TOEICスコアは就活で英語力を客観的に示す指標となります。しかし、「何点から履歴書に書けるのか」「何点を目指すべきか」など、悩む方もいるでしょう。
TOEICには履歴書に記載できる明確な基準はありませんが、一般的には600点以上が目安とされています。ただし、企業や職種によって求められるスコアは異なります。
この記事では、履歴書に記載できるTOEICスコアの目安や、履歴書への記載方法、属性や学年別の平均点などを詳しく解説します。効率的にスコアアップするためのポイントも紹介しますので、就活に向けてTOEIC対策を進めたい方はぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 履歴書の資格欄には、取得年月、TOEICの正式名称、スコアを明記する
- TOEICの目標点は、平均点や志望企業に求められる英語力を踏まえて決める
- 外資系企業や国際業務に関わる企業では、700点以上を求められることもある
※当記事では「TOEIC=TOEIC Listening & Reading Test(L&R)」として解説しています。
TOEICは何点から履歴書に書ける?【就活】
就活において、TOEICスコアは英語力を客観的に示す指標として多くの企業で評価されています。しかし、「何点から履歴書に記載できる」といった明確な基準はありません。
履歴書に書ける点数は600点から
TOEICスコアは、一般的に600点以上から履歴書に記載することが推奨されています。このスコアは、英語を日常的に活用しない職種においても、英語力のアピール材料になる目安とされているためです。
「TOEIC Program DAA2024(和文)2024年7月版」によると、2023年のTOEIC平均点数が612点、学生の平均は589点です。600点以上であれば「おおむね平均以上の英語力がある」ということをアピールできるでしょう。
英語を使用する企業・職種では700点以上が目安
外資系企業や海外営業、貿易事務など、業務で英語を使用する機会が多い職種を希望する場合は、TOEICスコア700点以上が目安となります。
実際、海外部門で期待されるスコアは570〜810点の範囲とされており、700点以上であれば、英語を使った業務もスムーズに対応できると考えられます。ただし、求められるスコアは企業によって異なるため、応募先の企業でどの程度の英語力が必要とされるかを事前に確認しておくことが大切です。
TOEICスコアの履歴書への記載方法と注意点
履歴書の資格欄にTOEICスコアを記載する際は、次のように「取得年月」「テストの正式名称」「スコア」を明記します。
年 | 月 | 免許・資格 |
---|---|---|
2025年 | 5月 | TOEIC Listening & Reading Test 700点取得 |
TOEICスコアに明確な有効期限は定められていません。しかし、TOEICの開発元であるETS(Educational Testing Service)では、最新のスコアを記載することを推奨しており、公式Webサイト上では有効期限を「2年」としています。
TOEICには公開テストのほかに「IPテスト(オンライン)」もあり、IPテストで取得したスコアも履歴書に記載することは可能です。その際は次のように明記します。
年 | 月 | 免許・資格 |
---|---|---|
2025年 | 5月 | TOEIC Listening & Reading IPテスト(オンライン) 700点取得 |
ただし、企業によっては公開テストのスコアのみ認められるケースもあるため、応募先企業の募集要項などの確認は必要です。

選考過程で公式スコアの証明書提出を求められることもあるため、必ず正確なスコアを記載しましょう。
おさらい!TOEICの概要と点数配分
TOEIC Listening & Reading Testは、英語を母語としない方のビジネス英語能力を評価するためのテストです。マークシート方式の一斉客観テストで、リスニングとリーディングの2つのセクションで構成されています。
TOEICの概要
【問題数:200問】
リスニング:100問
リーディング:100問
【試験時間:約120分】
リスニング:約45分
リーディング:約75分
【スコア範囲:10〜990点】
リスニング:5~495点
リーディング:5~495点
ここからは、各セクションの概要や問題の構成を見ていきましょう。
リスニング
リスニングの概要
- 問題数:100問
- 試験時間:約45分
- スコア範囲:5点~495点
