社風とは、その企業がもつ独自の文化や雰囲気などを指します。同じ業界でも社風が違うこともあり、自分が働く環境として、企業選びでは大切な要素のひとつです。
社風によって、働くモチベーションや自分自身の成長の度合いが左右されるため、就活の企業研究では社風がどんなものかも調べてみましょう。
この記事でわかること
- 社風の良し悪しは人によって異なり、自分に合うかどうかが重要である
- 社風は企業の規模や経営方針などさまざまな要素から判断できる
- 社風がマッチする企業に就職すれば、自分の成長にもよい影響が期待できる
社風とは
社風とは、企業がもつ独自の文化、雰囲気、価値観のことです。ただし、明確な定義のある言葉ではありません。
社風は、企業の歴史のなかで作られます。ただし、買収や合併、提携などにより、ほかの企業の文化が入り込み、独自の雰囲気や価値観に変化が起こることもあるでしょう。
社風を知ることで、その企業で働く人の特徴や志向、傾向をある程度把握できます。
社風の合う・合わないは、人によって異なります。例えば、Aさんにとって合わない社風でも、Bさんにとっては働きやすい社風で、本来の力を発揮しやすい、スキルが伸ばしやすい環境だったということもあるでしょう。

自分に合う社風の企業を見つけることが大切です!
社風の例一覧
社風として挙げられるものには、次のようなものがあります。
社風の例
- 風通しがいい職場(意見が言いやすく、同僚や上司との距離が近い)
- 挑戦を重視する(新しいことに積極的に取り組める)
- 年功序列を重んじる(勤続年数が評価されやすい)
- 実力主義(成果を出せば、年齢に関係なく評価される)
- アットホーム(家族のようなあたたかい雰囲気)
- 体育会系(上下関係がはっきりし、礼儀を重視)
- 自由な社風(働き方が柔軟で、個人の裁量が大きい)
- 堅実・安定志向(リスクを避け、確実な成長を重視)
- イノベーション重視(新しい技術やアイデアを取り入れることに前向き)
- チームワーク重視(個人プレーより協力を大切にする)
- ワークライフバランス重視(残業が少なく、プライベートを尊重)
- グローバル志向(海外展開に積極的で、多様性を重視)
社風と似た言葉の意味と違い
社風と似た言葉には、次のようなものがあります。

社風と似た言葉にも明確な定義は存在しないため、大きな違いをもたない言葉もあります。
社内の雰囲気
社内の雰囲気とは、職場での日常的な雰囲気を指すことが多いでしょう。
大企業のように従業員が多い職場の場合、部署によって社内の雰囲気に違いが出ることも考えられます。
例えば、A部署ではチームワークが多くコミュニケーションが活発、B部署では個人ブレーが比較的多いといったものです。
企業の体質
企業の体質とは、経営スタイルや組織運営の特徴を指すことが多いでしょう。
従業員よりも、経営者や役員など、企業の動きを決める人たちによる思考、雰囲気の意味合いが強いことが特徴です。
企業文化
企業文化とは、従業員と経営陣の間に生まれる価値観、行動規範を指すことが多いでしょう。企業文化が根付くのは、意識的に築くこともあれば、年月を経て無意識のうちに築き上げられる場合もあるようです。
働き方、働いている人、経営の全般的な雰囲気や価値観が「企業文化」です。
企業文化と同じ・近い意味の言葉として、「企業風土」「組織風土」があり、社風とも似た意味をもちます。
社風が自分が合うか判断する要素
社風は、よい・悪いよりも自分に合うかどうかを重視して考えることで、自分に合う企業を探しやすくなります。社風の合う・合わないを決める要素は、次のとおりです。

