キャリアビジョンとは？考え方5ステップや就活での答え方・例文を解説

キャリアビジョンとは、「こんな仕事がしたい」「こんな人になりたい」といった仕事における将来の目標のことです。就活のES（エントリーシート）や面接で聞かれることがあるため、考え方や答え方を押さえておきましょう。

この記事では、キャリアビジョンの考え方や答え方のポイントをわかりやすく解説します。職種別の例文も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

キャリアビジョンとは将来の仕事における目標や理想の姿

キャリアビジョンとは、将来の仕事における目標や、自分が思い描く理想の姿のことです。「将来どんな仕事をしていたいか」「どんな人になりたいか」といった具体的なイメージを描くことを指します。

例えば「5年間は〇〇を担当する」「10年後には△△の姿になっていたい」といった形で考えることができます。明確なキャリアビジョンを持つことは、日常の学習や就活の道しるべになるでしょう。

キャリアビジョンと混同しやすい言葉

キャリアビジョンと似た言葉に「キャリアデザイン」「キャリアプラン」「キャリアパス」「キャリア形成」があります。それぞれの異なる意味を持つので、違いを整理しておきましょう。

【キャリアデザイン】
仕事だけでなく、自分のライフスタイルや価値観も含めて、全体的なキャリアを設計すること。

【キャリアプラン】
キャリアビジョンを実現するための具体的なステップや計画を立てること。

【キャリアパス】
1つの企業において、目標とする職種や職位に至るまでのプロセスや進路のこと。

【キャリア形成】
職業的な成長や発展に向けて、スキルを身につけたり実績を重ねたりすること。

キャリアビジョンを考えることが重要な理由

キャリアビジョンを考えることが重要といわれる具体的な理由は、次の2つです。

• 行動の指針になる
• 仕事へのモチベーションを高く保てる

行動の指針になる

キャリアビジョンを持つことは、日々の行動の指針になります。例えば、キャリアビジョンが「5年後には国際的なビジネスパーソンになりたい」の場合、「語学力を伸ばすための学習計画を立てる」「国際的なビジネスを行っている企業のインターンに参加する」といった具体的な行動につなげられます。

キャリアビジョンを意識することで「今やるべきこと」が明確になり、実現に向けた一歩を踏み出すことができるでしょう。

仕事へのモチベーションを高く保てる

キャリアビジョンを考えることは、仕事へのモチベーションを高めるためにも大切です。

明確な目標があれば、目的意識を持って行動でき、必要なスキルや経験を効率的に身につけやすくなるでしょう。キャリアビジョンを持つことで、その場の判断に流されにくくなり、長期的な視点で選択できるようになるでしょう。

キャリアビジョンの考え方【5ステップ】

キャリアビジョンは思いつきで考えるのではなく、過去の経験をもとに順序立てて整理していくことが大切です。ここでは、キャリアビジョンを考えるための5つのステップを紹介します。

STEP1：過去の体験を具体的に振り返る

キャリアビジョンを考えるために、まずは自分の原点を振り返ってみましょう。学業（ゼミ・研究）、部活動、アルバイト、インターン、ボランティアなど、自分が取り組んだことや印象に残っているできごとを3〜5件ほど書き出します。

そして、それらの内容について時系列で「いつ／どこで／どんな行動をしたか／どんな結果につながったか」を整理してみましょう。漠然としている場合は「なぜその体験に至ったか」を深掘りして、できるだけ具体的にまとめることが大切です。

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自己分析を行うことで、自分に合う業界・職種・企業が見つけやすくなります。それだけではなく、ESや面接で頻出する志望動機や自己PRなどで、独自性・具体性のあるエピソードを考えられるでしょう。就活が本格化する前に、自己分析を進めていきましょう。

自分史の作り方5ステップ！作成時の注意点や就活への活用法を解説【テンプレ・見本あり】

自分史は、過去のできごとを時系列で振り返り、学んだことや感情を整理することで価値観や強みを見つけるツールを指します。自分史を作成するメリットや就活での活用方法を確認して、自分史を作成してみましょう。

STEP2：感情と価値観を掘り下げる

次に、STEP1で書き出した体験を深掘りして、自分が大事にしている価値観を見つけます。体験ごとに「うれしかった／悔しかった／やりがいを感じた」などの感情を思い出し、さらに「なぜうれしかった？」「なぜ悔しかった？」を問いかけてみましょう。