リスニングの構成
- Part 1:写真描写問題(6問)
- Part 2:応答問題(25問)
- Part 3:会話問題(39問)
- Part 4:説明文問題(30問)
リスニングでは、日常的なビジネスシーンを想定した英語の聞き取り能力が評価されます。
Part 1の写真描写問題は、1枚の写真について4つの短い説明文が放送され、そのなかから写真の内容を最もよく表しているものを選ぶものです。Part 2の応答問題では、短い質問や文に対して、適切な回答を選択します。
Part 3の会話問題では、2人または3人の人物による会話を聞き、その内容について出題される質問に答えます。Part 4の説明文問題では、1人の話者によるアナウンスやナレーションなどを聞き、設問と選択肢を読みながら、4つのなかから適切な答えを選ぶものです。
リーディング
リーディングでは、文法、語彙、読解力などが評価されます。
リーディングの概要
- 問題数:100問
- 試験時間:75分
- スコア範囲:5点~495点
リーディングの構成
- Part 5:短文穴埋め問題(30問)
- Part 6:長文穴埋め問題(16問)
- Part 7:読解問題(54問)
Part 5の短文穴埋め問題では、1つの文の空欄に入る最も適切な語句を4つの選択肢から選び、文章を完成させます。Part 6の長文穴埋め問題では、文章全体の流れを考えながら、空欄に適切な単語や文を選ぶものです。
Part 7の読解問題は、1つの文章を読む問題(29問)と、複数の文章を読む問題(25問)で構成されています。設問を読み、4つの選択肢から正しいものを選んでいくものです。「文書内の適切な位置に新しい一文を挿入する」といったタイプの設問も含まれています。
TOEICの平均点【目標点の参考にしよう】
TOEICでどれくらいのスコアを目指すか考える際には、平均点を知っておくと目標設定がしやすくなります。ここでは、社会人と学生の平均スコアや、大学生の学年別平均を紹介します。
学生と社会人の平均スコア
学生と社会人の平均スコアは次のとおりです。
属性 | 平均スコア |
---|---|
全体平均 | 612点 |
社会人 | 639点 |
学生 | 589点 |
学校の種類によっても、平均スコアに違いが見られます。
学校 | 平均スコア |
---|---|
短期大学 | 485点 |
大学(学部生) | 596点 |
大学院 | 639点 |
語学学校 | 568点 |
専門学校 | 514点 |
大学生の学年別平均スコア
大学生の場合、学年によって平均スコアが変化する傾向があります。
学年 | 平均スコア |
---|---|
1年生 | 549点 |
2年生 | 580点 |
3年生 | 599点 |
4年生 | 611点 |
学年が上がるにつれて平均スコアが上昇していることがわかります。特に、就活が本格化する3年生や4年生の時期には、600点前後を目標にすると取り組みやすいでしょう。
TOEICスコア別の目安と評価一覧【レベル表】
TOEICのスコア別の評価は、IIBC(一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会)が提供する「TOEIC Program各テストスコアとCEFRとの対照表」に基づいています。
スコアの範囲別に、対応するCEFRレベルと特徴を見てみましょう。
CEFRとは
ヨーロッパで作成された外国語学習者の習熟度レベルを示すガイドラインのこと。欧米で幅広く導入されてきている。
スコア 範囲 | CEFR | レベル・特徴 |
---|---|---|
945〜990 | C1 | ・国際的な業務で通用する英語力 ・複雑な業務や交渉、専門的な内容も理解し、柔軟に対応できる ・英語での会議や資料作成もスムーズに行える |
785〜940 | B2 | ・実践的なビジネス英語力 ・専門用語を含む会話や文章を理解できる職場で ・英語を使う場面でも対応可能 |
550〜780 | B1 | ・日常業務で英語を活用できるレベル ・簡単な会話やメールのやりとりが可能 ・業務の一部に英語が必要な場面にもある程度対応できる |
225〜545 | A2 | ・基本的な英語コミュニケーションが可能 ・日常的な話題についての読み書きや会話が可能 ・限られた場面では業務上のコミュニケーションも可能 |
120〜220 | A1 | ・初歩的な英語力 ・簡単な単語やフレーズを理解できる ・自己紹介などの最低限のコミュニケーションが可能 |
就活ではTOEICスコア何点を目指せばいい?
