不動産業界は、土地や建物の開発、売買、賃貸、管理などを通じて、人々の「住む」や「働く」を支えている業界です。不動産業界には、建物を企画・建設するディベロッパーや物件の取引を仲介する仲介会社など多様な企業が存在し、それぞれの役割や仕事内容、求められるスキルが異なります。
本記事では、不動産業界の全体像を把握できるよう、市場規模や仕事内容の種類、将来性や今後の動向をわかりやすく解説します。不動産業界について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 不動産業界は「開発・流通・管理」の流れで成り立っている
- 不動産業界はさまざまな課題があるものの、将来性がある業界である
- デベロッパーやゼネコン、仲介会社など企業の種類によって仕事内容はさまざま
不動産業界とは?基本知識を理解しよう
不動産業界は、土地や建物の開発・売買・賃貸・管理を通じて、社会インフラを支える重要な業界です。日々の暮らしを支える住宅、ビジネスの拠点となるオフィス、ショッピングや交流の場となる商業施設など、私たちの生活に欠かせないあらゆる空間を創出しています。
不動産業界の市場規模
「国土交通白書(令和7年版)」によると、日本の不動産業は令和5年度時点で「全産業の売上高の3.5%」を占めています。さらに、全産業の法人数のうち12.9%が不動産業関連の企業で構成されており、企業の数がとても多いことがわかります。地域密着型の中小企業から全国展開する大手企業まで幅広く、業界のプレーヤーが多いのが大きな特徴です。

学生にとって不動産業界は「企業選択肢が豊富で、専門知識を磨くことで長く活躍できるフィールド」といえるでしょう。
不動産業界全体の仕組み
不動産業界は、「土地を開発する → 建てた物件を流通させる → 管理して収益を得る」という一連の流れで成り立っています。

このサイクルを理解しておくと、企業ごとの役割や仕事内容が見えやすくなり、業界研究がより深まります。それぞれの工程を詳しくみていきましょう。
開発|不動産をつくる
不動産ビジネスは、まず「開発」からスタートします。開発とは、土地を取得し、住宅・オフィスビル・商業施設などを建てるプロセスのことです。この分野を中心に担うのが、「デベロッパー」と呼ばれる企業です。
開発には多額の資金と長期的な計画が必要で、土地の選定から建物の企画・設計・施工まで、数年単位で進むこともあります。大規模プロジェクトが完成したときの達成感は大きく、「街づくりに関わる仕事がしたい」と考える方に向いています。一方で、景気や法規制の影響を受けやすい分野であるため、変化への柔軟な対応力も必要です。
流通|不動産を動かす
建てられた物件は、次に「流通」のフェーズに入ります。ここでは、不動産を売ったり貸したりするための仲介業務がメインです。例えば、住まいを探している個人や、オフィスを探している企業に対して、希望に沿った物件を紹介し、契約のサポートまで行います。人と住まいをつなぐ橋渡しのような役割です。
流通には、大きく分けて2つの業務があります。
不動産業界の流通業務
- 売買仲介:住宅やオフィスなどの購入・売却をサポートする
- 賃貸仲介:アパートやマンションなど、賃貸物件を借りたい方に物件を紹介する
流通の分野では営業職が多く活躍しており、コミュニケーション能力や提案力が活かせる分野です。
管理|不動産を維持・運営する
入居者が決まった物件や企業が保有する不動産は、安定的に収益を上げるために「管理」をする必要があります。不動産管理の仕事には、建物のメンテナンス、修繕対応、入居者とのやりとり、賃料の回収など幅広い業務があります。
管理の分野は、物件の所有者(オーナー)に代わって資産を守るという、責任のある立場であることが特徴です。誠実な対応や細やかな気配りが求められるため、「裏方として支える仕事がしたい」「信頼関係を大切にしたい」という方に向いている仕事です。
近年の不動産業界の動き・今後の動向
不動産業界は、景気や社会の変化を受ける産業です。近年は少子高齢化や都市部への人口集中、テレワークの普及、テクノロジーの進化、環境意識の高まりなどにより、不動産業界のビジネスモデルや顧客ニーズが変わりつつあります。
ここでは、近年の不動産業界の動きや今後の動向をみていきましょう。
不動産テックの進展
「不動産テック(PropTech)」とは、不動産とテクノロジーをかけ合わせた新しい分野です。近年では、AI・IoT・ビッグデータなどの技術を活用したサービスが次々と登場し、業界に革新をもたらしています。
