動物に関わる仕事は、獣医師や動物看護師といった医療系、トリマーやペットシッターなどのケア系、動物園や水族館の飼育員、さらに盲導犬訓練士やペット用品メーカーなど、さまざまな選択肢があります。
まずは自分の関心分野を明確にし、どんな職種があるのかを知ることで、仕事選びの幅を広げられるでしょう。
この記事では、動物に関わる仕事27選を5つのカテゴリ別に紹介します。後半では仕事選びのポイントも解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 動物に関わる仕事は、診療、ケア、飼育、訓練から商品開発や保険まで幅広い分野がある
- 動物に関わる仕事を選ぶ際は、自分の関心分野を明確にし、必要な資格や学びを確認する
- 資格が不要な仕事も多いが、資格があることで専門性の証明やキャリアアップにつながることがある
動物に関わる仕事とはどんな仕事?
動物に関わる仕事とは、ペットや野生動物、産業動物などを対象に、世話・医療・研究・教育・産業支援といった分野で取り組む職業です。
動物と直接触れ合う仕事だけでなく、商品開発や教育活動を通じて間接的に関わる仕事も含まれます。
動物に関わる仕事は「動物が好き」という気持ちだけでなく、専門知識や体力、責任感が求められることもあります。国家資格が必要な専門職から、サービス系の仕事まで幅広いため、職種によって収入の目安も異なります。
動物に関わる仕事27選一覧【向いている人・やりがい】
動物に関わる仕事をカテゴリ別に一覧でまとめました。興味のある仕事・職種があれば、詳細をチェックしてみてください。
| カテゴリ | 仕事・職種 | 仕事内容例 |
|---|---|---|
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動物の健康を |
獣医師 | 動物の診療・治療・手術・ 予防接種 飼い主への説明 |
| 動物看護師 | 獣医師の診療補助 入院動物のケア 飼い主サポート |
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| 動物理学療法士・ リハビリ |
動物のリハビリ計画 歩行訓練 マッサージや物理療法 |
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| ペット栄養管理士 | 動物の栄養指導 食事プラン作成 生活習慣病予防支援 |
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| 畜産技術者 | 家畜の飼育管理 品種改良 衛生指導 |
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| 家畜防疫官 | 動物や畜産物の検査 伝染病予防 防疫活動 |
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| 動物の世話や 美容に関わりたい |
トリマー | 動物の毛のカット・シャンプー 爪切り 皮膚や体調チェック |
| ペットシッター | 動物の食事・散歩・ トイレ掃除 飼い主の留守中のケア |
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| ペットホテル スタッフ |
ペットの宿泊・日中の預かり・ 給餌・散歩・健康確認 |
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| アニマルカフェ スタッフ |
カフェでの接客 動物の健康管理 清掃 衛生管理 |
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| ペットショップ スタッフ |
ペットの販売 飼育管理 飼い主への飼育アドバイス |
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| 動物の飼育や 繁殖に携わりたい |
動物園飼育員 | 動物への餌やり 掃除 健康チェック 展示準備 来園者への解説 |
| 水族館飼育員 | 海洋生物への給餌 水槽管理 健康チェック ショーや解説イベントの対応 |
