効率よく企業分析を進めたいときに役立つのが「ChatGPT」です。情報の整理はもちろん、企業の強みや弱みの把握、同業他社との比較、さらにフレームワークを用いた分析まで幅広く対応できます。本記事では、企業分析にChatGPTを活用するためのプロンプト例と、就活での活かし方を詳しく解説します。
この記事でわかること
- ChatGPTが得意なことは情報の要約・整理・比較
- プロンプトを工夫すれば、必要な情報を効率的に引き出せる
- 得た情報はそのまま使わず、自分の言葉に整理して就活に活かすことが大切
※2025年9月時点の情報です。
ChatGPTで企業分析を効率化してみよう!
「ChatGPTで企業分析/企業研究は本当にできるの?」と不安に思う方もいるかもしれませんが、工夫して使えば就活の企業研究を大きく効率化できるでしょう。
ただし、出力をそのまま鵜呑みにせず、公式情報で裏付けを取りながら活用することが大切です。ここでは、ChatGPTで企業分析を行ううえで知っておきたい、ChatGPTが得意なこと・苦手なことを解説します。
ChatGPTが得意なこと:要約・整理・比較
ChatGPTは、大量の情報を短時間で整理するのが得意です。就活の企業分析においては、次のような活用が効果的です。
ChatGPTが得意なこと
- 要点の抽出:IR(Investor Relations)情報やニュース記事を要約し、「事業内容・強み・課題」を簡潔に整理できる
- 比較の整理:複数社を並べて入力することで、同業他社との違いや差別化要因を表形式で提示できる
- 視点の発見:自分では気づかなかった分析の観点を補足してもらえる
こうした活用により、自分の考えを整理しやすくなり、志望動機や自己PRに落とし込みやすくなります。
ChatGPTが苦手なこと:正確性・最新情報
ChatGPTは、事実の正確性や最新情報の反映に弱点があります。
ChatGPTの注意点
- 数値や日付の誤り:売上高や利益率などが正確でない場合がある
- 最新ニュースの反映遅れ:直近の開示情報や話題を拾えないことがある
- 根拠のない推測:実際の事実に基づかない表現が含まれるケースもある
ChatGPTで得た情報は公式サイト・有価証券報告書・プレスリリースなどの一次情報と照らし合わせて確認することが重要です。正確性を担保することで、安心して面接やES(エントリーシート)に活かせます。
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企業分析の情報整理に使えるプロンプト【基本編】
企業分析を始めるにあたって、まずは会社概要や強み・弱み、同業他社との違いといった基本情報を整理しておくことが大切です。ChatGPTを使えば、これらの情報を短時間でわかりやすくまとめられ、効率的に企業理解を進めることができます。ここでは、企業分析の情報整理に使える4種類のプロンプトを紹介します。

実際のChatGPTでそのまま使えるので、今日からすぐに活用できますよ。
会社概要を整理するプロンプト
企業分析で初めに確認しておきたいのが「会社概要」です。設立年や事業内容、主要な商品やサービスを把握することで、その企業がどの領域で価値を生み出しているのかが明確になります。
さらに、URLやPDFを指定して入力すれば、ChatGPTがその資料をもとに整理してくれるため、情報の取りこぼしを減らせます。
基本のプロンプト(指示文)
次のURLの内容を参照して、〇〇株式会社の会社概要を整理してください。
https://〇〇.co.jp/company/about/
以下の観点ごとに箇条書き形式で出力してください。
・設立年
・本社所在地(都道府県+市区町村まで)
・おもな事業内容(3点以内で簡潔に)
・代表的な商品・サービス(商品名やブランド名があれば明記)
・主要顧客層(BtoBかBtoCか、具体例も添える)
・〇〇
・〇〇
上記のプロンプトに項目を足すことで、さまざまな要素を出力できます。知りたい情報、分析したい情報に応じて追加し、プロンプトをアレンジしてみましょう。
▼企業分析に使える項目
| 区分 | おもな項目例 |
|---|---|
| 基本情報 | ・設立年 ・本社所在地 ・従業員数 ・売上高・営業利益 |
| 事業・商品 | ・事業内容 ・代表的な商品・サービス ・ビジネスモデル(BtoB・BtoCなど) |