例えばこれまで対面で行っていた物件契約は、オンラインでの内覧や電子契約の登場により、パソコンやスマートフォンで完結するようになりつつあります。また、管理業務でもスマートロックや遠隔監視システムが導入され、業務の効率化や安全性の向上が進んでいます。こうした動きにより、業界全体が「効率よく、かつ便利に」変化しています。

不動産業界におけるITスキルやデジタルに対する柔軟性が、今後ますます求められるでしょう。
空き家問題と地方再生
少子高齢化や都市への人口集中によって、地方や郊外では空き家の増加が社会課題になっています。住宅地に誰も住んでいない家が長期間放置されると、防犯や防災の面でリスクが高まります。
こうした状況を受けて、国や自治体は空き家を活用するための支援策を強化しています。例えば、空き家をリノベーションして新たに販売・賃貸するほか、地域活性化に結びつけた取り組み(シェアハウスや地域交流スペースへの転用など)も広がっています。
テレワーク普及などによるオフィス需要の変化
コロナ禍をきっかけにテレワークが普及し、企業の働き方が変化しました。これにより、オフィスのあり方や空間の使い方も見直されています。
従来の「固定席のオフィス」からフレキシブルオフィスやシェアオフィスへの移行が進み、必要なときに必要な分だけ使うスタイルが広まっています。住宅分野でも在宅勤務がしやすい間取りやワークスペースがある物件の人気も高まっています。
環境配慮・ESG経営の推進
近年、気候変動や環境問題に対する意識の高まりを受けて、不動産業界でも「ESG経営」が重視されるようになってきました。ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの観点で企業の持続可能性を評価する考え方です。
具体的には、次のような取り組みが進められています。
- 省エネ性能の高いビルの開発
- 太陽光など再生可能エネルギーの導入
- 建物の環境性能に対する認証の取得

今後の不動産業界では、サステナブルな視点を取り入れた開発や管理がますます重要になっていくでしょう。
不動産業界の仕事内容【企業の種類別】
不動産業界には、開発から販売、管理、投資まで多種多様な企業が存在します。ここでは、企業の種類別で役割や仕事内容などを紹介します。
デベロッパー(開発業者)
デベロッパーは、土地を取得し、商業施設・オフィスビル・マンションなどの建物を企画・開発する企業です。都市の再開発や新しい街づくりなど、スケールの大きなプロジェクトに携われるのが魅力です。
例えば、都心に商業施設を開発する場合、土地の調査や取得、建物のコンセプト設計、テナントの誘致、建設のスケジュール調整、完成後の運営方針まで一貫して関わります。やりがいは大きい一方、計画から完成までに数年かかる長期プロジェクトも多く、責任感や調整力が求められるでしょう。
ゼネコン(総合建設会社)
ゼネコンは「ゼネラル・コントラクター」の略で、建物を実際に建てる企業です。デベロッパーが企画したプロジェクトに基づき、設計・施工を担います。
オフィスビルや商業施設だけでなく、橋やトンネルといったインフラ建設にも関わることがあります。現場での進行管理や安全管理が重要で、チームを動かすリーダーシップが求められるでしょう。
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建設業界とは?仕事内容や将来性・課題、向いている人をわかりやすく解説
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ハウスメーカー
ハウスメーカーは、おもに一般個人向けの住宅を建設・販売する企業です。注文住宅では顧客の希望に沿って一から設計し、建売住宅ではあらかじめ建てた住宅を販売します。
ハウスメーカーの営業職は、住宅展示場などで顧客と向き合います。間取りや内装などを一緒に考える機会が多く、人の人生に寄り添う提案ができるやりがいがあります。設計職や施工管理職など、専門職として活躍する道もあります。
不動産仲介業者
不動産仲介業者は、売主と買主、貸主と借主をつなぐ役割を担います。物件の紹介や契約締結のサポートがおもな仕事です。仲介には「売買仲介」と「賃貸仲介」の2種類があり、営業スタイルや顧客層が異なります。
売買仲介
住宅を「売りたい人」と「買いたい人」をマッチングする仕事です。戸建住宅やマンションなどの住まいだけでなく、オフィスビルや土地といった法人向けの案件を扱うこともあります。
売買仲介の具体的な業務
- 売主から依頼を受けて物件の調査・査定を行う
- 買主を探すため広告を出したり、紹介営業をしたりする
- 内見の案内や条件交渉、契約手続きをサポートする
賃貸仲介