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| ブリーダー | ペットや家畜の交配計画 出産管理 子犬や子猫の育成 健康管理 |
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| 牧場スタッフ (酪農・畜産) |
家畜の搾乳・給餌 繁殖管理 出荷 清掃 |
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| しつけや訓練に 興味がある |
ドッグトレーナー | 犬のしつけ 行動改善 飼い主への指導 |
| ドッグライフ カウンセラー |
犬のしつけ 指導食事や運動 住環境のアドバイス |
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| 盲導犬訓練士 | 盲導犬の育成 段階的訓練 使用者との共同訓練 |
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| 介助犬訓練士 | 介助犬の育成 生活動作訓練 使用者との共同訓練 |
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| 警察犬訓練士 | 警察犬の育成 犯人の追跡 行方不明者の捜索 |
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| 空港探知犬 ハンドラー |
空港や港での荷物検査 空港探知犬の訓練 健康管理 |
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| セラピードッグ トレーナー |
セラピードッグの育成 医療・介護現場での活動支援 |
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| 調教師 | 競走馬の調教 健康管理 トレーニング計画作成 |
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| 騎手 | 競走馬への騎乗 レース戦術 体重管理 体力づくり |
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| 動物に関連する商品・ サービスに関わりたい |
アニマルトレーナー | 映画・CM・テーマパークでの 動物演技指導 安全管理 |
| 動物・ペット用品 メーカー |
商品企画・開発・研究・ 営業・販売 |
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| ペット保険会社 スタッフ |
保険商品の企画・営業 顧客対応 カスタマーサポート |
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| 動物葬祭業スタッフ | 葬儀 火葬 供養 飼い主のサポート |

実際の仕事内容は職場によって異なる場合があります。興味がある仕事が見つかったら、志望の勤務先の仕事内容を詳しくチェックしてみましょう。
ここからは、職種ごとの仕事内容ややりがい、必要な資格などを解説します。
動物の健康を守りたい人向け
「動物の健康を守りたい」と考える人向けの仕事には、次のようなものがあります。
獣医師
獣医師は、犬や猫などのペット、牛や豚などの産業動物、動物園の動物まで幅広く診療する仕事です。治療や手術に加え、予防接種、衛生管理、飼い主への説明など多岐にわたる業務を担います。
獣医師になるには、大学の獣医学部で6年間学び、農林水産省が行う獣医師国家試験に合格する必要があります。獣医師免許の交付を受けたら、動物病院やペットクリニックで働く流れが一般的です。専門性が高い職種のため、給料は高めの傾向があります。
獣医師の特徴
- 向いている人:動物や人を支えることにやりがいを感じる、冷静な判断力を持つ
- やりがい:動物の命を救える、飼い主から感謝される、動物医療を通じて社会貢献ができる
- 厳しさ:資格取得までのハードルが高い、勤務先によっては夜間勤務がある
動物看護師
動物看護師は獣医師のサポート役として、診療補助、入院動物のケア、飼い主への説明などを行います。2022年から「愛玩動物看護師」として国家資格化され、より専門性の高い職業となりました。
