「面接練習をしたいけれど、誰かにお願いするのは気が引ける」「何を聞かれるかわからず、不安なまま本番を迎えそう」というときには、ChatGPTなどのAIを活用した面接対策が役立つかもしれません。
ChatGPTを使えば、模擬面接のシミュレーションや想定質問の作成、回答のブラッシュアップまで、面接対策に必要なプロセスを1人で行うことができます。音声機能を使えば、実際に会話しているような練習も可能です。
この記事では、ChatGPTを使って面接練習を行うメリットや具体的なやり方、活用時の注意点などを詳しく解説しています。AIを活用して実践的な面接対策を進めたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- ChatGPTへの指示内容は、具体的に記入することで、リアルで実践的な面接練習ができる
- すべての質問を終えたらフィードバックを依頼して、自分の回答を振り返るのがおすすめ
- 生成した文章はそのまま使用せず、事実を確認したり、自分の言葉に書き換えたりすることが大切
面接練習にChatGPTを活用するメリット
ChatGPTは、テキストだけでなく音声でのやりとりも可能なため、面接練習ツールとしても活用できます。PCやスマートフォンのアプリには音声入力や読み上げ機能が搭載されており、まるで面接官と会話しているかのような練習が可能です。
面接にChatGPTを活用するメリットはおもに2つあります。
音声を使って1人でも気軽に練習できる
AIを相手に練習するので、緊張したり、相手に気を遣ったりすることなく、自分のペースで何度でも練習を繰り返せるのが大きなメリットです。
特に「面接練習をしたいけれど、友人や学校のキャリア支援センターに相談するのは少し気が引ける」と感じる方にとって、AIは取り入れやすい方法です。話す内容に自信がなくても、恥ずかしさを感じることなく練習できるでしょう。
客観的なフィードバックをもらえる
ChatGPTに面接官役をお願いすれば、「質問→回答→フィードバック」の流れをシミュレーションできます。さらに、自分の回答に対する改善点や、より伝わりやすくする表現の提案を受けることができ、客観的に振り返れるのもポイントです。
模範的な回答例も確認でき、言い回しのバリエーションを増やす練習にもつながります。
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本番前にやりたい面接練習!一人でできるやり方や練習しないデメリットも解説
面接の練習をすることで、本番の緊張を軽減できるメリットがあります。練習相手がいなくても、面接練習アプリやYouTubeのシミュレーション動画を活用すると、本番のような練習ができます。
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【面接対策1】ChatGPTで模擬面接練習を行う方法
ChatGPTでの模擬面接練習は、次の流れで行えます。
ChatGPTのボイスモードを使えば、実際に声でやりとりしながら面接練習ができます。音声の性別や話し方も変えられるため、自信をつけたいときはやさしい声に設定し、本番のような緊張感を体験したいときは、あえて苦手に感じる声にしてみる、といった使い方もおすすめです。

自分のパソコンやスマートフォンがミュートになっていると音声が聞こえないため、事前に音量設定を確認しておきましょう。
STEP1:ChatGPTに指示を出す
ChatGPTは、こちらの指示に応じて「面接官役」や「企業の人事担当」など、さまざまな役割を演じてくれます。まずは「模擬面接をしたい」という目的とあわせて、どんな形式や雰囲気の面接を希望するかを具体的に伝えるのがポイントです。
指示は音声でもテキストでも入力できます。口頭でうまく伝えられるか不安なときは、最初にテキストでプロンプトを送り、そのあと音声で「面接練習をお願いします」と伝える方法もおすすめです。
プロンプトとは
ChatGPTに指示や質問をするためのテキストのこと
同じチャット内で行えば、事前に送ったプロンプトの内容をもとに会話が始まります。
基本のプロンプト(指示文)
あなたは株式会社〇〇の新卒採用面接を担当する面接官です。私は学生として模擬面接を受けます。
私は以下の企業、職種を志望しています。
会社名:株式会社〇〇
URL:https://xxxxx.co.jp/
募集職種:総合職
以下の流れで質問をしてください。
①自己紹介
②志望動機
③自己PR
④学生時代に力を入れたこと
⑤そのほか質問
1つずつ質問して、私の回答を待ってから次の質問に進んでください。
基本のプロンプトに加えて、追加の指示をすると、より効果的な模擬面接練習になります。
パターン別のプロンプト例
【パターン①こちらから質問を指定する場合】
自己紹介、志望動機、自己PR、ガクチカ、逆質問の順で模擬面接をしたいです。
1問ずつ出題して、私の回答を聞いてから次に進んでください。
【パターン②深掘りするフォローアップ質問もお願いする場合】
模擬面接をしてください。
私の回答に対して、理由や背景を詳しく聞くようなフォローアップ質問もお願いします。
内容で気になる点があれば、具体的に聞き返してください。
【パターン③:厳しめ・圧迫気味の面接風にしてもらう場合】
少し厳しめの雰囲気で模擬面接をしてください。