| 市場・顧客 | ・主要顧客層 ・海外展開の有無 ・業界内でのシェアやポジション |
| 企業姿勢 | ・経営理念や企業ビジョン ・企業文化や働き方(平均年齢・男女比・キャリアパスなど) |
| 直近の動向 | ・最近のトピック(投資・新規事業・提携・不祥事対応など) ・今後の成長戦略(中期経営計画など) ・業界トレンドとの関わり |
「まずざっくりと全体像をつかみたい」というときは、ChatGPTに200字程度でまとめてもらうのも便利です。
プロンプト例
次のURLの内容を参照して、会社概要を200字で要約してください。
https://〇〇.co.jp/company/about/
要約には設立年・事業内容・経営理念を含めてください。

まずは基本情報をChatGPTでまとめ、自分の関心に沿って深掘りすると理解が一段と深まりますよ。
強み・弱みを整理するプロンプト
企業分析では、その企業の強み・弱みを整理しておくことが欠かせません。強みを理解することで志望動機に説得力を持たせられ、弱みを把握することで入社後の視点や将来性を語る土台になります。
ChatGPTを活用すれば、公式Webサイトや公開資料、ニュース記事などを参照しながら、企業の強みと弱みの仮説を提示してくれます。
プロンプト例
次のURLの内容を参照して、会社概要を200字で要約してください。
〇〇社の強みと弱みを以下の条件で整理してください。
企業URL: https://◯◯.co.jp/
出力形式
強み(3点)
・各項目は50字以内
・必ず「根拠(具体的な事例・実績・データ)」を一文添える
弱み(3点)
・各項目は50字以内
・必ず「背景(業界構造・市場動向・同業他社との比較)」を一文添える
ChatGPTが提示した内容をもとに、自分で企業の最新IR情報や業界レポートを確認すれば、より信頼性の高い分析が完成します。
同業他社比較を行うプロンプト
企業単体の理解に加え、同業他社比較を行うと企業の立ち位置がより明確になります。ChatGPTは複数社の情報を同じ観点で整理するのが得意です。顧客層や提供価値、収益モデルを比較することで同業他社との差別化ポイントが浮き彫りになります。
プロンプト例
次のURLの内容を参照して、会社概要を200字で要約してください。
〇〇社と△△社、□□社を以下の観点で比較してください。
企業URL:
https://◯◯.co.jp/
https://△△.co.jp/
https://□□.co.jp/
出力観点
・おもな顧客層(BtoB/BtoC、業界・地域)
・提供している価値(機能・価格・サービス面)
・収益モデル(製品販売型、サブスク型)
・売上規模・成長率(直近3年の推移やシェア)
・強みと課題(各社1点ずつ、根拠付き)
出力形式
・表形式で3社を比較
・その下に『〇〇社ならではの特徴』を300字以内でまとめる
・根拠の出典(IR情報・プレスリリース・ニュースなど)も記載
このように出力観点をあらかじめ指定することで、3社を横並びに比較でき、業界内でのポジションや同業他社との差が一目でわかります。さらに「〇〇社ならではの特徴」を文章で補足することで、志望動機に直結する切り口が見つかりやすくなります。
有価証券報告書を要約してもらうプロンプト
上場企業の企業分析において、有価証券報告書は信頼性の高い情報源のひとつです。企業の基本情報、事業内容、財務データなどが網羅されており、面接やESでも活用できる材料になります。
ただし、有価証券報告書は専門用語も多く、数百ページに及ぶこともあり、学生が一人で読むには負担が大きい資料です。ChatGPTで要点を指定してプロンプトを作成すれば、知りたい内容を短時間で整理できます。
プロンプト例
次のURLに掲載されている〇〇社の有価証券報告書を要約してください。
https://disclosure2.edinet-fsa.go.jp/
出力観点
・会社概要(設立年、本社所在地、従業員数など)
・事業内容と主力セグメント
・直近の売上・利益動向

このように出力観点を細かく指定すると、膨大な情報のなかから必要な部分だけを抽出してくれます。
企業分析でフレームワークを活用するプロンプト【応用編】