就職先は動物病院が一般的ですが、ペットショップや動物園、動物管理センターなどでも動物看護師の募集がされています。
動物看護師の特徴
- 向いている人:人と動物の橋渡しをしたい、サポート業務が得意
- やりがい:治療に直接関わり動物を支えられる、飼い主に安心を与えられる
- 厳しさ:体力的な負担が大きい、勤務先によっては夜間勤務もある
動物理学療法士・リハビリ
動物理学療法士は、獣医師の指示のもと、動物に理学療法を提供する仕事です。動物病院やペットクリニックで獣医師と連携しながらリハビリプランを立て、ウォーキング、マッサージ、レーザー治療などを通じて動物の身体機能の回復を目指します。
動物理学療法士の国家資格はありませんが、獣医療の知識と理学療法の理論や技術が必要です。
動物理学療法士の特徴
- 向いている人:コツコツと取り組むことが好き、動物の小さな変化に気づける
- やりがい:リハビリを通じて動物の回復を実感できる
- 厳しさ:地道な作業が多い、明確な資格制度がないため学び続ける姿勢が必要
ペット栄養管理士
ペット栄養管理士は、ペットの健康維持や生活習慣病の予防に取り組む専門職です。動物病院、ペットシッター、ペットホテルなど、ペットに関わるさまざまな分野で活躍できる仕事です。
ペット栄養管理士の資格を取得するには、日本ペット栄養学会が実施する養成講習会を修了し、認定試験に合格する必要があります。そのうえで学会会員となり、管理士名簿に登録することで、正式にペット栄養管理士として認定されます。
なお、認定試験の受験資格を得るためには、獣医学・畜産学・農芸化学などの学科を修めているか、専門学校で所定の課程を学んでいること、または認定委員会が同等の知識を有すると認める者であることが条件です。
ペット栄養管理士の特徴
- 向いている人:食事や栄養に関心がある、動物の健康を支える役割を担いたい
- やりがい:食事指導を通じて病気の予防に役立てられる、飼い主に安心感を与えられる
- 厳しさ:専門知識を学び続ける必要がある、栄養指導の成果が出るまで時間がかかる
畜産技術者
畜産技術者は、牛や豚、鶏などの家畜に関わり、品種改良、飼育管理、衛生指導を行う専門職です。農林水産業や食品産業を支える基盤的な仕事といえます。
おもな就職先には、家畜改良センターや地域農業改良普及指導センター、畜産試験場、農業協同組合、民間企業などがあります。
畜産技術者になるには、専門課程をもつ学校で知識や技術を学ぶことが必要です。公的な立場から生産者に技術指導を行う普及指導員になるには「農業改良助長法施行令」に基づく資格試験に合格する必要があります。
畜産技術者の特徴
- 向いている人:農業や食に関心がある、動物や自然環境に関わることが好き
- やりがい:食の安定供給を支えられる、研究成果が現場で生かされる
- 厳しさ:屋外での作業も多く体力が必要、気候や市場動向に影響を受けやすい
家畜防疫官
家畜検疫官は、家畜の伝染病を未然に防ぎ、発生時には検査や防疫活動を行う国家公務員です。全国の主要な貿易港や国際空港に設置された動物検疫所で勤務し、輸出入される動物や畜産物を検査します。海外からの伝染病の侵入を防ぎ、食の安全や人への感染防止にも直結する重要な役割です。
家畜検疫官になるには、獣医系技術職員(国家公務員総合職相当)または畜産系技術職員(国家公務員一般職相当)の採用試験に合格する必要があります。獣医系では獣医師免許が必須となりますが、畜産系では畜産学や動物科学の知識を生かして活躍できます。
家畜防疫官の特徴
- 向いている人:動物防疫や食の安全に関心がある、国際的な仕事に携わりたい
- やりがい:輸出入動物の検査を通じて国民の健康や畜産業を守れる
- 厳しさ:感染症発生時には迅速な対応を心がける必要がある
動物の世話や美容に関わりたい人向け
動物の世話や美容に関わる仕事としては、次のような選択肢があります。
トリマー
トリマーは、犬や猫などのペットを対象に、カットやシャンプー、爪切りなどを行う仕事です。単なる美容だけでなく、皮膚や体調の異常を早期に見つける役割も担います。
トリマーになるために特別な学歴や必須資格はありませんが、トリマー養成コースのある専門学校で技術を学び、民間資格を取得して就職する流れが一般的です。
トリマーの特徴
- 向いている人:手先が器用で細かい作業が好き、動物をきれいに整える仕事がしたい
