AI・DX時代では、大量の情報を迅速に処理し、意思決定や行動に結びつけられる形にする能力が求められると考えています。
この強みを培ったのは、大学3年時のゼミ研究とインターンシップでの経験です。ゼミでは、地域の観光資源を活用した集客施策をテーマに、統計データやSNS分析ツールを使って現状を把握しました。さらに、口コミ内容の分類や投稿傾向の抽出には、AIを用いたテキスト解析を活用し、短時間で大量のデータを整理しました。初めは情報量が多すぎて、メンバー全員が同じ方向性を共有できず、議論が停滞する場面もありました。そこで、AIで抽出した分析結果をもとに、重要度や影響度ごとに優先順位をつけて整理しました。さらに、要点を3つに絞ったプレゼン資料を作成し、会議冒頭で結論から提示するようにしました。この方法により、短時間で全体像を把握でき、議論がスムーズに進むようになり、研究発表では「課題が明確で実行可能性が高い」と高く評価されました。
インターンシップでは、貴社の営業支援部門で顧客データ分析を担当しました。AIによる自動集計機能を活用しつつ、現場担当者がすぐ行動に移せるよう補足情報や提案ポイントを加え、1枚で概要がわかる資料にまとめました。その結果、「時間が短縮でき、判断が早くなった」とお褒めの言葉をいただきました。
AIやDXの技術は効率化や高度な分析を可能にしますが、その結果をどう使うかは人の判断と工夫次第です。私は今後も新しい技術の習得に積極的に取り組みながら、AIを活用した効率的な情報整理と的確な情報共有を通じて、組織の成果に貢献していきたいと考えています。
ポイント
- ゼミ研究でAIによるテキスト解析や自動分類を用いたこと、インターンでAI集計機能を使ったことを具体的に記載し、説得力を高めている
- 短時間で全体像を共有できたゼミ活動、現場での判断時間を短縮したインターン成果など、AI活用が具体的な成果に結びついていることを示している
- 新しい技術の習得に積極的に取り組む姿勢を示し、入社後の成長意欲をアピールしている
-
-
DX人材に求められるスキルとは?5種類の人材と身につけたい技術・知識とおすすめの資格
DX人材とは、DX推進のためのスキルを持ち改革をしていく人材です。企業にDXを導入するためには必要な人材であり、業務の効率化、働き方改革の実現、競争力強化などを目指します。DX人材に必要なスキル、技術・知識を身につけられる資格などについて紹介します。
続きを見る
チームで成果を出すために必要なこと
例文
私が考えるチームで成果を出すために必要なことは、メンバー全員が目的を共有し、それぞれの強みを活かせる環境を整えることです。目的が明確でなければ方向性がぶれ、強みを活かせなければ能力が発揮されず、成果にはつながりません。
この考えを持つようになったきっかけは、大学3年時に参加した学外ビジネスコンテストです。私は5人チームのリーダーとして、地元商店街の集客施策をテーマに取り組みました。活動当初は、アイデアが多く出る一方で方向性が定まらず、議論が長引くことが課題でした。そこで、初回ミーティングで改めてコンテストの目的や評価基準を共有し、チーム全員でゴールイメージを明確にしました。
次に、各メンバーの得意分野を把握するため、各自の強みを振り返る時間とスキルを共有する時間を設けました。分析に強い人は市場調査、デザインが得意な人は資料作成、といった形で役割を割り振ることで、それぞれが得意分野で力を発揮できる体制を整えました。
さらに、週1回の進捗共有ミーティングを設定し、困っていることや新しいアイデアを自由に話せる雰囲気づくりを意識しました。特に意見が対立した場面では、事実データやアンケート結果をもとに客観的に判断するよう心がけました。この積み重ねにより、議論が建設的になり、チーム全体のモチベーションも高まりました。
最終的に、私たちの提案は「実現可能性が高い」と評価され、優秀賞を受賞しました。メンバーからも「自分の得意分野を活かせた」「最後まで一体感を持てた」という声を聞き、目的共有と環境づくりの重要性を改めて実感しました。
