就活の書類選考に落ちることは、多くの学生が経験するものです。不合格通知を見ると不安になるかもしれませんが、落ちた経験をもとに対策を重ねて合格を目指すことが大切です。
書類選考で不合格になっても、その理由を企業から伝えられることはほとんどありません。そのため、考えられる理由・原因を知り、自分に当てはまりそうな点を見直して対策する必要があります。
この記事では、書類選考の通過率の実態や落ちる理由、通過率を高めるための対策をわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 書類の内容がよくても、企業が求める人物像と合わないことで不合格となる場合がある
- 志望動機を書く際は、応募企業の特徴にあわせて伝え方を調整することが大切
- 応募書類の基本的なミスが原因となることもあるため、提出前の見直しが重要
書類選考で落ちることもある!通過率の実態
書類選考の通過率は、業界や企業の規模によって差がありますが、全体ではおおよそ30〜50%程度といわれています。特に人気の高い大手企業では競争が激しいため、10%程度になることも珍しくありません。
この数字からわかるように、書類選考で落ちてしまう人のほうが多いのが現実です。そのため、たとえ複数社の書類選考に落ちても「自分の能力が足りない」と決めつける必要はありません。
就活では、複数社の書類選考を経て合格につながるのが一般的です。落ちた経験は「改善の材料」として活かし、次の応募に活かす姿勢が大切です。通過率を理解しておけば「自分だけが落ちているわけではない」と前向きに考えられるでしょう。
不合格は「縁がなかった」と切り替えることが重要
書類選考に落ちると、「自分は就活に向いていないのでは」とショックを受けるかもしれません。しかし、企業は「自社に合う人物像」を重視しているため、優秀でも合わなければ不合格になることがあります。そのため、不合格は「選ばれなかった」のではなく「縁がなかった」と考えることが大切です。
就活は縁やタイミングの影響も大きく、誰でも複数回の不合格を経験する可能性があります。1社ごとに過度に落ちこむより、「次に活かす材料を得られた」と切り替えることで気持ちを保ち、行動を続けやすくなるでしょう。
書類選考に落ちる理由や原因を知っておこう
書類選考に落ちる理由は、企業に聞いても教えてもらえないことが一般的です。そのため、自分自身で理由を推測して、次の選考に活かすことが大切です。
書類選考に落ちる場合、次のような理由が考えられます。
企業の求める人物像と合わない
企業は採用活動全体を通して「自社との相性はどうか」「将来自社で活躍できそうか」を知ろうとしています。そのため、スキルや経験が十分でも、社風や価値観とあわないという印象になれば、合格は難しくなるでしょう。
例えば「主体性を求める企業」に対して、ES(エントリーシート)で協調性の高さや受け身の姿勢を強調していた場合、ミスマッチとみなされるかもしれません。これは「マッチング」の問題であるため、今回不合格でも別の企業では評価され、合格につながる可能性もあります。
志望動機が抽象的
書類選考では、ESや履歴書に書かれた志望動機が重視されます。志望動機が「成長できそうだから志望します」「雰囲気が合っていると感じたからです」といった抽象的な内容では、「ほかの企業でもよいのでは?」と受け取られる可能性があり、落ちる原因のひとつになり得ます。
志望動機には、その企業の具体的な事業や商品、理念に共感した点を盛り込むことが大切です。さらに「自分の経験とどうつながるか」まで言及すれば、熱意をより伝えやすくなるでしょう。
企業研究が不足している
企業研究不足は「理解度が低い=志望度が低い」と捉えられる可能性があり、書類選考で不利になる場合があります。
例えば、志望動機や自己PRに「海外事業に興味がある」と書いても、その企業が海外展開をしていなければ、企業の特徴とズレが生じることになります。
企業研究で強みや課題、将来ビジョンを把握したうえで、「その企業で自分がどう活躍したいか」を言語化して伝えることが大切です。
書類の使い回しなどで意欲が伝わらない
複数の企業に応募する際、同じESを使い回すと「この企業で働きたい」という熱意が伝わりにくくなります。
例えば、国内中心の企業に提出するESに「グローバルに事業展開している点に魅力を感じました」といった内容を書いている場合、違和感が生まれるかもしれません。