これにより、感情の背景にある「成長」「挑戦」「効率性」「人を支える」などのキーワードが見えてきます。キャリアビジョンは価値観と深く関係しているため、この作業を通じて自分が仕事で大事にしたい軸（価値観）が見えてくるでしょう。

STEP3：自分の強み・弱みを整理する

価値観に加えて、自分の強みや弱みも整理していきます。STEP2で洗い出した体験のなかで、発揮できた力や、課題に感じた部分をまとめてみましょう。

強みと弱みを整理することで、将来の仕事で活かせる部分と、努力が必要な部分がはっきり見えてきます。

思い浮かばないときは、友人や先輩など周囲の人に「自分の長所は何か」を聞いたり、自己分析ツールを活用したりして、客観的に自分の特徴を把握するのもおすすめです。

STEP4：業界・企業・職種を調べて、方向性を固める

STEP1〜3で自己分析を行ったあとは、業界や企業の情報収集に進みます。志望企業や職種の特徴と自分の将来像を重ねて、どう成長し、どんな役割を担いたいかを考えるステップです。

キャリアビジョンは将来の仕事における目標や展望を描くものですが、抽象的すぎると実現が難しくなります。現実的なキャリアビジョンにするために、業界や企業の特徴を調べて、実際の状況にもとづいて考えてみましょう。

STEP3までの自己分析と組み合わせて「私は◯◯業界で△△職として、◻︎◻︎の課題に取り組みたい」と言語化できれば、現実的なキャリアビジョンになるでしょう。

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STEP5：短期・中期・長期の将来像を整理する

最後に、3年後、5年後、10年後、20年後の自分がどうなっていたいかという「将来像＝キャリアビジョン」を考えます。「どんな仕事に就きたいか」「どう活躍したいか」「どんな生活を送りたいか」といった将来像を段階的に整理していきましょう。

就活面接でキャリアビジョンが聞かれる理由

就活の面接では、キャリアビジョンについて質問されることがあります。面接官は次のような理由から、キャリアビジョンを確認しています。

• 長期的に活躍できるか確かめるため
• 企業との相性を確かめるため
• 入社後の配属先を決める際の参考にするため

長期的に活躍できるか確かめるため

企業は、採用の面接を通して「長く働いて成長できそうか」を知ろうとしています。キャリアビジョンを聞くことで、学生が将来をどんなふうに考えているのか、また入社後に努力を続ける姿勢を持てるのかを確認していると考えられます。

答えが曖昧だと「すぐ辞めてしまうかもしれない」「働く心構えがまだできていない」という懸念につながることもあるため、できる範囲で具体的なビジョンを伝えることが大切です。

企業との相性を確かめるため

キャリアビジョンは、学生と企業の方向性が合っているかを知る手がかりになります。もし企業とキャリアビジョンのギャップが大きいと、入社後に「思っていた仕事と違う」と感じやすく、早期離職につながる可能性があるためです。

企業の方向性と合うキャリアビジョンを伝えることは、相性のよさのアピールにもつながるでしょう。

入社後の配属先を決める際の参考にするため

キャリアビジョンは、入社後にどの部署で力を発揮できそうかを知るための材料にもなります。

「営業で専門性を磨きたい」「人事で組織づくりに関わりたい」といった将来像があると、企業も配属を検討しやすくなり、学生本人にとっても希望に沿ったキャリアを築きやすくなるでしょう。

就活でキャリアビジョンを聞かれたときの答え方

就活でキャリアビジョンを聞かれたときは、次のような流れで答えるのがおすすめです。

1. 結論（将来像）を最初に伝える
例：私のキャリアビジョンは、〇〇業界で専門性を磨き、将来的に△△の役割を担うことです。

2. 短期（入社〜3年）の目標
例：入社後は、業務の基礎を習得し、正確かつ迅速に成果を出せるよう取り組みます。

3. 中期（5〜7年）の目標
例：その後は、リーダーとしてチームをまとめ、プロジェクト全体を支える存在を目指します。

4. 長期（10年以上）の目標
例：将来的には、新規事業や海外展開に携わり、企業の成長を担う立場で活躍したいと考えています。

就活でキャリアビジョンを答えるときのポイント

就活でキャリアビジョンを聞かれたときは、次の5つのポイントを意識すると伝えやすくなります。

• ライフプランと混同しない
• 具体的かつ現実的なビジョンを伝える
• 企業が求める人物像と自分のビジョンをリンクさせる
• ビジョン達成に向けた現時点の行動や工夫も示す
• 自分の言葉で伝える