この経験を通じて、チームで成果を出すためには、明確な目的の共有と、それぞれの強みを発揮できる環境整備が欠かせないと学びました。今後も立場や背景が異なる人と協力する際には、この姿勢を意識し、チームとして最大の成果を生み出せるよう努めていきたいと考えています。
ポイント
- 「目的共有」と「強みを活かせる環境」という2つの要素を最初に提示している
- 進捗共有ミーティングの設定や意見交換の雰囲気づくりなど、チーム運営の具体的施策を盛り込んでいる
- 優秀賞という結果と「目的共有・環境整備の重要性」という学びを明確にリンクさせ、納得感を高めている
興味ある社会課題と解決策
例文
私が関心を持っている社会課題は、都市部と地方の人口格差による地域の衰退です。少子高齢化や若年層の都市部流出により、地方では働き手不足や商店街の空洞化が進み、経済や文化の維持が難しくなっています。特に生産年齢人口の減少は地域経済の縮小を加速させ、医療や教育、交通といった生活インフラの存続にも影響を与えています。
私が考える解決策の1つ目テレワークやサテライトオフィスの導入促進です。都市部と同等の働き方が地方でも可能になれば、地元に住みながら都市部の仕事に関わることができます。自治体や企業が協力して空き店舗や遊休施設を改装し、通信環境や設備を整えたコワーキングスペースを整備することで、地域に新しい働き方の拠点が生まれ、都市部からの移住や二拠点生活を選ぶ人が増えると考えます。
2つ目は地域の魅力発信を強化することです。単なる観光PRではなく、生活者の視点で医療・教育・交通・自然環境などの情報を発信することで、移住希望者が抱く不安を軽減できます。SNSや動画を活用し、実際に暮らしている人の声や日常風景を紹介すれば、生活のリアリティが伝わります。
3つ目に、地域内での産業連携と新規事業の創出です。例えば、地場産業とIT企業が連携してオンライン販売やデジタルマーケティングを強化すれば、地元特産品を全国に発信できます。また、農業と観光業を組み合わせたアグリツーリズムを展開すれば、農家の収入源が多様化し、観光客の滞在日数や消費額の増加にもつながります。こうした異業種のコラボレーションを自治体や商工会議所が支援することで、地域に新しい雇用機会が生まれ、若年層や子育て世代が安心して暮らしやすい環境が整うと考えています。
これらの施策は、人口流出の抑制だけでなく、地域経済の活性化や不動産価値の安定にもつながります。将来、不動産業界で働くなかで、住宅や事業用物件の提案を通じてこうした取り組みに関わり、地域の持続可能な発展に貢献していきたいと考えています。
ポイント
- 人口格差の背景(少子高齢化・若年層流出)や影響(経済縮小・インフラ維持困難)を具体的に書き、課題への深い理解を示している
- 解決策を①テレワーク環境整備 ②地域の魅力発信 ③産業連携と新規事業創出の3つに分けて整理している
- 不動産業界での具体的な関わり方を示し、志望動機やキャリアビジョンに自然につなげている
理想のリーダー像
例文
私が理想とするリーダー像は、「メンバーが最大限力を発揮できる環境を整え、方向性を明確に示す存在」です。
この考えは、学生時代のシステム開発ゼミでのプロジェクト経験から学びました。ゼミでは5名のチームで地域向け防災アプリの開発を行い、私はプロジェクトリーダーを務めました。当初、メンバー間で意見がまとまらず、仕様決定に時間がかかることが多くありました。私はまず全員の意見をヒアリングし、要望や懸念点を整理して優先順位をつけました。そのうえでタスク管理ツールを導入し、役割と期限を明確にすることで進行を可視化しました。また、週1回の定例ミーティングに加え、進捗が遅れそうな場合は個別にフォローするなど、柔軟な対応を心がけました。
さらに、チームの士気を高めるため、成果物の中間レビューを実施し、互いの成果を認め合う場を設けました。これにより、当初は発言を控えがちだったメンバーも積極的にアイデアを出せるようになり、結果として予定より2週間早くアプリを完成させることができました。