就活で英語力をアピールしたいと考える場合、まずは多くの企業で英語力を証明する目安となる「600点」を目安にすることをおすすめします。2024年のデータによると、大学生の平均スコアは学年によって異なり、1年生は549点、4年生では611点となっています。学年が進むにつれてスコアも上昇する傾向があるため、600点をひとつの目標に学習を進めてみましょう。
また、志望する企業や業界によっては、それ以上のスコアが必要になることもあります。例えば、外資系企業や国際業務に関わる企業では、700点以上を求められるケースがあります。さらに周囲と差をつけたい場合は、800点や900点を目指してみましょう。
TOEICスコアを効率よく上げるには?
スコアを上げるには、ポイントをおさえて取り組むことが大切です。ここでは、効率よくスコアを上げるための具体的な方法を紹介します。
現在の実力を把握する
まずは自分の英語力を客観的に確認することから始めてみましょう。公式問題集や模擬試験を利用して、現在のおおよそのスコアを把握することができます。
リスニングとリーディングの各セクションの得点を見て、特に苦手なパートを明確にすることで、効率的な学習計画を立てやすくなります。
TOEICで頻出の単語を重点的に学習する
TOEICでよく出題されるビジネス英語や日常表現を中心に、単語を覚えることも効果的です。TOEIC専用の単語帳を活用すれば、出題傾向に合った単語を効率よく学べます。
通学中や寝る前・起きた直後など、ちょっとしたスキマ時間を活かして少しずつ語彙を増やしていきましょう。
リスニング力を強化する
TOEICではリスニングの平均点が高めで、点数を伸ばしやすいとされています。そのため、まずはリスニングの強化から取り組むのがおすすめです。
公式問題集や過去問を繰り返し解くことで、問題に慣れることができます。また、英語音声を聞きながら同じように発音する「シャドーイング」は、音に集中する練習として効果的です。
時間配分を意識してリーディングの練習をする
リーディングは点数差が出やすいため、高得点を目指すには対策が欠かせません。英語に苦手意識がある場合は、中学・高校レベルの英文法を復習し、文の構造を理解することから始めましょう。
リーディングは問題集を解いて慣れることがおすすめです。文章を丁寧に読む「精読」と、全体を素早く読む「速読」の両方を練習していきましょう。

リーディングは時間がかかるため、試験本番を想定して時間配分を意識しながら練習することも重要です。
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よくある質問
TOEICは何点から履歴書に書けますか?
一般的には、TOEICスコアが600点以上であれば履歴書に記載することが推奨されています。600点以上は、日常的な英語でのやり取りができるレベルとされており、多くの企業で英語力のアピール材料として活用できます。
TOEICの資格は何点から就活で有利になりますか?
600点以上あると、多くの企業で英語力を示す目安となります。ただし、外資系企業や国際業務に関わる企業を目指す場合は700点以上、海外赴任やグローバルなプロジェクトを希望する場合は800点以上を目指すことがおすすめです。
TOEICは何点以上だとすごいですか?
TOEICスコアが800点以上であれば、英語を使う業務でも十分対応できると判断される傾向があります。外資系企業や英語を使う専門職でも、800点以上であれば実践的な英語力があると見なされるでしょう。
TOEICの満点は何点ですか?
TOEIC Listening & Reading Testの満点は990点です。リスニング495点、リーディング495点の合計990点で構成されています。
TOEICの大学生の平均点は何点ですか?
2023年のデータによると、大学(学部生)のTOEIC平均スコアは596点です。学年が上がるにつれてスコアが伸びる傾向もあります。