企業分析を深めたいときには「フレームワーク」を活用するのがおすすめです。ChatGPTに分析を依頼すると、複雑な枠組みをわかりやすく整理してくれるため、就活に必要な視点が効率よく得られます。
SWOT分析を用いた企業分析のプロンプト
SWOT分析は強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)を整理するフレームワークです。企業の内側(強み・弱み)と外側(機会・脅威)の両面を俯瞰できるため、企業がどう成長していく可能性を持っているのかが見えやすくなります。
プロンプト例
〇〇社についてSWOT分析を行ってください。
企業URL:https://◯◯.co.jp/
・強みと弱みは社内要因(技術・社員・サービスなど)を可能な限り抽出
・機会と脅威は外部要因(市場成長、規制、同業他社動向など)を可能な限り抽出
3C分析を用いた企業分析のプロンプト
3C分析は「Company(自社)」「Customer(顧客)」「Competitor(競合・同業他社)」の3つを整理するフレームワークです。自社の強みだけでなく、顧客ニーズや同業他社との比較を含めて理解することで、「なぜこの企業に魅力を感じるのか」をより説得力を持って語れるようになります。
プロンプト例
〇〇社について3C分析を行ってください。
企業URL:https://◯◯.co.jp/
出力観点
・Company:自社の強みや差別化要因を網羅的に整理する
・Customer:おもな顧客層やニーズをできるだけ多く抽出する
・Competitor:主要同業他社との違いや比較ポイントを整理する
4P分析を用いた企業分析のプロンプト
4P分析は「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(販促)」の観点から企業を整理するフレームワークです。特に商品やサービスに特徴のある企業を分析する際に効果的で、企業がどのように市場で価値を届けているのかを理解できます。面接やESで「志望企業の商品に魅力を感じた」と語るとき、その理由を裏付ける視点として活用しやすい方法です。
プロンプト例
〇〇社について4P分析を行ってください。
企業URL:https://◯◯.co.jp/
出力観点
・Product:製品・サービスの特徴をまとめる
・Price:価格帯や価格戦略をまとめる
・Place:販売チャネルや地域展開を網羅的にまとめる
・Promotion:広告・販売促進の特徴をまとめる
PEST分析を用いた企業分析のプロンプト
PEST分析は「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の外部要因4つを整理するフレームワークです。企業単体ではなく業界全体を俯瞰できるため、この業界の将来性や社会的意義を把握するのに役立ちます。
プロンプト例
〇〇社についてPEST分析を行ってください。
企業URL:https://◯◯.co.jp/
出力観点
・Politics:政策や規制、補助金、国際関係の影響をまとめる
・Economy:景気、金利、為替、業界全体の投資動向をまとめる
・Society:人口動態、ライフスタイル、価値観の変化をまとめる
・Technology:新技術、デジタル化、研究開発や特許の動向をまとめる
ChatGPTで企業分析をするときのコツ
ChatGPTは企業分析の効率化に役立ちますが、ただ漠然と質問を投げかけるだけでは、ほしい答えにたどり着けないことがあります。ここでは、より効果的に使うための工夫を紹介します。
観点を指定して質問する
「会社概要を教えて」とだけ入力すると情報が広すぎてしまう、必要な情報を拾いにくくなります。設立年・事業内容・おもな商品サービス・強み弱みなど、出力観点を明確に指定することで、整理された出力が得られます。
出力形式を明確に指定する
「箇条書き」「表形式」「200字以内の要約」など出力形式を指定すると、情報が比較しやすくなります。例えば、箇条書き形式は情報を素早く確認できるのがよさで、表形式は複数企業の比較に向いています。
特に「表形式+最後に要約」と依頼すると、一覧で比較した後にまとめを把握でき、志望動機づくりや面接対策に活かしやすくなります。
公式情報で正しいかどうかを確認する
ChatGPTは便利ですが、数値や日付が古い、あるいは誤って出力されることがあります。必ず公式情報で裏付けを取ることが重要です。