この経験から、リーダーは単に指示を出す人ではなく、メンバーが安心して挑戦できる土台を整え、互いの強みを活かせる環境をつくる存在であると実感しました。具体的には、次の4つができる人物だと考えています。
- 目標や役割を明確化する
- 必要な資料・ツール・情報を事前にそろえる
- 個々の強みを把握して活かす
- 失敗した際には責任を一人に負わせず、改善策を一緒に考える
今後、社会人として働くなかでも、このリーダー像を意識し自らがそうした存在に近づけるよう努力していきたいと考えています。
ポイント
- リーダーに必要な行動(目標設定、リソース提供、雰囲気づくり)を、自身のゼミでの事例として提示している
- 理想のリーダー像を4つの要素「目標明確化」「リソース提供」「強み活用」「責任共有」で体系的にまとめている
- 社会人になってからもこのリーダー像を意識し続けると結んでおり、成長意欲と再現性をアピール
挑戦と安定、どちらを選ぶか
例文
私は「挑戦」を選びます。もちろん、安定した環境は精神的な安心感をもたらし、長期的にスキルを磨くうえでも大切です。しかし、社会や市場が急速に変化する今、安定を守るためにも挑戦を続ける姿勢が必要だと考えています。
大学3年時、私はゼミ活動の一環で、地域活性化をテーマにした産学連携プロジェクトに参加しました。初めて外部の企業や行政の担当者と関わるなかで、求められる成果の水準の高さや、予定外の課題の多さに直面しました。当初は過去事例を参考にした提案にまとめようとしましたが、担当者から「既存案の焼き直しでは意味がない」と指摘されました。そこで、メンバーと共に一から企画を練り直し、現地調査やインタビューを重ねて独自性の高いプランを提案しました。結果として採用には至らなかったものの、「挑戦する過程で得られる学びの深さ」を強く実感しました。
挑戦は失敗のリスクを伴います。しかし、その失敗から得た知見は次の行動をより確かなものにし、結果的に安定につながります。安定だけを求める姿勢では、現状維持が精一杯になり、変化に対応できなくなる危険があります。一方で挑戦を重ねる人は、新しい環境にも順応しやすく、組織にとっても価値のある存在になれると考えます。
入社後は、食品メーカーの営業職として、消費者の多様な嗜好や食文化の変化に応えるため、新しい商品提案や販売方法に挑戦したいです。例えば、健康志向や環境配慮のニーズにあわせた商品ラインナップの拡充や、オンライン販売やSNSマーケティングを活用した販路開拓などです。現場での挑戦を通じて得た知見を社内に共有し、組織全体の営業力向上にも貢献していきたいと考えています。
挑戦は時に不安や迷いを伴いますが、それを乗り越えた先にこそ、自分自身の成長と組織の発展があると信じています。私は安定を守るためにも、挑戦し続ける社会人でありたいと考えています。
ポイント
- プロジェクトでの「既存案の焼き直し」から「独自プラン提案」への転換を通して、挑戦の価値を実感した経験を提示している
- 現地調査やインタビューなど、課題解決のために自ら動いた行動を細かく記載している
- 志望先である食品メーカーの営業においても、新しい販促手法や販路開拓などに挑戦し、顧客に新しい価値を提供する姿勢を示している
企業理念に共感した理由
例文
私は貴社の企業理念である「人と街をつなぎ、未来を築く」という言葉に強く共感し、志望いたしました。私にとって街づくりは、人々の暮らしの基盤を形づくり、世代を超えて受け継がれる価値を創る仕事です。貴社の理念は単に建物を建てるだけではなく、その先にある人々の幸福や地域社会の発展を見据えている点に魅力を感じました。
学生時代、都市計画ゼミで地域再生プロジェクトに参加した経験があります。空き店舗が増えた商店街に活気を取り戻すため、地域住民や自治体、学生が協力し、改修案を検討しました。そのなかで、私は住民の方々から「便利になることも大事だが、昔からの街並みや交流の場も残したい」という声を聞き、地域の文化や歴史を尊重することの重要性を学びました。