- やりがい:動物を美しく仕上げられる、飼い主にも喜んでもらえる
- 厳しさ:立ち仕事や体力を使う作業が多い、動物が嫌がるなかで作業をする場面もある
ペットシッター
ペットシッターは、飼い主が留守にしている間に飼い主の家を訪問し、動物の世話をする仕事です。食事、散歩、トイレ掃除、健康チェックなどを代行し、ペットに安心できる環境を提供します。
ペットシッターになるために必須の資格はありませんが、独立開業するには「第一種動物取扱業(保管)」の登録が必要です。
ペットシッターの特徴
- 向いている人:動物とじっくり向き合いたい、責任感を持って世話ができる
- やりがい:ペットが安心して過ごせる環境を整えられる、飼い主から信頼を得られる
- 厳しさ:不規則な依頼が多く生活リズムを整えにくい、動物の体調変化に迅速な対応が必要
ペットホテルスタッフ
ペットホテルスタッフは、旅行や出張などで飼い主が不在の間にペットを預かり、宿泊や日中のケアを行う仕事です。食事の提供、散歩、健康状態の確認、清掃など幅広い業務を担当します。
就職先はペットホテルのほか、動物病院、トリミングショップ、ペットショップなどがあります。
ペットホテルスタッフの特徴
- 向いている人:複数の動物を同時に管理できる、体力に自信がある
- やりがい:長時間ペットと関われる、飼い主からの信頼を得られる
- 厳しさ:夜間勤務がある、土日祝や長期連休に休みを取りにくい
アニマルカフェスタッフ
アニマルカフェスタッフは、猫カフェや小動物カフェなどで接客と動物の管理を行う仕事です。動物の健康状態を把握しながら、来店客が安心して触れ合える空間をつくります。資格は不要で、未経験でも働けることが多い職種です。
アニマルカフェスタッフの特徴
- 向いている人:人と接することが好き、動物の体調や様子に気を配れる
- やりがい:動物との触れ合いを通じて来店客を楽しませられる
- 厳しさ:接客と動物管理を両立する必要がある、衛生管理の徹底が重要
ペットショップスタッフ
ペットショップスタッフは、犬や猫、小動物、爬虫類など幅広いペットを販売・管理する仕事です。販売だけでなく、飼育管理や飼い主へのアドバイス、ペット用品の販売も行います。
特に必須資格はありませんが、動物専門学校などでトリマーなどの民間資格を取得しておくと有利になることがあるでしょう。
ペットショップスタッフの特徴
- 向いている人:多様な動物に興味がある、説明や接客が得意
- やりがい:飼い主と動物の出会いをサポートできる、飼育や飼い方の知識を生かせる
- 厳しさ:接客、販売と飼育管理を幅広くこなす必要がある
動物の飼育や繁殖に携わりたい人向け
動物の飼育や繁殖に関わりたい人には、次のような仕事の選択肢があります。
動物園飼育員
動物園飼育員は、ライオンやゾウなど多様な野生動物の飼育を行い、餌やり、健康チェック、掃除、展示準備などを担当します。来園者への解説やガイド、動物の生態を伝える教育活動も大切な役割です。近年は希少種の繁殖や保全活動にも力が入れられています。
動物園飼育員になるために必須の資格や学歴はありませんが、施設によっては、動物系の学校で、動物に関する知識を学んだことを条件としている場合もあります。
動物園飼育員の特徴
- 向いている人:動物の観察が得意、根気よく世話を続けられる
- やりがい:多様な動物と関われる、希少種の繁殖や保全に携われる
- 厳しさ:体力を使う作業が多い、動物が思い通りに動かないこともある
水族館飼育員
水族館飼育員は、魚類、イルカ、ペンギン、クラゲなどの水生生物を飼育・展示する仕事です。餌の準備や給餌、水槽の清掃や水質管理、健康チェックなどがおもな業務です。来館者向けのショーや解説イベントに携わることもあり、教育的な役割もあります。
水族館には、観客向けのショーを担当するドルフィントレーナーや教育プログラムを企画する職種もあります。特に学歴や資格は必須ではありませんが、水生生物の知識が必要です。潜水士の資格があると有利になることもあります。
水族館飼育員
- 向いている人:海や水生生物に関心がある、環境管理に丁寧に取り組める
- やりがい:海の生き物を身近に感じられる、ショーや展示を通じて来館者に楽しんでもらえる
- 厳しさ:水槽管理や潜水作業など専門的な作業が多く、体力や技術が必要
ブリーダー
ブリーダーは、犬や猫などのペットや家畜を繁殖させる仕事です。血統や健康を管理し、新しい飼い主へとつなぐ役割を担います。
