ビジネスメールでは、宛名や書き出しの挨拶と並んで、締めの言葉を添えることが大切です。
締めの言葉には「よろしくお願いいたします」のような一般的な表現以外にも、さまざまな言い回しがあります。メールの内容や相手に応じた締めの言葉を選ぶことで、丁寧な印象を与えるだけでなく、相手への配慮を示すことができるでしょう。
この記事では、ビジネスメールにおける締めの言葉の必要性や、シーン別の例文、注意点などを詳しく解説します。
この記事でわかること
- 相手との関係性や立場に応じた適切な締めの言葉を使うことが大切
- 締めの言葉はクッション言葉を用いることでより丁寧な印象になる
- 季節の言葉を添えることで、形式的なメールにあたたかみを持たせられる
監修者からのコメント

就職活動で企業の方とやり取りを行うにあたり、メールを使う機会があります。友人とのチャットやテキストメッセージは、話し言葉で終えられ、特に締めの言葉に迷うことはありませんが、企業の方とのメールではどうやってまとめたらよいか悩むことはありませんか。社会人になってからも必要となる、ビジネスメールの締め方について確認していきましょう。
ビジネスメールでは締めの言葉も重要
ビジネスメールは一般的に次の構成でまとめます。
ビジネスメールの構成
- 件名
- 宛名
- 挨拶
- 本文
- 締めの言葉
- 署名
最後に締めの言葉を添えることで、誠意が伝わりやすくなり、文章全体も読みやすく整います。
また、締めの言葉は相手との関係を円滑にする役割も担います。上司や取引先など目上の人にはより丁寧な表現を選び、同僚には少しカジュアルな言葉を使うなど、相手に合わせて調整するのがおすすめです。
締めの言葉は「よろしくお願いいたします」といった基本的な表現だけではありません。状況によって使い分けることで、丁寧さや誠実さを自然に示すことにつながります。

状況別の締めの言葉は「ビジネスメールの締めの言葉【シーン別例文】」で紹介しています。
ビジネスメールで締めの言葉を書くときのポイント
ビジネスメールで締めの言葉を書くときのポイントは次の3つです。
相手との関係性や立場に応じた言葉を使う
締めの言葉は、相手との関係性や立場に応じて使い分けることが大切です。例えば、同僚や後輩には「よろしくお願いします」で十分ですが、上司や取引先には「よろしくお願いいたします」、特に大切な相手には「よろしくお願い申し上げます」といった、より丁寧な表現が適しています。
これにより、相手への敬意や配慮が伝わり、関係を良好に保つことにもつながるでしょう。
クッション言葉を使う
ビジネスメールでは、そのまま「よろしくお願いいたします」と書くよりも「恐れ入りますが」「お手数をおかけしますが」といったクッション言葉を添えたほうが、依頼やお願いを柔らかく伝えられます。相手の負担に配慮している姿勢も表せるでしょう。
必要に応じて季節の言葉を添える
取引先や顧客に送るメールでは、締めに季節の挨拶を加えることで、より細やかな気配りを伝えられます。
季節の言葉の例
- 暑さ厳しき折、くれぐれもご自愛くださいませ。
- 年末ご多忙のところ恐れ入りますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
- 季節の変わり目ですので、お体にお気をつけてお過ごしください。
このような言葉を短く添えることで、形式的なメールにもあたたかみを持たせられるでしょう。

メールはビジネスシーンでのやりとりですが、基本は人と人とのコミュニケーションです。事務的で堅苦しい文章で終わらせずに、心のこもった一言を添えると、相手への敬意と思いやりが伝わります。メールを何通も書くうちに慣れてきますので、少しずつ取り入れてみてください。
定番の締めの言葉「よろしくお願いします」の使い分け
「よろしくお願いします」は締めの言葉の定番といえますが、そこから派生した表現として「よろしくお願いいたします」「よろしくお願い申し上げます」も使えます。
使い分けに明確なルールはありませんが、それぞれニュアンスや使う場面には次のような違いがあります。
| 表現 | ニュアンス・使う場面 |
|---|---|
| よろしくお願いします。 | ニュアンス: シンプルでカジュアル寄りな表現 使う場面: 同僚・後輩などとのやりとり |
| よろしくお願いいたします。 | ニュアンス: ビジネスメールにおいて一般的な表現 使う場面: 上司・先輩・取引先など幅広い相手とのやりとり |
| よろしくお願い申し上げます。 | ニュアンス: 格式を重んじる丁寧な表現 使う場面: 重要な顧客や目上の方とのやりとり、公式文書など |