賃貸仲介は、部屋を借りたい人と貸したいオーナーをつなぐ仕事です。アパート・マンション・一戸建てなどの住居用物件が中心ですが、店舗や事務所など事業用もあります。
賃貸仲介の具体的な仕事内容
- 来店・問い合わせ対応(お部屋探しの相談を受けるなど)
- 希望条件をヒアリングし、物件を提案する
- 内見に同行して物件を案内する
- 契約条件の調整や入居手続きの説明をする
- 契約書作成や鍵の引き渡しをする
住宅販売会社
住宅販売会社は、マンションや一戸建てを販売することを専門とした企業です。デベロッパーが開発した分譲住宅や、自社で建築した戸建住宅を顧客に販売します。
営業職として働く場合は、モデルルームや販売センターで接客を行い、顧客に物件の魅力を伝えながら購入をサポートします。住宅ローンや税制の知識も必要になるため、専門性が高い仕事です。
不動産管理会社
不動産管理会社は、建物が完成した後の維持・運営を行う企業です。マンションの管理組合のサポートや、賃貸物件の入居者対応、建物の点検や清掃、修繕計画など多岐にわたる業務を担います。
オーナーに代わって不動産を管理し、資産価値を守る重要なポジションです。誠実な対応力や長期的な信頼関係の構築が求められます。
不動産投資会社
不動産投資会社は、土地や建物を投資対象とし、収益を生むことを目的とした運用を行う企業です。賃料収入や物件の売却益を得るほか、投資家から資金を集めて運用する「不動産ファンド」の運営も行います。
特に代表的なのが「J-REIT(不動産投資信託)」です。投資家から集めた資金で、オフィスビルや商業施設といった複数の不動産に投資し、得られた収益を投資家に分配します。
不動産投資会社では、金融や法律、不動産の知識に加え、データ分析やマネジメントスキルが求められます。ロジカルに資産運用を考える仕事がしたい方がやりがいを感じられる分野です。
不動産業界の魅力とやりがい
不動産業界には、ほかの業界では味わえないやりがいや魅力があります。ここでは、就職先を選ぶ際に知っておきたい、不動産業界の魅力とやりがい4つを紹介します。
生活インフラを支える社会貢献性がある
「衣・食・住」の一角を担う「住」は、すべての人の生活の基盤です。不動産業界では、住宅に加え、オフィスビルや商業施設、医療・福祉施設など、人々が暮らし・働く場を提供しています。
また、都市開発や再開発といった「まちづくり」に関わる機会もあり、地域のにぎわいづくりや活性化にも貢献できます。「社会の役に立っている」と実感できるのは、不動産業界ならではの魅力です。
大きなスケールで仕事ができる
不動産業界では、ひとつの取引金額が数千万円から億単位に達することもあり、スケールの大きさが特徴です。特にデベロッパーや売買仲介の分野では、再開発プロジェクトや高額物件を機会が多く、大規模な仕事に携われます。
数年単位のプロジェクトを通して関係者と協力しながら進めていくため、完成時には大きな達成感につながるでしょう。

地域や街全体に影響を与えるような仕事をしたい方は、やりがいを実感しやすい分野です。
成果が目に見えて残る
建物や街は、一度完成すれば何十年も使われる資産になります。自分が関わった住宅や施設が地域のランドマークになったり、多くの人が日常的に利用する場所になったりと、形に残る仕事ができる点が特徴です。
また、住宅を扱う仕事では、顧客の人生の節目(結婚、引っ越し、マイホーム購入など)に立ち会えることもあります。人の記憶に残る仕事ができるのも、不動産業界のやりがいといえるでしょう。
経済動向や市場の変化を肌で感じられる
不動産は、景気や人口動態、企業の経済活動と深く関わっており、社会の動きに敏感な業界です。例えば、金利の変動や新しい税制、都市計画の変更などが、業務に直接影響を及ぼすこともあります。
このように、日々変わる市場の動きをキャッチしながら働くなかで、金融・税制・法律・マーケティングなど幅広いスキルが身につくのも魅力です。経済や投資に興味がある方にとって刺激的なフィールドといえるでしょう。
不動産業界で働く厳しさ
不動産業界には多くのやりがいや魅力がある一方で、働くうえでの厳しさも存在します。仕事選びのミスマッチを防ぐためにも、あらかじめ知っておきたいポイントを紹介します。
営業ノルマやプレッシャーが大きい
不動産仲介や住宅販売の営業職では、契約件数や売上目標といった明確な数字が設定されていることがあり、数字へのプレッシャーがあります。商品単価が高いため、1件の成約に至るまでに多くの時間と労力が必要です。
また、引っ越しシーズンなどの繁忙期には問い合わせや内見対応が集中し、遅い時間まで業務が続く場面もあります。数字に向き合うプレッシャーに対して、粘り強く取り組む姿勢が求められるでしょう。
景気や市場環境に左右されやすい