企業選びの際、自分にとってどんな社風がよいかを考えるための、参考にしてみましょう。
企業規模
大企業と中小企業のように、企業の規模によって社風に違いがあるといえます。
例えば大企業の場合、個人の能力よりも組織の統制を取ることを重視し、マニュアルに沿って業務を行うことが多いでしょう。
一方、中小企業は比較的個人の能力を重視することがあります。そのため、大企業よりも自由度の高い働き方ができる場合があります。
ただし、大企業だから◯◯、中小企業は◯◯といったように、社風は企業規模だけで決まるとはいえないでしょう。
経営方針
企業全体を知る要素として、経営方針があります。どんな方針で企業を成長させていくのか、将来はどうなっていくのかも、従業員として働くうえで大切な要素です。
どんな方針であっても、方針がよく変わったり透明性がなかったりする場合、何を軸に働けばよいのかわからず、翻弄されてしまう可能性があります。
従業員も経営方針を理解し、職場内で浸透していれば、共通の価値観をもちながら働くことができます。
評価制度
従業員がどんな方法で評価されるのか、評価の透明性・公平性も社風を決める要素です。
評価制度を大きく分けると、「実力主義(成果主義)」「年功序列」の2種類があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、自分にとってよいと感じる制度は人により異なります。
実力主義の場合、売り上げなどの目に見える成績によって評価が左右されます。何を基準に評価されるのか、正しく評価してもらえる環境であるかは、働くうえで重要といえるでしょう。
教育制度
教育制度が整っている企業は、従業員にとって働きやすい環境といえます。
特に新卒で入社する場合、学校で学んだ知識をもっていても実務は未経験です。教育制度が整っており、先輩社員からのフォローが手厚いほうが、効率よく業務に必要なスキルを身につけられます。
どんな教育制度があるかは、企業公式Webサイトや就活情報などで調べることができます。
社員同士の関係性
チームワーク重視の職場もあれば、個人プレーが多い職場もあり、働きやすさは人により異なります。黙々と働くことが好きな人もいれば、協力し合うことで働きがいを感じられる人もいるはずです。
社員同士の関わりが多いのか、互いに尊重し合えているのかは、業界・職種に関係なく把握しておくことが重要です。
社員同士の関係性は部署によって違うため、社内見学やインターンなどで、リアルな現場を見て社風を把握しておきましょう。

業務上、個人プレーが多い職場でも、人間関係は存在します!
挑戦に対する環境
挑戦に対する環境・評価は、社内の雰囲気、先輩や上司、経営陣の方針によって大きく異なります。
誰でも積極的に提案・挑戦をしてほしい、チャレンジしたこと自体を評価してもらえる職場もあれば、若手社員による提案が難しい職場もあります。
積極的に提案することが好きな人、誰も挑戦したことがない物事に挑みたい人は、堅実的な職場では本来のパフォーマンスを発揮できない可能性が高いでしょう。
反対に、地道にコツコツ積み上げていく働き方が得意な方にとっては、堅実・安定性を重視した職場でも、あまりストレスを感じないでしょう。
裁量の有無
仕事における裁量とは、自分で物事を考え判断し、決定・処理することを指します。
「若いうちから裁量権をもって働きたい」といった考えをもつ人が、新入社員、若手社員も裁量をもって働ける職場に所属すれば、物事を判断する力が早期に身につき、早い段階での成長が期待できます。
スタートアップ企業やベンチャー企業、外資系企業では、比較的個人の裁量が大きい傾向があり、若手社員も裁量権をもてる可能性があるでしょう。
ワークライフバランス
ワークライフバランスとは、仕事と私生活のバランスがとれた働き方のことです。仕事とプライベートでメリハリをつけながら働くことができれば、業務における生産性の向上が期待できます。
例えば、将来は子育てをしながらしっかりと仕事もしたい、家族の介護もしながら働きたいという人にとって、利用しやすい福利厚生があったり、時短・フレックス出社といった制度で柔軟性があれば、働きやすさを感じられるはずです。
ワークライフバランスに優れた環境は、多くの人にとって働きやすく、企業選びで重視したいポイントになります。
ワークライフバランスの現状は、企業公式WebサイトやSNS、就活情報サイトで調べたり、実際に働いている人に質問をしたりすることで、ある程度把握できます。
社風が合わない企業に入社するとどうなる?
内定を承諾する決め手として、社風以外の要素を重視することは少なくありません。しかし、社風が合わない企業で働くと、次のようなことが起こる可能性があります。