| どうぞよろしくお願いいたします。 何卒よろしくお願いいたします。 | ニュアンス: 誠意や丁寧さを強調した表現 使う場面: 初めて連絡するとき、依頼を強調したいとき |
「よろしくお願いします」とセットで使うクッション言葉
「よろしくお願いします」だけでは事務的な印象になることもあります。前にクッション言葉を添えることで、依頼やお願いが柔らかく伝わるでしょう。
「お手数ですが」
使う場面:相手に負担をかける依頼をするとき
例文:お手数ですが、ご確認よろしくお願いいたします。
「ご多忙のところ恐縮ですが」
使う場面:相手の忙しさに配慮したいとき
例文:ご多忙のところ恐縮ですが、資料のご確認よろしくお願いいたします。
「恐れ入りますが」
使う場面:フォーマルな依頼に適した表現
例文:恐れ入りますが、ご対応のほどよろしくお願い申し上げます。
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「お手数をおかけしますが」の意味と正しい使い方!言い換えや注意点も把握しよう
「お手数をおかけしますが」とは、相手にかかる負担に対して謝罪と感謝の気持ちを伝える表現として使われます。具体的な例文を交えて、ビジネスや日常生活などシーン別に解説します。類語表現も確認して、相手やシーンごとに使い分けましょう。
ビジネスメールの締めの言葉【シーン別例文】
締めの言葉は、メールの内容によって変わります。ここでは、ビジネスメールで使える締めの言葉を内容別で紹介します。
依頼やお願いをするとき
例文
- お忙しいところ恐縮ですが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
- お手数をおかけいたしますが、ご回答いただけますと幸いです。
- お力添えのほど、よろしくお願いいたします。
- お手数ですが、ご対応のほどよろしくお願いいたします。
- ご検討のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
- お忙しいところ大変恐縮ですが、ご協力のほど、何卒よろしくお願いいたします。
添付資料を確認してほしいときや、質問に答えてほしいときなど、依頼やお願いを伝える場合の締めの言葉です。お願いや依頼の内容をさりげなく伝えることで、相手にアクションを促すことができるでしょう。
感謝やお礼を伝えるとき
例文
- ご協力いただき、誠にありがとうございます。
- いつもお力添えをいただき、ありがとうございます。
- この度の件につきまして、心よりお礼申し上げます。
- お忙しいなか、ご対応いただき感謝申し上げます。
- この度はご支援を賜り、誠にありがとうございました。
- この度は迅速なご対応、誠にありがとうございました。
- 重ねてお礼申し上げます。
お礼メールでは、感謝の気持ちを本文で伝えるのに加え、締めでも感謝を述べるのがおすすめです。最後に「今後ともよろしくお願いいたします」と添えることで、関係を大切にしたい気持ちも伝わるでしょう。
謝罪やお詫びを伝えるとき
例文
- この度は、ご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ございません。
- ご迷惑をおかけしましたことを深く反省しております。
- 多大なご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。
- ご迷惑をおかけし、心よりお詫び申し上げます。
- この度はご迷惑をおかけしましたことを、重ねてお詫び申し上げます。
お詫びのメールでは、締めの言葉でも改めて謝罪を伝えましょう。ビジネスメールでは「すみません」ではなく「申し訳ございません」など丁寧な表現を使うことが大切です。
お断りを伝えるとき
例文
- またの機会がございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
- またのご縁がございましたら、どうぞよろしくお願い申し上げます。
- ご期待に応えられず誠に申し訳ございません。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
- この度はご期待に沿えず心苦しい限りですが、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
- この度はご期待に沿えず申し訳ございません。今後とも変わらぬご愛顧をお願い申し上げます。
お断りのメールでは、相手に冷たい印象を与えないよう、できるだけ丁寧な言葉を選ぶと安心です。