おもな業務としては、交配計画や出産の立ち会い、子犬や子猫の育成、ワクチン接種の準備などがあります。命を扱うため責任感が必要ですが、飼い主と動物を結びつける大切な役割といえるでしょう。
ブリーダーの特徴
- 向いている人:動物の繁殖や成長に関心がある、日々の世話を根気よく続けられる
- やりがい:子犬や子猫の成長を見守れる、新しい飼い主との出会いをつなげられる
- 厳しさ:出産や育成で昼夜問わず対応が必要、命を扱うため精神的な負担が大きい
牧場スタッフ(酪農・畜産)
牧場スタッフは、牛や豚、鶏などの家畜を育てる仕事です。担当する業務は、搾乳、給餌、清掃、出荷、繁殖管理など日常業務は多岐にわたります。
酪農や畜産は地域産業や日本の食料供給を支える仕事です。家畜と長時間関わることは体力的にハードですが、命を育てて食につなげる実感を得られるでしょう。
牧場スタッフの特徴
- 向いている人:体を動かす仕事が好き、規則正しい作業を続けられる
- やりがい:家畜の成長を間近で見られる、育てた命が食として社会につながる
- 厳しさ:早朝からの作業が多い、体力的な負担が大きい
しつけや訓練に興味がある人向け
動物のしつけや訓練を専門に行う仕事にも、多くの種類があります。それぞれの仕事の特徴を見ていきましょう。
ドッグトレーナー
ドッグトレーナー(家庭犬トレーナー)は、家庭犬のしつけや問題行動の改善を行う仕事です。無駄吠えや噛み癖、分離不安など犬の行動を改善するだけでなく、飼い主に正しい接し方を指導する役割も担います。
ドッグトレーニングアドバイザーや犬のしつけインストラクターなどの民間資格を取得して就職するケースが一般的です。なかには、ペットショップや動物病院で働いたあとに独立開業する人もいます。
ドッグトレーナーの特徴
- 向いている人:犬の行動を観察するのが得意、人と話すのが好き
- やりがい:問題行動が改善され、飼い主と犬が快適に暮らせるようになる
- 厳しさ:犬が思うように反応しないことも多く、根気が必要
ドッグライフカウンセラー
ドッグライフカウンセラー(DLC)は、しつけだけでなく、食事・運動・住環境など犬の生活全般を改善し、飼い主と犬の両方をサポートする職種です。飼い主のライフスタイルに合わせた包括的なアドバイスを行う点が特徴です。
ドッグライフカウンセラー検定試験などの資格を取得して就職するのが一般的です。
ドッグライフカウンセラーの特徴
- 向いている人:犬の暮らし全体を考えられる、幅広い知識を学ぶのが好き
- やりがい:生活改善を通じて犬と飼い主の絆を深められる
- 厳しさ:しつけだけでなく栄養や住環境など幅広い知識が必要
盲導犬訓練士
盲導犬訓練士は、視覚障害者の生活を支える盲導犬を育てる仕事です。子犬の段階から適性を見ながら訓練を進め、最終的には使用者と犬が一緒に生活できるよう共同訓練を行います。
盲導犬訓練士になるには、まず盲導犬育成施設に就職する必要があります。働きながら学んだあと、採用試験や数年の実地研修を経て訓練士としてひとり立ちします。
盲導犬訓練士の特徴
- 向いている人:犬と長期的に向き合える、根気よく取り組める
- やりがい:盲導犬が育ち、実際に人の生活に役立つ姿を見届けられる
- 厳しさ:訓練期間が長く、犬の適性によっては成功しないこともある
介助犬訓練士
介助犬訓練士は、身体障害者の日常生活を支える介助犬を育てる仕事です。介助犬は物を拾ったりスイッチを押したり、緊急時に助けを呼んだりして、使用者の生活をサポートします。犬の適性を見極めながら長期的な訓練を行い、最終的には使用者との共同訓練を通じて生活に馴染むよう調整します。
介助犬訓練士は犬に適した指導法、医療や福祉関連の知識が必要です。福祉系や動物系の学部・養成学校で学んだうえで、日本介助犬協会などの認定団体に所属し、研修や現場経験を積むのが一般的です。
介助犬訓練士の特徴
- 向いている人:犬とじっくり向き合える、人の生活を支えることに関心がある
- やりがい:介助犬が使用者の日常を助ける姿を見られる
- 厳しさ:長期にわたる訓練が必要で、犬の適性に左右されやすい
警察犬訓練士
警察犬訓練士は、犯人の追跡や行方不明者の捜索、証拠品の発見などに協力する警察犬を育てる仕事です。警察犬に必要になる「嗅覚」の訓練のほか、施設の警護などの訓練を行います。