企業のネームバリューや年収など重視したいことは人によりますが、社風もあわせて考えてみましょう。
ストレスが溜まりやすい
社風が合わないと、次のようなストレスを感じることがあります。
- 教育制度が整っておらず、スキルが身につかない
- 社員と自分の雰囲気が大きく違い、人間関係に悩む
- 経営方針が合わず、モチベーションが高まらない
心身にストレスが蓄積していけば、仕事に集中できない、成長速度が遅いなど、働きがいを感じられなくなります。小さなストレスでも、積み重なることで大きくなり、仕事に影響を与えるでしょう。
本来のパフォーマンスが発揮できない
自分から積極的に提案・行動をしたい人が、堅実・安定志向の企業に入社すると、想像しているような評価を得られない可能性があります。
本来自分がもっている提案力や好奇心が活かせず、自分が行った努力と評価に差が出て、悩んでしまうかもしれません。
こういった人の場合、自由な社風、挑戦が評価につながる社風の企業で働くことで、本来のパフォーマンスを発揮でき、努力に応じた評価を得られるでしょう。
短期で離職してしまう
「想像していた企業と違った」という理由で、短期離職をする可能性も高まります。
働きがいを感じられない、人間関係でストレスを感じるといった環境では、長く働くのは難しいでしょう。
悩んでいる内容によっては改善できることもありますが、社風は企業全体で浸透している文化や価値観であるため、自分だけで変えていくのは難しいものです。
自分に合う社風であるかは、選考の段階で確認しておくことが大切です。
自分に合う社風の企業を調べる方法
社風を知る方法として、まず「企業研究」を行う人は多いでしょう。自分に社風が合うかどうかは、企業を知るだけではなく、自分自身を深掘りすることも欠かせません。
自分に合う社風の企業を調べる方法は、次のとおりです。
自己分析を行う
自己分析とは、これまでの経験や思考を振り返り、自分の能力や強み・弱みなどを分析して、言語化することです。社風は良し悪しよりも、自分に合う合わないが重要です。
社風が自分に合うかを知るためには、まず自分自身がどういう人間かを知る必要があります。
自分はどんなことに適性があるのか、何にやりがいを感じるのか、何が得意・苦手なのかを知ることで、自分にマッチする社風の企業を見つけやすくなります。

自己分析のやり方は、こちらの記事で詳しく紹介しています!
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OB・OG訪問を行う
その企業で実際に働いている先輩や卒業生に、直接話を聞くことでも社風を把握できます。
OB・OG訪問をする際は、社風だけではなく、仕事のどんなことにやりがいを感じているか、入社前後のギャップはあったのかなど、リアルな現場についても質問してみましょう。
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職場見学ができる会社説明会に参加する
職場見学をすることで、その企業のさまざまな部署を見て回れる可能性があります。
会社説明会では、企業に関する説明のほか、質問会や実際に働いている社員との交流の機会が設けられることがあります。その際に、社風に関する質問もしてみましょう。
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インターンに参加する
インターンでは、企業に関する説明や先輩社員との交流以外にも、実際の業務を体験できるプログラムもあります。
先輩社員も交えながら企業で働く体験ができれば、社風も把握しやすいでしょう。
より企業内の雰囲気を知りたいのであれば、実務を伴うプログラムや、役員なども参加するプログラムにエントリーするのがおすすめです。
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インターンシップとは?プログラムの探し方・募集開催期間・参加するメリットを解説
インターンシップとは職業体験を通じて、実力を確かめる・発揮する場所です。今あるスキルを確かめながら伸ばせる機会になるため、時間を確保できる方は積極的に参加しましょう。選考が実施されるインターンシップでは、書類作成や面接の練習も必要です。
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志望動機が社風のよさであることを伝えるときのポイント
社風を志望動機にすることは可能であり、自分をアピールすることもできます。
社風に魅力を感じて志望動機に交える際は、次のポイントを確認しておきましょう。
自分が働くことをイメージしてもらう
社風に魅力を感じたことだけではなく、企業のなかで自分がどんな働き方をしているのかをイメージしてもらうことが大切です。
企業のなかで成長するプロセスや、将来なりたい姿を具体的に伝えてみましょう。

就活の面接では、◯年後の自分について質問されることもあります。志望動機とともに、将来像もあわせて考えてみてください。
ほかの企業と差別化をする
「風通しがいい」「ワークライフバランス重視」といった職場は、同じ業界でも似た社風をもつ企業は複数存在すると考えられます。
社風だけを志望動機にすると、その企業でなければならない理由が伝えにくくなる可能性があります。そのため、「その企業でしか挑戦できないこと」「その企業だけがもつ魅力・特徴」も伝えることで、独自性のあるアピールができるでしょう。
インターンなどの経験を交える
志望動機のエピソードを具体的かつ独自性を高める方法としては、インターンや会社説明会などの経験を伝えることがおすすめです。
その企業のリアルな部分を交えることで、志望動機を聞いた採用担当者も、エピソードのイメージが湧き理解してもらいやすいでしょう。