貴社の施工事例を拝見すると、耐震性や環境性能など最新技術の導入に加え、地域の景観や文化に溶け込むデザインを実現しており、単なる開発ではなく“まちの未来をデザインする”という姿勢が感じられます。これは、私がゼミ活動で学んだ「地域らしさを残しつつ新しい価値を加える」という考えと重なります。
また、貴社が掲げる「安全・安心の提供」を支えるための品質管理体制や、社員一人ひとりがプロジェクトの意義を理解して取り組む文化にもひかれました。建設業は多くの関係者が関わるため、一人でも理念から外れた行動を取れば、品質や安全性が損なわれるリスクがあります。理念を共有し、現場全員で実現していく貴社の取り組みは、長期的な信頼構築につながると感じます。
入社後は、営業職としてお客様のニーズや地域の課題を丁寧に把握し、それを設計・施工チームへ確実に伝える「橋渡し役」として貢献したいです。そして、貴社の理念に基づき、ただ建物を建てるのではなく、人々の暮らしと未来を見据えた提案を行い、街と人が共に成長できる環境づくりに携わっていきたいと考えています。
ポイント
- 貴社の理念を冒頭で引用し、その価値観と自分の経験(ゼミの地域再生プロジェクト)を明確に関連付けている
- 貴社の施工事例や品質管理体制など具体的な取り組みに触れ、理念理解の深さを示している
- 学生時代の経験→企業理念との共通点→入社後の貢献という流れで、志望理由の説得力を高めている
苦手でも大丈夫!作文を書くときに意識したいポイント
作文に自信がなくても、いくつかのポイントを意識することで落ち着いて書き進められます。ここでは作文を書くときに意識したいポイントを4つ紹介します。
結論ファーストで書き出し、論理的に展開する
企業の採用担当者は、限られた時間で多くの作文を読むため、冒頭で結論が曖昧だと内容が伝わりにくくなります。冒頭で「私は○○だと考えます」と結論を示し、その後に理由や具体例で肉付けするのが基本構成です。
基本構成である「導入→本文(理由・具体例)→まとめ」を意識すると、論理的にまとまりやすくなります。
企業が何を重視しているのかを意識して書く
就活の作文では、「そのテーマを通じて企業側が何を知りたいのか・何を判断しようとしているのか」を理解して書くことが重要です。企業が課題を出す意図と大きくずれた内容にならないよう意識してみましょう。
例えば、作文テーマが「学生時代に力を入れたこと」であれば、行動力や課題解決力、主体性などを知りたいと考えていることが多く、「仕事で大切にしたい価値観」の場合は、企業理念との相性を知りたいと考えていることがあります。

作文テーマの意図を意識し、自分の経験や考え方を効果的に伝えることが大切です。
抽象論で終わらず、自分の体験・行動に落とし込む
作文でありがちなのが、「協調性が大切だと思います」「挑戦する姿勢が必要です」といった、誰でも書ける抽象論だけで終わってしまうことです。
採用担当者は、その考えに至った背景や行動のプロセスも知りたいと考えているため、「自分が過去にどう考え、どう行動し、どんな結果や学びを得たのか」まで具体的に掘り下げて書くことが重要です。
自分の経験を書く際は、「背景(状況説明)」→「課題(問題点)」→「行動(工夫や取り組み)」→「結果と学び」の流れを意識すると、より伝わりやすい文章になります。
誤字脱字・言葉遣い・読みやすさに注意を払う
作文に誤字脱字や不自然な言葉遣い、読みにくさがあると、企業側が「丁寧さが足りない」「業務でもケアレスミスをするかも」と受け取る可能性があります。作文を書く際には必ずダブルチェックをして、ケアレスミスをなくした状態で提出しましょう。
作文のチェックポイント
- 語尾は「です・ます」または「である」に統一する
- 1段落は4〜5行を目安に分け、1文は50文字前後にまとめる
- 接続詞(しかし・そのため・例えば)を活用して論理の流れを明確にする