警察犬訓練士には、「直轄警察犬訓練士」と「嘱託警察犬訓練士」の2つの種類があります。直轄警察犬訓練士は、警察官採用試験に合格し、警察組織内で勤務する流れです。嘱託警察犬訓練士は民間の警察犬訓練所で見習い訓練士としての経験を積み、公認訓練士資格を取得した後に警察と契約して活動します。
警察犬訓練士の特徴
- 向いている人:犬の能力を伸ばすことに興味がある、体力に自信がある
- やりがい:捜索や追跡で犬が成果を出したときの達成感が大きい
- 厳しさ:厳しい訓練を続ける必要があり、根気と体力が必要
空港探知犬ハンドラー
空港探知犬ハンドラーは、空港や港で探知犬とともに働き、違法薬物や農産物の持ち込みを防ぐ仕事です。農林水産省や税関に勤務し、犬と行動を共にしながら検疫や密輸防止の最前線で活躍します。
空港探知犬ハンドラーになるためには特に資格は不要ですが、農林水産省や税関職員として働く場合は公務員試験に合格し、税関職員として採用されることが必要です。民間の委託企業で働く場合は、ドッグトレーナー専攻のある専門学校に進学したり、プロのハンドラーのもとで実務経験を積み、犬の知識や技術を習得したりする必要があります。
空港探知犬ハンドラーの特徴
- 向いている人:犬と行動を共にしたい、公的な場で働きたい
- やりがい:犬と一緒に社会の安全を守れる
- 厳しさ:不規則な勤務や長時間労働になることもある
セラピードッグトレーナー
セラピードッグトレーナーは、医療・介護施設や学校で活動するセラピードッグを育成し、犬を通じて安心や癒しを届け、リハビリや心のケアに役立てる仕事です。セラピードッグ関連団体の講座や研修を受け、認定試験に合格することが必要とされています。
セラピードッグトレーナーの特徴
- 向いている人:犬との触れ合いを大切にしたい、福祉や医療に関心がある
- やりがい:犬を通して人の心を和ませられる
- 厳しさ:犬と人の双方への配慮や柔軟さが必要
調教師
調教師は、競走馬の調教や健康管理を行い、レースで活躍できるよう育てる仕事です。馬主・獣医師・厩務員と連携しながら、日々のトレーニングを計画・実施します。
調教師になるには、日本中央競馬会(JRA)や地方競馬が行う調教師免許試験に合格する必要があります。試験は28歳以上から受験可能です。試験内容は調教技術や学力(競馬関係法規、馬学など)のほか面接と身体検査があり、厳しい競争を勝ち抜いた人だけが携われる仕事です。
調教師の特徴
- 向いている人:馬の成長を長期的に支えたい、計画的に物事を進められる
- やりがい:自分が育てた馬がレースで活躍する姿を見られる
- 厳しさ:免許試験の難易度が高く、合格までに長い準備が必要
騎手
騎手は、競走馬に騎乗してレースに出場する仕事です。勝利を目指して馬の能力を最大限に引き出す技術や戦術眼が必要となります。軽量であることが有利とされるため、日々の体重管理や体力づくりも欠かせません。
騎手になるには、日本中央競馬会(JRA)の競馬学校などで専門教育を受け、騎手免許試験に合格する必要があります。
騎手の特徴
- 向いている人:スピード感のある競技が好き、努力を続けられる
- やりがい:大観衆の前でレースに挑み、勝利したときの達成感が大きい
- 厳しさ:体重管理や公正確保のルールが厳しく、日常的に制限や鍛錬が必要
動物に関連する商品・サービスに関わりたい人向け
動物やペットに関する商品やサービスを扱う仕事もあります。研究や商品企画から販売、サービス提供まで、活躍の場は幅広いです。
アニマルトレーナー
アニマルトレーナーは、映画やCM、舞台、テーマパークなどで活躍する動物に演技や行動を指導する仕事です。対象は犬や猫だけでなく、馬や鳥など多岐にわたります。演出の意図を理解し、動物を安全に動かす調整力が必要になります。
動物専門学校でトレーニングを学んだり、民間資格を取得したりして、プロダクションやテーマパークに就職するのが一般的です。
アニマルトレーナーの特徴
- 向いている人:動物と信頼関係を築くのが得意、現場で臨機応変に対応できる
- やりがい:動物の活躍を通じて多くの人に感動を届けられる
- 厳しさ:動物が思うように動かない場面も多く、粘り強さが必要
動物・ペット用品メーカー
動物・ペット用品メーカーでは、ペットフードやケア用品、玩具、洋服などを企画・開発・販売します。メーカーによって研究職から商品企画、営業職まで幅広い職種があり、ペットの健康や快適な暮らしを支える産業です。