採用担当者は多数の応募書類を見ているため、使い回していることもわかると考えられます。応募企業ならではの内容になっていないESでは、選考通過は難しくなるでしょう。
応募書類の基本的なミス(誤字・脱字、指定形式の不備)
誤字・脱字や文字数オーバー、指定フォーマットを守れていないといった基本的なミスは、内容以前に選考の対象から外れる可能性があります。「注意力が足りない」「指示を守れない」という印象を与えることもあるかもしれません。特に、応募者の多い大手企業では、こうした不備があるだけで不合格となる可能性があります。
提出前に自分で見直すことはもちろん、不安な場合は第三者に確認してもらうなど、ミスを防ぐ工夫をしておきましょう。
書類選考の通過率を高めるための対策
ここでは、書類選考の通過率を高め、次につなげるためのポイントを解説します。
自己分析・企業研究をしなおす
通過率を高めるためにまず大切なのは、企業と自分の接点を見つけることです。自己分析や企業研究が十分でなかったと感じる場合は、あらためて整理してみましょう。
企業が求める人物像や事業の特徴を調べ、その内容と結びつく自分の強みや経験をまとめると、説得力のある内容を考えやすくなります。
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その企業ならではの志望動機を作成する
「成長できそうだから」といった、どの企業にもあてはまる志望動機では意欲が伝わりにくいものです。企業のサービスや事業、ビジョンに触れながら、「なぜこの企業でなければならないのか」を具体的に示すことが大切です。独自性のある志望動機は、ほかの学生との差別化にもつながります。
明確な志望動機にするために、次の3つのポイントを整理してみましょう。
- どの施策、事業、理念のどの点に共感したか
- 自分のどの経験やスキルが活きるか
- 入社後にどんな風に活躍できるか
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理由別の志望動機例文15選|新卒就活の履歴書・ESで使える書き方を解説
新卒就活において「志望動機」はよく聞かれる質問のひとつです。この記事では、新卒の志望動機の書き方、志望動機の例文15選を紹介します。ほかの学生と差別化するための志望動機の例や注意したいポイントも解説していますので、参考にしてみてください。
自己PRを企業ごとに調整する
自己PRは、アピールする強みが同じでも、強調する角度やエピソードの伝え方を変えることで、企業側の受け取り方が変わります。例えば「チームでの協調性」を重視する企業にはグループ活動の経験を、「成果主義」を重視する企業には数字で示せる実績を伝えるのがおすすめです。
協調性を重視する企業向けの例文
私はゼミ活動で、意見の異なるメンバーの考えを整理し、全員が納得できる結論に導いた経験があります。役割や立場の違いを尊重しつつ議論をまとめたことで、最後はチーム全体が一体感を持ち成果を出すことができました。
成果主義を重視する企業向け例文
私はゼミ活動で意見の対立を調整し、議論をまとめる役割を担いました。その結果、プレゼン発表では前年よりも高い評価を得て、学内コンテストで最優秀賞を受賞できました。

このように企業が重視するポイントを意識して、伝え方を調整してみましょう。
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【例文20個】自己PRの書き方|自分の強みを見つけ出す方法と印象に残る文章の作り方
ESや履歴書で頻出する自己PRを書くとき、「自分の強みが何かわからない」と悩む方もいるかもしれません。そういった方は自己PRを書き始める前に、自己分析や他己分析などを活用し、自分のアピールポイントを見つけてみましょう。
わかりやすく・読みやすくまとめる
内容がよくても、文章が長すぎたり回りくどかったりすると、伝わりにくくなります。
わかりやすくまとめるためには、「PREP法」で文章を構成するのがおすすめです。
PREP法
【結論(Point)】最初に結論を伝える
【理由(Reason)】根拠を1文で示す → 「なぜなら〜だから」と補強
【具体(Example)】実際の経験や成果、数字で説明する