私の回答に対して、あえて疑問を投げかけたり、さらなる説明を求めたりして、緊張感のあるやり取りにしてください。
STEP2:ChatGPTの質問に対して、自分で回答する
指示を出すと、ChatGPTが「それではまず、自己紹介をお願いします」などと質問を投げかけてきます。それに対して、自分で考えた回答を音声で伝えるか、テキストで入力しましょう。

回答するときは、話が長くなりすぎないよう1〜2分以内の長さを意識するのがポイントです。
STEP3:すべての質問が終わったら、フィードバックを依頼する
回答内容をもとに伝え方の工夫や改善点などのアドバイスをもらうことも可能です。すべての質問が終わったら、フィードバックを依頼して、自分の回答を振り返ってみましょう。
フィードバックのプロンプト例
- 先ほどの模擬面接の回答について、改善点があれば教えてください。よりよい表現や伝え方のアドバイスもあればお願いします。
- 回答の内容や伝え方について、気づいた点があれば教えてください。話し方の印象や、内容のわかりやすさの観点でもアドバイスしてほしいです。
【面接対策2】ChatGPTに想定質問を考えてもらう方法
面接準備では、「どんな質問をされるか」を事前に想定しておくことが大切です。ChatGPTを使えば、志望する業界や職種、企業名にあわせて質問を自動で作成してもらえるため、効率的かつ実践的な対策ができます。
ここでは、ChatGPTに想定質問を考えてもらう具体的な方法を紹介します。
業界や職種、志望企業を伝えて質問を考えてもらう
ChatGPTに面接の想定質問を考えてもらう際は、できるだけ具体的な情報を伝えることがポイントです。「業界」「職種」「企業名」などをセットで入力することで、その業界ならではの特徴や企業の考え方にあわせた質問を提示してくれます。
例えば、IT業界であれば「最新技術への関心」や「論理的思考力」、メーカーであれば「ものづくりに対する理解」や「現場との連携意識」など、職種ごとの視点を含んだ質問が出てくることがあるため、本番に近い形での練習ができるでしょう。
プロンプト例
- 総合商社の企画職を志望する学生に対して、実際の面接でよく聞かれる質問を10個考えてください。
- ◯◯株式会社(志望企業)の新卒採用面接で聞かれそうな質問を5つ考えてください。
自分の回答に対して深掘りされそうな点を想定してもらう
面接では、一問一答で終わることは少なく、回答に対して「なぜそう考えたのか?」「具体的にはどう行動したのか?」「その結果どうなったのか?」といった深掘りのやりとりが続くことがほとんどです。
ChatGPTでは、こうした「深掘りされそうなポイント」まで想定した質問をしてもらうことが可能です。自分の回答をもとに、聞かれそうな質問を洗い出してもらえば、事前に対策が立てやすくなり、回答の内容にも厚みが出てきます。
プロンプト例
- 「私はサークルの代表としてイベントを企画・運営しました」という自己PRに対して、面接官がしそうな深掘り質問を3つ考えてください。
- あなたは株式会社〇〇の新卒採用の面接官です。以下の私の志望動機を読んで、気になる深掘り質問を考えてください。(このあと、実際の志望動機を入力する)
逆質問を考えてもらう
面接の終盤では「最後に何か質問はありますか?」といった逆質問の時間が設けられていることが多いです。ここでどんな質問をするかによって、企業や仕事に対する関心の深さや、準備の丁寧さが伝わります。
ChatGPTを使えば、業界・職種・志望企業ごとに適した逆質問を考えてもらうことも可能です。質問が思いつかないときは、ヒントが得られるかもしれません。
プロンプト例
- 新卒面接で使える逆質問を5つ考えてください。志望業界はIT業界、職種はエンジニアです。
- ◯◯株式会社の営業職を志望しています。企業理解や働くイメージにつながるような逆質問を5つ考えてください。
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面接で聞きたい逆質問47個!面白い質問や思いつかないときの対処法も解説
面接で逆質問をされたときは、積極的に質問をしましょう。事前に逆質問されたことを想定し、何を聞きたいか考えておくことでスムーズに質問できます。思い浮かばないときは、企業研究を振り返る、自分が働いたときのことをイメージしてみましょう。新卒向けの面接で使える逆質問の例を紹介します。
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【面接対策3】ChatGPTに面接での回答を考えてもらう方法
面接対策では、想定される質問に対してどう答えるかを準備しておくことが欠かせません。ChatGPTを活用すれば、自分の経験や志望動機をもとに、面接で使える回答を一緒に考えることが可能です。
ここでは、ChatGPTに効果的な回答をつくってもらう方法と、活用時のコツを紹介します。
自己PRや志望動機のベースをつくってもらう
まずは、自分の経験や伝えたい強みをChatGPTに共有し、その情報をもとに回答例を作成してもらいましょう。ChatGPTは、伝えたいエピソードの流れや表現を整えながら、伝わりやすい文章にまとめてくれるため、「〇〇を伝えたいけど、まだうまく文章にまとまっていない」といったときにも役立ちます。
作ってもらった回答をベースに、自分の言葉にあわせて言い換えることで、より自然な表現になるでしょう。