農学・獣医学・食品系を専攻して研究職を目指すケースや、メーカーの一般職や営業職として働く道もあります。
動物・ペット用品メーカーの特徴
- 向いている人:商品企画や研究に興味がある、動物の暮らしを支えたい
- やりがい:自分が関わった商品が店頭に並び、飼い主やペットの生活に役立つ
- 厳しさ:流行や市場の変化が早く、常に新しいアイデアが求められる
ペット保険会社スタッフ
ペット保険会社スタッフは、ペットの病気やケガに備える保険商品の企画・営業・顧客対応を行います。飼い主に安心を届ける社会的意義の高い仕事です。
ペット保険会社や大手保険会社に入社し、商品企画・営業・カスタマーサポートに配属されるのが一般的です。獣医師資格やペット栄養の知識があれば専門性を活かした働き方も可能です。
ペット保険会社スタッフの特徴
- 向いている人:数字やデータを扱うのが得意、動物関連の知識を業務に生かしたい
- やりがい:飼い主が安心して医療を受けられる環境づくりに関われる
- 厳しさ:契約や顧客対応で正確さと丁寧さが重要になる
動物葬祭業スタッフ
動物葬祭業スタッフは、ペットの葬儀や火葬、供養を行う仕事です。飼い主の心に寄り添い、大切なペットの最期をサポートします。精神的ケアの役割も大きく、近年需要が高まっています。
葬祭業やペット葬儀会社に就職するのが一般的で、資格は必須ではありませんが、動物葬祭ディレクターなどの民間資格が役立ちます。
動物葬祭業スタッフの特徴
- 向いている人:人の気持ちに寄り添える、落ち着いた対応ができる
- やりがい:飼い主に感謝され、心の支えになれる
- 厳しさ:悲しみに接する場面が多く、精神的な負担を感じることもある
動物に関わる仕事に必要・役立つ資格一覧
動物に関わる仕事のなかには、資格がなくても始められるものがたくさんあります。ただし、獣医師や動物看護師は国家資格が必須です。
それ以外の職種でも、民間資格を取得することで就職の幅が広がったり、専門性の証明やキャリアアップにつながったりします。ここでは代表的な資格を紹介します。
▼動物に関わる国家資格

「愛玩動物看護師」は2022年5月1日に施行された愛玩動物看護師法により国家資格となりました。
▼就職やキャリアアップに役立つ民間資格
| 資格名 | 認定団体 |
|---|---|
| ペット栄養管理士 | 公益社団法人 日本ペット栄養学会 |
| 公認訓練士 | 一般社団法人 日本警察犬協会 |
| 盲導犬練士 | 公益財団法人 日本盲導犬協会などの育成団体 |
| ドッグライフカウンセラー | NPO法人 社会動物環境整備協会 |
これらの資格を取得していると、専門知識を学んだ証明になります。就職の際や将来のキャリア形成に役立つことがあるため、必要に応じて資格取得を目指してみましょう。
動物に関わる仕事の選び方のポイント
動物に関わる仕事は幅広いため、自分に合った進路を選ぶことが大切です。ここでは、選ぶ際に意識したいポイントを紹介します。
自分の関心分野を明確にする
最初のステップは、「自分が動物とどう関わりたいのか」をはっきりさせることです。関心分野から考えると、自分に合う職種を見つけやすくなります。
関心分野から仕事を選ぶ例
- 動物と直接ふれあいたい → 飼育員、トリマー、ペットシッターなど
- 動物の健康を守りたい → 獣医師、動物看護師、ペット栄養管理士など
- 動物に関わりながら、社会の役に立ちたい → 盲導犬訓練士、介助犬訓練士、警察犬訓練士など
- 商品やサービスを通して動物との暮らしを支えたい → ペットフードメーカー、ペット保険会社など
また「犬や猫に関わりたいのか」「野生動物や海洋生物に関わりたいのか」といった対象を絞ることで、進路がより明確になります。
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今すぐできる自己分析のやり方8選|無料診断ツールや強みが見つからない理由も紹介
自己分析を行うことで、自分に合う業界・職種・企業が見つけやすくなります。それだけではなく、ESや面接で頻出する志望動機や自己PRなどで、独自性・具体性のあるエピソードを考えられるでしょう。就活が本格化する前に、自己分析を進めていきましょう。
必要な資格や学びを確認する