【結論(Point)】最後に結論をもう一度述べて締める

結論を最初に述べることで話の全体がわかりやすくなります。
さらに読みやすくするために次の点を意識してみましょう。
読みやすさを高めるポイント
- 1文60字を目安に区切る
- 段落ごとに1テーマ、小見出しや箇条書きを活用する
- 不要な言葉を削る(すごく、かなり、非常に、など)
読みやすさを高める例
△:私はこの経験のなかでとても多くの学びを得ることができました。
→学んだ内容が曖昧で、回りくどい言い回しのため伝わりにくくなっています。
◯:この経験で得た学びは「仮説を数字で検証する習慣」です。
→学んだ内容が一目でわかり、伝わりやすい文章になりました。
誤字・脱字がないかダブルチェックをする
基本的な確認を怠ることも通過率に大きく影響します。誤字・脱字や形式の不備は、それだけで「注意力が不足している」という印象を与える可能性があるため、提出前に見直すことが大切です。
最後にチェックしたい項目
- 企業名・担当者名に誤りはないか
- 日付・学年・数字の整合性は取れているか
- 指定された文字数や形式を守っているか
- 誤字・脱字がないか
- ファイル形式やファイル名は指示どおりか
- 修正履歴や不要なコメントが残っていないか
第三者に添削をお願いして精度を高める
自分ではしっかり書けたと思っても、内容が抽象的だったり伝わりにくかったりすることはあります。特に、志望動機や自己PRは「熱意が伝わっているか」「企業に合った内容になっているか」を客観的に判断するのが難しいため、第三者に見てもらうのが有効です。
学校のキャリア支援センターでは、採用担当者の視点をふまえた指摘が受けられます。先輩や友人に依頼して、誤字・脱字やわかりにくい部分を率直に指摘してもらうのもおすすめです。
書類選考での不採用メールに返信する必要はある?
不採用の通知メールは、基本的に返信不要です。不採用通知を受け取った時点で、その企業とのやり取りは終了したと考えて問題ありません。
「返信をしないと失礼にあたるのでは?」と不安に思うかもしれませんが、採用担当者は多くの学生に対して合否を伝えているため、返信しないほうが企業の負担にならないとも考えられます。
例外として、今後もその企業と接点を持ちたい場合や、別時期の選考に再応募したいと考えている場合は、「選考の機会をいただきありがとうございました」といった簡潔なお礼を伝えるのもひとつの方法です。

通知メールに「返信不要」と明記されている場合もあるので、返信前に確認しておきましょう。
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不採用メールの返信をすべき?返信する場合の注意点と例文を解説
不採用メールは一般的に返信の必要はありません。しかし、採用担当者に感謝の気持ちを伝えたい場合など、返信を検討したいケースもあります。この記事では、不採用メールに返信する際のポイントや注意点、例文などを詳しく紹介します。
よくある質問
書類選考で落ちるのはなぜですか?
書類選考で落ちる理由は、おもに次の5つが考えられます。
- 企業の求める人物像と合わない
- 志望動機が抽象的
- 企業研究が不足している
- 書類の使い回しなどで意欲が伝わらない
- 応募書類の基本的なミス(誤字・脱字、指定形式の不備)
「書類選考に落ちる理由や原因を知っておこう」で詳しく解説しています。
書類選考に落ちる確率はどれくらいですか?
書類選考の通過率は業界や企業によって異なりますが、一般的には30〜50%程度といわれています。数社落ちても特別なことではなく、多くの学生が同じように経験しています。
書類選考で落ちる人にはどんな特徴がありますか?
書類選考で落ちる人は、志望動機が抽象的で「なぜその企業か」が伝わりにくくなっている場合があります。企業研究不足により企業の特徴と合わない回答をしている可能性もあるでしょう。また、自己PRが具体性に欠けて成果が不明確だったり、文章が長すぎて読みづらかったりすることも、不合格の原因になり得ます。
書類選考の結果はいつ届きますか?
書類選考の結果通知が届くタイミングは企業によってさまざまですが、1〜2週間以内に連絡があることが一般的です。募集要項に「結果連絡日」が記載されている場合もあるので確認してみましょう。結果を待っている間は、他社の応募も並行して進めておくのがおすすめです。