「会社説明会のとき、営業部の◯◯様のお話を聞き、御社の社風が△△だと実感しました」など具体的な話を伝えるのもいいですね。
社風を志望動機にしたときの回答例
社風を志望動機にしたときの回答例を紹介します。
「風通しがよい職場」に魅力を感じたケース
風通しがいい職場とは、社員が意見を言いやすく、上司や同僚との距離感が近い環境を指します。
「風通しがよい職場」の回答例
私は、社員同士が活発に意見を交わしながら成長できる環境で働きたいと考えています。そのため、御社の「風通しがよい職場環境」に大きな魅力を感じました。
実際に、御社のインターンに参加した際、若手社員の方が積極的にアイデアを提案し、それに対して上司の方が真剣に耳を傾ける姿が印象的でした。年齢、役職に関係なく意見を言いやすい環境が整っていることで、社員一人ひとりが主体的に働いていると感じました。
私は、周囲と協力しながら物事を進めることが得意であり、御社のような環境であれば、自らも積極的に提案し、自らが成長できると確信しています。
御社の風通しがよい社風のもとで、社員の皆様と切磋琢磨しながら成長し、成果を生み出すことを目指したいと考えています。
志望動機を伝えるポイント
- 風通しのよさを感じた理由を明確にする(インターンでの経験)
- 自分の強みである「周囲と協力しながら物事を進める」を社風と結びつける
「評価制度が公平」な社風に魅力を感じたケース
評価制度が公平とは、従業員の能力を客観的に判断する仕組みを指します。
「評価制度が公平」の回答例
私は、実力が正当に評価される環境で働き、積極的にスキルを身につけたいと考えています。そのため、御社の成果主義に基づいた公平な評価制度に強く魅力を感じました。
大学でのゼミの研究活動において、自ら新しい分析手法を学び、成果を論文にまとめました。努力したぶん自分が成長できる環境にやりがいを感じ、実力が認められることが、行動するうえでのモチベーションになると実感しました。
御社では、個人の努力や成果が正しく評価され、年齢や勤続年数に関係なく挑戦できるとうかがいました。御社のように公平な評価制度が確立した環境で、自らがやるべき課題を見つけ、スキルを磨きながら成長したいと考えています。
御社に入社して実力を伸ばし、5年後にはリーダーとして◯◯の開発に携わりたいです。
志望動機を伝えるポイント
- 公平な評価制度に魅力を感じたきっかけを交えて伝える(ゼミでの活動)
- 具体的な将来像を交えて、活躍する自分をイメージしてもらう
社風にマッチする服装も把握しよう!
社風によって服装規定が異なることもあります。カジュアルな雰囲気の企業なのか、フォーマルな文化が根付いているのかなど、社風を事前に把握しておけば、好みの服装で働ける企業選びができるはずです。
20社以上のリアルなシゴト服や社内風景が見れる「社風見える化プロジェクト」もチェックしてみましょう!
よくある質問
社風とはどんな意味ですか?
社風とは、企業がもつ独自の文化、雰囲気、価値観を指す言葉です。
企業の社風を知ることで、その企業で働いている人の特徴や思考、傾向をある程度把握できます。
社風と社内の雰囲気の違いを教えてください
社風とは「企業がもつ独自の文化、雰囲気、価値観」であり、社内の雰囲気とは「職場での日常的な空気感」を指すことが多いでしょう。
社風のほうがより広義で、企業全体の雰囲気を指すことが特徴です。
「風通しのよい社風」とはどういう意味ですか?
「風通しがよい」とは、従業員が意見が言いやすく、同僚や上司との距離感が近い文化、雰囲気を意味する社風です。
社風を志望動機にしてもよいですか?
エントリーした企業の社風を、志望動機にすることは可能です。社風を志望動機にする際は、次のポイントに注目してみてください。
・自分が働くことをイメージしてもらう
・ほかの企業と差別化をする
・インターンなどの経験を交える
ポイントの詳細は「志望動機で社風のよさを伝えるときのポイント」で紹介しています。