返信を求めるとき
例文
- ご返信をお待ちしております。
- ご返信を心よりお待ち申し上げます。
- お返事をいただけると幸いです。よろしくお願いいたします。
- お手数をおかけしますが、ご返信お待ちしております。
- お忙しいところ恐縮ですが、ご回答のほどよろしくお願い申し上げます。
- お忙しいところ恐れ入りますが、何卒ご返信のほどよろしくお願い申し上げます。
返信をお願いするときは、クッション言葉を添えて丁寧さを保ちつつ「返信をお待ちしております」などと具体的に依頼することで、相手に伝わりやすくなるでしょう。
返信不要を伝えるとき
例文
- ご確認いただければ、ご返信には及びません。
- 何か問題やご不明点がございましたら、遠慮なくお知らせくださいませ。
- 本件に関して、特にご返信の必要はございません。ご不明点などございましたら、いつでもご連絡ください。
返信不要を伝える締めの言葉は、相手に伝えておきたい情報があるものの、返信が必須ではないときに使われます。相手に余計な負担をかけさせないための配慮として有効です。
ただし「返信不要です」だけでは冷たい印象になる場合があるため、できるだけ丁寧な表現を使いましょう。一方的にやりとりを終えた印象を与えないように「ご不明点があればご連絡ください」などの表現を添えるのもおすすめです。
相手を気遣うとき
例文
- お体にお気をつけてお過ごしください。
- ご自愛くださいますようお祈り申し上げます。
- 末筆ながら、皆様のご健康をお祈りいたしております。
相手を気遣う言葉を添えることで、思いやりや優しさが伝わるでしょう。ただし「ご自愛ください」は相手を健康を気遣う言葉のため、体調を崩している相手に使うのは誤りです。体調を崩している人に対しては、次のような表現が適しています。
例文(体調が悪い人を気遣う場合)
- お大事になさってください。
- どうか十分にご静養なさってください。
- 心よりお見舞い申し上げます。
- 一日も早い回復をお祈り申し上げます。
催促やリマインドのとき
例文
- ご多忙のところ恐れ入りますが、◯日までにご返信いただけますと幸いです。何卒よろしくお願いいたします。
- 先日お願いした件につきまして、ご対応の進捗をお伺いできればと存じます。お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願い申し上げます。
- 重ねてのご連絡となり恐れ入りますが、何卒よろしくお願いいたします。
相手に催促やリマインドのメールをするときは、催促と受け取られないように配慮することが大切です。「恐れ入りますが」「お忙しいところ恐縮ですが」といったクッション言葉を添えると、柔らかく伝えられます。
また「早めにお願いします」とするのではなく、◯月◯日までといった具体的な期限を示すと、相手も対応しやすくなるでしょう。
就活におけるメールの締めの言葉【シーン別例文】
続いて、就活ならではのシーンごとに使える締めの言葉の例文を紹介します。
面接やインターンなどの日程調整
例文
- ご多忙のところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。
- ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
- お手数をおかけいたしますが、よろしくお願い申し上げます。
面接やインターンの日程調整メールでは、最後に丁寧な言葉を添えることで誠実さを示せます。特に、一度決まった日程の再調整をお願いする場合は「ご多忙のところ恐れ入りますが」など、相手への配慮を表す表現を添えることが大切です。
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面接の日程調整・辞退・お礼のメール例文!返信・書き方のポイントを解説
面接に関するメールは、ビジネスメールの基本構成に沿って、丁寧な言葉遣いを意識して書きましょう。この記事では、面接関連のメールを作成するポイントや、シーン別の例文を紹介します。
説明会や面接後のお礼
例文
- 改めて、本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。
- ご丁寧なご対応を賜り、改めてお礼申し上げます。今後ともよろしくお願いいたします。
説明会や面接後のお礼メールでは、本文で感謝の気持ちと今後の意欲を伝えることが大切です。締めの言葉でも、改めて感謝を述べることで、より誠実さが伝わるでしょう。
選考辞退
例文