動物関連の仕事には、資格が必須なものと、経験や適性が重視されるものがあります。
資格の必要性の例
【国家資格が必要】
獣医師、愛玩動物看護師など
【認定資格が役立つ】
盲導犬訓練士、警察犬訓練士、ペット栄養管理士、動物葬祭ディレクターなど
【無資格でも始めやすい】
飼育員、ブリーダー、ペットシッターなど
例えば、獣医師を目指すなら大学で6年間学んだ後に国家試験が必須ですが、ドッグトレーナーは民間資格や現場経験を積むことでスキルアップが可能です。資格の有無や難易度を把握し、自分のキャリア設計と照らし合わせて考えてみましょう。
働き方・ライフスタイルを考える
動物に関わる仕事は「かわいい動物と触れ合える」というイメージが強いかもしれませんが、実際には体力や精神力が必要なケースもあります。
例えば、飼育員や牧場スタッフは早朝から作業することが多く、獣医師や動物看護師は勤務先によっては夜間勤務があります。
「体力に自信があるか」「地方勤務でも構わないか」「安定した収入を求めるか」など、自分の希望の働き方やライフスタイルに合うかを確認することが大切です。
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将来性やキャリアパスを意識する
動物関連の仕事は、社会の変化や産業の動向と密接に関わっています。
需要が拡大している分野としては、ペット保険、ペットフード開発、動物看護師などがあげられます。
キャリアパスも多様で、「経験を積んで独立する(トリマー・トレーナー)」「組織で専門性を高める(研究職・公務員)」などによって働き方が変わります。
長期的にどんな働き方をしたいかを考えておくと、職種の選び方が変わってくるでしょう。
実際に働く現場を体験する
進路を選ぶうえで大切なのは、現場を自分の目で確かめることです。動物病院でのボランティアや実習に参加したり、動物園・水族館のインターン、ペットショップやカフェでのアルバイトをしたりなど、学生のうちから経験できる場合もあります。
実際に体験することで「思った以上に体力仕事だった」「動物より人と接する時間が長かった」など、新たな気づきがあるかもしれません。早い段階で現場を知ることで、進路選びのミスマッチを防げるでしょう。
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インターンシップとは?プログラムの探し方・募集開催期間・参加するメリットを解説
インターンシップとは職業体験を通じて、実力を確かめる・発揮する場所です。今あるスキルを確かめながら伸ばせる機会になるため、時間を確保できる方は積極的に参加しましょう。選考が実施されるインターンシップでは、書類作成や面接の練習も必要です。
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会社説明会とは?当日の流れや基本マナー、質問のポイントを解説
会社説明会とは、企業が自社を知ってもらうために開催する説明会のことです。会社説明会は、Webサイトなどでは理解できない、独自の情報や先輩社員のリアルな声を聞ける貴重な機会です。気になる業界、企業の会社説明会に参加して、より多くの情報を集めていきましょう。
よくある質問
動物に関わる仕事はどんな仕事がありますか?
動物に関わる仕事は幅広く、医療系では獣医師や動物看護師が代表的です。ケア系にはトリマーやペットシッターなどがあり、飼育や繁殖に携わる飼育員やブリーダーも含まれます。さらに、盲導犬訓練士や警察犬訓練士といった訓練系の職種や、ペットフードの開発・保険・葬祭業など商品やサービスを通じて関われる仕事もあります。
そのほかの仕事は「動物に関わる仕事27選一覧【向いている人・やりがい】」をご覧ください。
動物に関わる仕事で収入が高い仕事は何ですか?
一般的には獣医師の収入が高めです。令和6年の賃金構造基本統計調査によると、獣医師の平均年収は約884.8万円(※)とされています。
動物看護師になるにはどうすればいいですか?
動物看護師は、2022年に国家資格「愛玩動物看護師」となりました。大学や専門学校などで所定のカリキュラムを修了し、国家試験に合格することで資格を取得できます。
動物に関わる仕事に向いている人はどんな人ですか?
動物が好きという気持ちは前提ですが、それに加えて観察力や根気強さ、体力、人と協力できる力があると働きやすいでしょう。