不動産業界は、景気動向や金利の変化、人口の増減といった外部環境の影響を受けやすいという特徴があります。例えば、景気が低迷すると企業の投資が控えられたり、住宅購入を検討する人が減ったりと、取引件数が落ち込むことがあります。

状況の変化に応じて柔軟に対応する力や、情報をキャッチアップしていく姿勢が大切です。
土日祝日に仕事がある場合がある
不動産の売買や賃貸の相談は、顧客の都合にあわせて行われるため、土日祝日が中心になる場合があります。特に個人向けの仲介や販売を担当する場合、土日は内見や契約の対応をする必要があります。
平日に代休が取れる制度は整備されているものの、友人や家族と休日があいにくく、プライベートの予定が立てづらいと感じることもあります。なお、不動産仲介業者や管理会社などは水曜日が固定休みとされていることが多い傾向です。
知識の幅広さ・責任感が求められる
不動産に関わる仕事では、建物に関する知識だけでなく、法律・税制・住宅ローンなどの専門知識も求められる場面があります。法令の改正や制度変更が頻繁にあるため、継続的な情報更新が必要です。
不動産は高額取引であり、契約内容に誤りがあるとトラブルや損害につながるリスクがあります。書類の不備や説明不足によって信頼を損ねたり、責任を問われたりする可能性もあるため、常に正確性が求められます。
不動産業界に向いている人の特徴
不動産業界にはさまざまな企業・職種がありますが、共通して求められやすい素質があります。ここでは、不動産業界に向いている人の特徴を3つ紹介します。
自分の成果を数字で実感したい
不動産の営業職では、契約件数や売上などの目標が明確に設定されており、結果が数字としてしっかり可視化されます。日々の努力や工夫が数字でわかるため、自分の成長を実感しやすく、仕事へのモチベーションにもつながります。
数字を目標にして取り組むのが好きな方や、実績を振り返って成長を確認したい方は、力を発揮しやすいでしょう。
粘り強く行動できる
不動産取引は、1件の成約までに時間がかかることも多く、短期的に成果が出にくい時期もあります。だからこそ、コツコツと顧客との信頼を積み重ね、丁寧に行動できる方が活躍できるでしょう。

小さな努力を地道に続けられるタイプは、不動産業界との相性がよいといえます。
変化に対して柔軟に対応できる
不動産業界は、社会や経済の動きに大きく影響されます。さらに、法律・制度・テクノロジーの進化など、業界内の変化も日々起こります。
そのため、新しい情報を前向きに吸収し、柔軟に対応できる方が重宝されます。変化をチャンスと捉えて行動できる方には、やりがいのある職場です。
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不動産業界への就職に向けてできること
不動産業界への就職を目指すうえで、これから準備しておきたいこと4つを紹介します。
業界研究・企業研究を深める
不動産業界は開発・流通・管理などさまざまな分野に分かれており、企業によってビジネスモデルや業務内容も異なります。まずは業界全体の構造を理解し、どの分野に関心があるかを明確にしておくことが大切です。加えて、空き家問題や不動産テックの進展など、業界特有の動向や課題にも目を向けることで、面接での志望動機に説得力が生まれるでしょう。
また、「なぜ不動産業界を選んだのか」「どのように貢献したいのか」を自分の経験や価値観と結びつけて言語化しておくと、面接や書類での自己PRにもつながります。
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会社説明会やインターンシップに参加する
実際に企業で働く人の話を聞いたり、現場を体験したりできる機会は、業界や職種への理解を深めるうえで有効です。特に営業や仲介など顧客とのコミュニケーションが中心となる仕事では、説明会やインターンシップを通じて仕事の流れや社風を知ることで、自分にあうかどうかを判断しやすくなります。

複数の企業に触れて比較することで、企業ごとの特徴や働き方の違いも見えてきます。
宅地建物取引士など資格取得を検討する
不動産業界を目指すうえで、関心のある分野や将来の働き方にあわせて資格取得を検討するのもおすすめです。なかでも「宅地建物取引士(宅建)」は、不動産取引に関する法律知識を証明できる国家資格として、実務の現場で高く評価されています。売買や賃貸契約時に必要となる「重要事項説明」を行えるのは宅地建物取引士だけであり、多くの企業で取得が推奨されています。
そのほかにも、ファイナンシャルプランナー(FP)資格はライフプランや資産運用に関する知識、簿記資格は不動産経営や管理業務で役立つ会計の基本知識を身につけることができます。自分の興味や進みたい分野にあった資格を選ぶことで、将来のキャリアの幅が広がるでしょう。