確認したいおもな情報源
- EDINET(金融庁):有価証券報告書
- JPX(日本取引所グループ):上場企業の情報
- 企業公式Webサイト
- 業界団体レポートや統計資料
面接やESで数字を引用する場合、信頼性のある出典とセットで使うことで説得力が高まります。
カスタム指示を入れる
ChatGPTにはカスタマイズ機能があり、自分の関心や状況、就活の軸などを登録しておくと、それに合わせた回答が返ってきやすくなります。例えば、次の内容を設定しておくと便利です。
カスタム指示の例
ChatGPT にどのような特徴を求めていますか?:「就活に活かせるように簡潔に」「学生向けにわかりやすく」
その他、ChatGPT があなたについて知っておくべきことがあれば教えてください。:「大学3年生で就活中」「食品業界を志望している」
これにより「食品業界の事業構造を学生向けに整理して」と入力した際、より自分に合った出力が得られます。

カスタム指示は「設定」→「パーソナライズ」→「カスタム指示」より入力できます。
Deep ResearchやThinkingモードを活用する
ChatGPTを使ってより高度な分析をしたいときには、Deep ResearchやThinkingモードの活用が効果的です。
Deep Research
通常の検索では拾いにくい公開資料や最新ニュースを横断的に要約してくれる機能です。特に企業の最新トピックや業界動向を整理したいときに便利です。
Thinkingモード
回答に時間をかけることで、論理的に整理された深い分析が得られるGPT-5のモードです。SWOT分析やPEST分析などフレームワークを使った企業分析に向いており、志望動機や自己PRに直結する視点を得やすくなります。
無料と有料における、Chat GPT-5の回数制限やモードの違いは、次のとおりです。
| 無料 | 有料(Plus) |
|---|---|
| ・5時間ごとに最大10件 ・Thinkingモードが1日1件 ・Deep Researchが5件 | ・3時間ごとに最大160件 ・Thinkingモードが週3,000件 ・Deep Researchが毎月25件 |
また、今後新しいバージョンが出る際も「より長く思考するモード」を選ぶことで、より正確で網羅的な回答が得られる可能性が高いでしょう。
ChatGPTで企業分析を就活へ活かすには?
ChatGPTを使った企業分析は、情報を整理するだけで終わらせてしまうと十分に活かしきれません。大切なのは、得られた情報を実際の就活にどう結びつけるかです。
ESでは、ChatGPTで整理した事業の特徴や強みを踏まえ、自分の経験とリンクさせて志望動機を書くと説得力が高まります。例えば「チームで企画を推進した自分の経験」と「企業の強みである協働文化」を関連づける、といった形です。

効率的に情報を整理するツールとして活用しつつ、自分の言葉で語れる形に仕上げることが重要です。
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よくある質問
ChatGPTの企業分析の情報はどこまで信頼できる?
ChatGPTの回答は公開情報や一般的な知識をもとに生成されるため、参考として活用できますが、必ずしも最新・正確であるとはいえません。特に数値や最新ニュースは古い情報や誤差が含まれる可能性があります。就活で使う際は、企業の公式Webサイト、業界レポートなどで裏付けを取り、信頼性を確保しましょう。
ChatGPTで企業分析をする場合、無料版でもいい?
無料版のChatGPTでも、基本的な企業情報の整理やフレームワーク分析は利用できます。ただし回数や機能に制限があるため、プロンプトをできるだけ詳細に設定し、少ないやりとりで必要な情報を得られるよう工夫すると効率的です。
ChatGPTを使った企業分析のやり方を教えてください。
まず企業名とその企業の公式WebサイトのURLを入力し、「設立年・事業内容・おもな商品・強み弱み」など観点を指定して質問すると整理しやすくなります。さらに「表形式」「箇条書き」「200字要約」など出力形式を指定すると、比較や要約に便利です。
詳しい内容は「就活の企業分析で使えるプロンプト【基本編】」の見出しで詳しく解説しています。