ライフプランと混同しない

「結婚して子育てと両立したい」「海外に住みたい」といった私生活中心の話は、面接で答えるキャリアビジョンとは異なります。就活では、仕事での成長や達成したい目標や、果たしたい役割を伝えるのが適切です。

具体的かつ現実的なビジョンを伝える

就活で伝えるキャリアビジョンは、「業界をリードしたい」「社会の役に立ちたい」といった抽象的な内容ではなく、具体的かつ現実的なビジョンを示すことが大切です。

「STEP5：短期・中期・長期の将来像を整理する」で紹介したように、短期（〜3年）、中期（5〜7年）、長期（10年〜）といった段階に分けて伝えると、より説得力が増すでしょう。

企業が求める人物像と自分のビジョンをリンクさせる

企業が掲げる理念や求める人物像と、自分のキャリアビジョンをつなげることもポイントです。事前に企業のミッションやビジョン、求めるスキルや価値観を調べ、自分の将来像と重ねて話すのがおすすめです。

「御社が重視している〇〇に共感し、自分も△△という経験を活かして取り組みたい」という形で伝えると、相手にわかりやすく伝わるでしょう。

ビジョン達成に向けた現時点の行動や工夫も示す

将来像だけでなく「今は〇〇を学んでいる」「△△の経験を積んでいる」といった取り組みを加えると、キャリアビジョンの実現に向けて準備している姿勢が伝わります。

自分の言葉で伝える

キャリアビジョンは、教科書的な言い回しよりも、自分の体験や価値観を反映した表現のほうが相手に届きやすくなるでしょう。

インターネットや参考書にあるフレーズや、AIが生成した文章をそのまま使うのではなく、自分の経験をもとにした言葉でまとめてみましょう。

就活でキャリアビジョンを回答するときの例文

ここでは、就活の面接などでキャリアビジョンを聞かれた際の職種別の回答例を紹介します。

• 営業職
• コンサルタント
• 事務職
• マーケティング
• エンジニア職
• クリエイター
• 人事職
• 財務・経理職
• 看護職

営業職

コンサルタント

事務職

マーケティング

エンジニア職

クリエイター

人事職

財務・経理職

看護職

よくある質問

キャリアビジョンとは何ですか？

キャリアビジョンとは、自分が将来的にどんな職業人生を送りたいか、どんなキャリアを築きたいかについての長期的な目標や展望を指します。明確なキャリアビジョンを持つことで、日々の生活や学習、就活などの指針となり、目標達成に向けた行動計画を立てやすくなります。

キャリアビジョンがないときはどうすればいいですか？

キャリアビジョンは、次の5つのステップで考えてみましょう。

• STEP1：過去の体験を明確に振り返る
• STEP2：感情と価値観を掘り下げる
• STEP3：自分の強み・弱みを整理する
• STEP4：業界・企業・職種を調べて、方向性を固める
• STEP5：短期・中期・長期の将来像を整理する

「キャリアビジョンの考え方【5ステップ】」で詳しく解説しています。

面接でキャリアビジョンを聞かれたときにどう答えればいいですか？

面接では「入社後にどのように成長し、将来的にどんな役割を果たしたいか」を、短期・中期・長期に分けて答えると伝わりやすくなります。さらに、企業の理念や事業内容とリンクさせることで、ほかの質問への回答とも一貫性を持たせられるでしょう。

「就活でキャリアビジョンを聞かれたときの答え方」でも詳しく解説しています。

キャリアビジョンの書き方を教えてください。

キャリアビジョンは、次のような流れで書くのがおすすめです。

例文

私のキャリアビジョンは、〇〇業界で専門性を磨き、将来的に△△の役割を担うことです。そのために、まず入社後は□□を学び、5年後には××の立場で活躍できるよう努めたいと考えています。

最初にキャリアビジョンの全体像を伝え、その後に短期・中期・長期に分けて行動や目標を示すと、説得力のある内容になります。文字数の指定がある場合は、具体性と簡潔さのバランスを意識して調整してみましょう。