コミュニケーション能力や提案力を磨く
不動産の仕事では、顧客や取引先とのやりとりが日常的に行われるため、相手の意図をくみ取り、信頼関係を築く力が求められます。学生のうちから、人と関わる機会の多い活動(アルバイト、サークル活動、ボランティアなど)を通じて、相手にあわせた説明や提案の練習を積んでおくのがおすすめです。
また、面接ではこうした経験から得た「伝える力」「聞く力」「調整力」などを具体的に伝えることで、仕事への適性をアピールしやすくなります。
不動産業界の志望動機例文
不動産業界の志望動機は、業界全体への関心・志望理由を明確にしつつ、企業ごとの強みや特徴を踏まえて「なぜその企業を志望するか」を明確に伝えることが大切です。
ここでは、不動産業界の志望動機の例文を紹介します。
不動産仲介業者・営業職志望
例文
私は「人と人をつなぎ、信頼関係を築く仕事」にやりがいを感じ、不動産仲介を行う貴社を志望しています。大学1年生のときから続けている塾講師のアルバイトを通して、生徒や保護者と密にコミュニケーションを取りながら信頼を築くことに喜びを感じました。不動産の売買や賃貸は、お客様の人生にとって大きな選択だからこそ、一人ひとりの希望や不安に真摯に向き合って物件を提案し、安心して契約まで進めていただける営業を目指したいと考えています。
説明会で拝見した貴社の「地域密着の提案力」にひかれ、地域の暮らしに深く関わる提案ができる点に魅力を感じました。お客様にとっての「ベストな住まい探し」のパートナーとなれるよう、自分の提案力と信頼関係構築力を磨いていきたいです。
ポイント
- 「人と接することが好き」「信頼関係を築くことが得意」といった自分の強みを具体的な経験に基づいて説明
- 仲介営業職の特徴(人生の大きな決断を支える)と結びつけている
- 企業研究の要素(地域密着)を入れることで、企業ごとの志望理由としても説得力を強化
デベロッパー・開発職志望
例文
私は街や空間を形づくり、長く残る仕事がしたいという想いから、デベロッパー業界に関心を持ちました。大学時代に都市計画の授業を履修し、街づくりの事例を学んだことをきっかけに、空間が人々の暮らしや地域の魅力に与える影響の大きさを実感しました。
なかでも貴社は、〇〇再開発プロジェクトなど、地域の価値を高める大規模な街づくりを多数手がけており、用地取得から企画、テナント誘致まで一貫して関わる開発力に強くひかれました。プロジェクトは長期にわたりますが、関係者と協力しながらひとつの街をつくりあげるという責任感と達成感は、ほかの仕事では得られない魅力だと感じています。貴社に入社して、人々の暮らしを支える空間づくりに挑戦したいと考えています。
ポイント
- 「なぜデベロッパーか」という動機を、授業などの経験と結びつけて明確にしている
- 街づくりの社会的意義と、自身が感じるやりがいを丁寧に表現
- 企業の具体的なプロジェクト名や特長を盛り込むことで志望度の高さをアピール
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不動産業界の志望動機の書き方|職種・企業別の例文や差別化ポイントを解説
不動産業界の志望動機は、業界への関心や企業選びの理由、入社後の展望をわかりやすく述べることが重要です。この記事では、不動産業界の志望動機の書き方や職種・企業別の例文、差別化のポイント、注意点を詳しく解説します。
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よくある質問
不動産業界とはどんな業界ですか?
不動産業界は、土地や建物に関するさまざまなサービスを提供する業界です。事業内容は企業によってさまざまで、住宅やオフィスビル、商業施設の開発・売買・賃貸・管理・資産運用などを行います。いずれも人々の暮らしや経済活動の基盤を支える重要な役割を担っています。
詳しくは「不動産業界とは?基本知識を理解しよう」を確認してみてください。
不動産業界の年収はどれくらいですか?
doda「業種分類別の平均年収ランキング」によると、不動産業界の平均年収は441万円です。1位は「ディベロッパー」で511万円、2位は「不動産金融」で500万円、3位はゼネコン/サブコンで475万円です。
不動産業界の将来性はありますか?
少子高齢化や人口減少による住宅需要の変化はありますが、不動産テックの進化、空き家活用、資産運用市場の成長など、さまざまな新しいビジネスチャンスが生まれています。今後もテクノロジーや社会のニーズに対応しながら、進化し続ける可能性の高い業界です。