- 誤字脱字や文のつながりを確認する
就活の作文にAIを効果的に活用する方法
事前に作文を提出するタイプの選考では、ChatGPTなどのAIをうまく活用する方法もあります。ここでは、準備の効率化に役立つAIの使い方を紹介します。
まずはAIに作文のたたき台を作ってもらう
自分の経験や考え、エピソードをどのように文章化すればよいか迷ったときは、AIに構成案や下書きを出してもらうと整理しやすくなります。
このとき大切なのは、文章化したい自分の考えや経験をできるだけ具体的に言語化して伝えることです。曖昧な指示では、どうしても抽象的な作文になってしまいます。
プロンプト例
〇〇業界・〇〇企業における、就活の選考での作文課題を作成します。次のエピソードを使って、800字の作文を作成してください。
【エピソード】学校のゼミでリーダーとしてグループ発表をまとめた。メンバーとの意見調整に苦労したが、役割分担を工夫して成功に導いた。
AIの出力を自分の言葉に書き換える
AIは便利な反面、出力する文章が抽象的で無難な表現になったり、自分の意図と少し違った内容になったりすることがあります。そのまま提出すると、志望度や熱意が伝わりにくく、自分らしさが感じられない作文になってしまう可能性もあります。そこで、AIが作った文章の流れや表現を参考にしながら、自分の言葉でアレンジすることが大切です。
自分の言葉へ書き換えるポイントは、自分の実体験に言い換えること、当時の自分の感情を加えることです。
自分の実体験に言い換える
【AI出力】
「私はチームワークを大切にし、周囲と連携して取り組みました。」
【自分の言葉】
自分の言葉:「議論が行き詰まったとき、私はまず全員の意見を書き出すことで混乱を整理しようと考えました。」
自分の感情を加える
【AI出力】
「意見の対立がありましたが、全員で話し合い解決しました。」
【自分の言葉】
「最初は自分の考えを押し通したい気持ちもありましたが、全員が納得する形がベストだと気づき、意見調整に徹しました。」
こうした修正を加えることで、文章に自分らしさや実感がこもり、読み手に伝わりやすくなります。
-
-
志望動機の作成・添削にChatGPTを活用!使えるプロンプトやバレる可能性を解説
ChatGPTで志望動機を作成する際、生成された文章をそのまま使うのではなく、自分の経験や考えなどを加え、自分の言葉に置き換えることが大切です。この記事では、ChatGPTで志望動機を作成するやり方やプロンプト、注意点などを紹介します。
続きを見る
-
-
就活で生成AIをフル活用!ESや企業研究、面接練習の効率アップ術
生成AIは、就活の情報収集やESや履歴書の作成などに活用できます。この記事では、就活で生成AIを活用するメリットや具体的な使い方、リスクや注意点などを詳しく解説します。プロンプト例も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
続きを見る
よくある質問
就活の作文試験で気をつけることは何ですか?
作文では、結論を先に示し、理由や具体例で裏付ける構成を意識してみましょう。企業がそのテーマを通じてどんな点を知ろうとしているのかを考え、自分の経験や考え方を絡めて書くと内容に一貫性が生まれます。
就活の作文で書式自由の場合、どう書けばいいですか?
書式が自由でも「導入→本文→まとめ」の流れを意識すると読みやすくなります。段落は4〜5行ごとに分け、1文は50文字前後を目安にすると文章がすっきりします。見やすい構成にすることで、内容がより伝わりやすくなります。
就活の作文試験で出題されるテーマの例は?
就活の作文試験で出題されるテーマの例は、次のとおりです。
- 学生時代に力を入れたこと
- 仕事をするうえで大切にしたい価値観
- 困難を乗り越えた経験
- チームで成果を出した体験
- 最近関心を持った社会問題とその理由
詳しくは「就活で出される800文字作文の例文集【テーマ別】」をご覧ください。