プロンプト例
私は大学時代に学園祭の運営委員を務め、チームでの調整役を担当しました。
この経験をもとに、面接で使える自己PRを考えてください。
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志望動機の作成・添削にChatGPTを活用!使えるプロンプトやバレる可能性を解説
ChatGPTで志望動機を作成する際、生成された文章をそのまま使うのではなく、自分の経験や考えなどを加え、自分の言葉に置き換えることが大切です。この記事では、ChatGPTで志望動機を作成するやり方やプロンプト、注意点などを紹介します。
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回答の言い回しや構成を整えてもらう
「志望動機を考えたけど、伝わりにくい気がする」「もっと改善できる気がする」と感じるときは、構成や言い回しの改善を相談してみましょう。
そうすると、「結論から伝える構成にする」「具体例を入れる」「言葉を少しやわらかくする」など、伝え方に関するアドバイスや改善案を出しつつ、志望動機を整えてくれます。
プロンプト例
- 次の志望動機を、わかりやすく、印象に残るように改善してください。
(このあと、作成した志望動機を入力する) - 次の志望動機の全体の流れや言い回しを見直して、自然な形に整えてください。
(このあと、作成した志望動機を入力する)
内容面でのアドバイスやブラッシュアップを依頼する
自分なりに考えた回答でも、「内容が浅い気がする」「本当にこれで伝わるのかな?」と不安に感じることもあるかもしれません。
そんなときは、ChatGPTに内容面の改善点や深掘りポイントをチェックしてもらいましょう。フィードバックしてもらった内容をもとに改善していくことで、より説得力のある回答に仕上がります。
プロンプト例
- この志望動機について、内容面での改善点やもっとよくするためのアドバイスがあれば教えてください。
(このあと、作成した志望動機を入力する) - この自己PRについて、ほかの学生と差別化できるような、印象に強く残る文章にしたいです。改善点を教えてください。
(このあと、作成した志望動機を入力する)
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ChatGPTなどのAIを面接練習に使用するときの注意点
ChatGPTなどのAIは、面接対策に役立ちますが、使用する際に気をつけたい点が3つあります。
模範的な回答になってしまうことがある
ChatGPTは、誰にでもあてはまりそうな優等生的な回答を作る傾向があります。生成された回答をそのまま使うと、個性が感じられず印象に残りにくい内容になってしまう可能性があります。
生成された回答はそのまま使用せず、自分の経験や考えと照らし合わせて調整しましょう。ChatGPTの回答はあくまでも素材として活用し、オリジナリティを加えていくと、自分らしい志望動機になります。
誤情報が含まれる場合がある
ChatGPTは文章生成が得意ですが、企業固有の情報や事実確認の精度には誤った情報が含まれることがあります。例えば「◯◯株式会社の理念にあわせて志望動機を考えてください」と依頼した場合、実際とは異なる情報が含まれる可能性があるため、企業研究と組み合わせて活用することが大切です。
AIが出した内容はそのまま信じるのではなく、自分が調べた情報と相違がないか必ず確認しましょう。
「自然に話せるか」の最終確認は自分の声で行う
ChatGPTは、文章の構成や表現の調整に優れていますが、実際に声に出して読み上げてみると、不自然に感じる表現が含まれていることがあります。面接で読み上げているような印象にならないよう、実際に声に出して確認してみましょう。
生成した内容は、一度声に出して読み上げてみて、違和感があれば調整するという流れを取り入れると、より伝わりやすい志望動機に仕上がります。
よくある質問
ChatGPTなどのAIで面接対策はできますか?
ChatGPTなどのAIは、面接対策に活用できます。例えば、模擬面接や想定質問の作成、回答のブラッシュアップなどを1人でも行うことが可能です。自分の経験や志望企業に関する情報を伝えることで、より実践的な面接練習ができるでしょう。
ChatGPTで面接練習を行う場合の注意点は?
ChatGPTなどのAIを面接練習に使用する際は、次の3点に注意しましょう。
- 模範的な回答になってしまうことがある
- 誤情報が含まれる場合がある
- 「自然に話せるか」の最終確認は実際に声に出して行う
「ChatGPTなどのAIを面接練習に使用するときの注意点」で詳しく解説しています。
ChatGPTの音声を使った面接練習で思ったとおりにやりとりしてくれないときはどうしたらいいですか?
ChatGPTで面接練習をする際は、いきなり「面接練習をお願いします」と伝えるのではなく、最初に「なりきってほしい役割」「質問してほしいこと」「想定しているシチュエーション」などを共有するのがポイントです。こうした前提を伝えたうえで面接練習を始めると、スムーズに進みやすくなります。
具体的な指示や細かい要望は音声では伝わりづらい場合があるため、テキストで補足するのもおすすめです。
具体的なやり方は「【面接対策1】ChatGPTで模擬面接練習を行う方法」で解説しています。