- ご迷惑をおかけいたしますこと、改めてお詫び申し上げます。
- 貴重なお時間を割いていただいたのにもかかわらず、このようなご連絡となり大変申し訳ございません。
選考辞退メールでは、お詫びの気持ちと相手への敬意を忘れないことが特に重要です。辞退理由を簡潔に伝えたうえで、最後に丁寧な締めの言葉を添えると、誠実さが相手に伝わるでしょう。
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就活で送るメールの基本マナーと例文集|返信方法・メールアドレスのポイントも解説
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ビジネスメールで締めの言葉を書く際に気をつけたいこと
ビジネスメールで締めの言葉を書くときに注意したいポイントは次の3つです。
メール全体で言葉遣いや文体をあわせる
ビジネスメールでは、本文と締めの言葉の丁寧さに差があると、不自然な印象を与えることがあります。
例えば、取引先への依頼メールで本文に「お忙しいところ恐れ入りますが、添付資料のご確認をお願い申し上げます」と書いているのに、締めの言葉が「よろしくお願いします」では、全体の丁寧さと釣り合いません。この場合は、締めも「何卒よろしくお願い申し上げます」といった表現にすることで、全体の丁寧さが統一されます。
一方、社内向けメールで「本日の会議は14時から第1会議室で行います。ご参加をお願いします」と書いたのに、締めの言葉が「今後ともご厚情を賜りますようお願い申し上げます」では、本文に対してやや大げさで不自然に感じられます。この場合は、シンプルに「よろしくお願いします」とするのが自然です。
こうした違和感を避けるためにも、本文全体の文体や内容にあわせて締めの言葉を選ぶことが大切です。
「以上」「取り急ぎ」で締めない
「以上」「取り急ぎ」は報告書やメモの締めくくりとして使うことがありますが、ビジネスメールの締め言葉として使うと、丁寧さに欠ける印象を与えてしまいます。
最後まで目を通してくれた相手に感謝や配慮を示す意味でも「よろしくお願いいたします」「ご確認のほどお願いいたします」といった言葉を使うのが適切でしょう。
必要以上に長くしない
締めの言葉はシンプルに1〜2行に収めるのが理想です。長くなりすぎると文章全体がくどくなり、かえって誠実さが伝わりにくくなることがあります。
特に「感謝」「依頼」「今後のお願い」をすべて入れようとすると冗長になりがちです。要点を絞り、本文の流れを受けて自然に締めることを意識してみましょう。
よくある質問
ビジネスメールでよく使われる締めの言葉は何ですか?
一般的な締めの言葉としては、次のような表現があります。
- よろしくお願いいたします。
- どうぞよろしくお願いいたします。
- お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
目上の人へのメールで使える締めの言葉は何がありますか?
目上の人にメールを送る場合は、より丁寧な表現を選ぶことが大切です。
- よろしくお願い申し上げます。
- 何卒よろしくお願い申し上げます。
- 引き続きご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
などがよく使われます。状況にあわせて適切に使い分けましょう。
メールの結びに「ご自愛ください」は使えますか?
「ご自愛ください」は、相手の健康を気遣うときに使える表現です。特に季節の変わり目や、寒暖差が大きい時期に添えると自然です。ただし、すでに体調を崩している方に対しては「ご自愛ください」は適切ではありません。「お大事になさってください」など、相手の回復を願う表現を使いましょう。
英語のビジネスメールの締めの言葉は?
英語のビジネスメールでは、内容や相手との関係性に応じて締めの言葉を選びます。フォーマルな場面では「sincerely,」がよく使われる表現です。標準的なビジネスメールでは「Best regards,」や「Thank you,」といった表現も使われます。
監修者情報

監修者:遠藤 美穂子さん
新卒で東京三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行、営業店・本部にて法人営業に携わるほか、新人研修講師、採用面接官も経験。
現在はキャリアコンサルタントとして大学での就活支援、キャリア系講義、社会人向けのビジネスマナーやキャリア開発研修などを行っている。
資格:国家資格キャリアコンサルタント/2級キャリアコンサルティング技能士
