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初任給の平均額は?業界別の金額や手取りの算出方法を解説【最新】

初任給 平均_アイキャッチ

初任給とは、社会人として初めて支給される給与のことです。就職してからの初任給を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、初任給の平均額や業界別、学歴別の金額などを紹介します。また、初任給と実際に受け取れる手取りは異なります。どのように計算されて支給額が決まるのかも確認しておきましょう。

この記事でわかること

  • 2024年度の初任給の平均額は約21万円である
  • 初任給から保険料や税金が差し引かれた金額が支給される
  • 初任給の高さよりも、その後の昇進や昇給のしやすさを確認することが大切である

初任給の平均額はいくら?【最新データ】

初任給とは、学校を卒業し、社会人として初めてもらう給与を指します。基本給と各種手当を合計した金額であり、そこから税金や社会保険などが控除されます

産労総合研究所が調査した「2024年度決定初任給調査」によると、初任給の平均は、約213,000円でした。

具体的に、学歴や企業規模別に初任給の違いを確認してみましょう。

学歴別の初任給平均額

株式会社産労総合研究所の「2024年度決定初任給調査」によると、学歴別の初任給の平均額は次のとおりです。

学歴初任給
大学院博士課程修了約25万円
大学院修士課程修了約24万円
大学卒約21~23万円
短大・専門卒約20~21万円
高校卒約18万~19万円

近年、初任給の平均額は上昇傾向です。2024年4月入社者の初任給を引き上げた企業は、前回2023年度調査比7.5ポイント増の75.6%にのぼり、1997年度調査以降で最も高い割合となっています。

人事

初任給を引き上げた理由として多かったのは、「人材を確保するため」で73.5%を占めています。

企業規模別の初任給平均額

企業規模別の初任給平均額は、次のとおりです。

企業規模学歴初任給平均額
大企業
(従業員1,000人以上)
大学卒
高校卒
約24万円
約19万円
中企業
(従業員300~999人)
大学卒
高校卒
約22万円
約19万円
小企業
(従業員299人以下)
大学卒
高校卒
約21万円
約18万円

企業規模別の平均初任給も、3〜5%程度増加傾向です。

※調査要領:株式会社産労総合研究所会員企業および上場企業から一定の方法で抽出した3,000社に対し、2024年4月に調査票を郵送し回答を依頼。369社の回答を得たものです。

業種・職種別の初任給を比較

​厚生労働省が公表している「令和元年(2019年)賃金構造基本統計調査」を基に、初任給平均額を産業別に紹介します。

産業大学院修士課程修了大学卒高専・短大卒高校卒
建設業約24万円約21万円約18万円約17万円
製造業約23万円約20万円約18万円約16万円
情報通信業約24万円約21万円約19万円約17万円
運輸業、郵便業約23万円約20万円約17万円約16万円
卸売業、小売業約23万円約21万円約18万円約16万円
金融業、保険業約24万円約20万円約17万円約15万円
学術研究専門技術サービス約24万円約22万円約18万円約16万円
宿泊業飲食サービス業約16万円(※)約20万円約17万円約16万円
教育学習支援業約24万円約21万円約18万円約17万円
医療、福祉約20万円約20万円約19万円約16万円
そのほか約22万円約20万円約18万円約16万円

※ 平成30年は、調査対象産業「宿泊業,飲食サービス業」のうち「バー,キャバレー,ナイトクラブ」を除外しています。

※参考:第3表 性、主な産業、学歴別初任給及び対前年増減率(令和元年)

人事

どの業界も学歴に比例して高くなる傾向があり、大学卒・大学院卒のほうが高水準です。企業側は即戦力や専門性への期待を込めて、学歴に応じて初任給を設定していることが考えられます!

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業界によって初任給に差がある理由

​初任給が業界によって異なる理由は、各産業の労働生産性の違いが考えられます。労働生産性とは、従業員一人当たりが生み出す付加価値や利益のことです。生産性が高い産業ほど、企業は従業員に高い給与を支払う余裕があるといえるでしょう。

​例えば、情報通信業や学術研究、専門・技術サービス業などは労働生産性が高く、初任給も高い傾向 があります。各産業における人材需要と供給のバランスも初任給に影響を与えることがあります。

​専門的なスキルや高度な知識が求められる業界では、優秀な人材を確保するために初任給を高く設定する傾向があると考えられます。

企業の利益率や財務状況も、初任給の設定に影響します。利益率が高い産業では、従業員への報酬として高い初任給を支給することが可能です。

初任給と手取りの違いを理解しよう

初任給と手取りは、それぞれ異なります。

初任給と手取りの意味

  • 初任給:基本給と各種手当の合算のこと
  • 手取り:総支給額から各種税金や社会保険料などの控除を差し引いた後に実際に受け取る金額のこと

求人情報に初任給〇〇万円と記載されていても、全額受け取れる金額ではない点に注意して確認してみてください。

初任給から差し引かれる金額

初任給から差し引かれる項目は、雇用保険と所得税の2種類です。

雇用保険料

・失業した場合や育児、介護休暇を取った際に一定の給付金を受給するための保険料
・その年によって差し引かれる割合が異なる(令和7年度は0.55%)

所得税

・収入に応じて差し引かれる税金
・収入によって税率が異なる

また、2カ月目以降から追加で差し引かれる項目があります。

健康保険料

・病気やケガをした際に医療費を補助するための保険料
・都道府県によって保険料率が異なる(概ね9~10%前後)

厚生年金

・将来の生活資金を確保するための社会保険制度のひとつ
・70歳未満の会社員や一定の条件を満たしたパート職員などが対象となる

2年目以降は、住民税も差し引かれるようになります。住民税とは、地方自治体に納める税金であり、前年の収入に基づいて差し引かれる金額が計算されます。

人事

新卒入社の場合は前年の収入がないため、2年目以降からの差し引きとなります。

初任給や2年目の手取り額をシミュレーション

初任給や2年目以降の手取り額を、額面給与を20万円と仮定して詳しくシミュレーションしてみましょう。

初任給の場合

支給
差し引かれる金額
額面給与 200,000 雇用保険料 1,100
    所得税 4,700
手取り額:200,000−1,100−4,700=194,200

計算方法

雇用保険料の計算:20万円×0.55%(0.0055)=1,100円

所得税:国税庁が公表している「給与所得の源泉徴収税額表」から算出すると4,700円

手取り額の計算:200,000円(額面給与)−1,100円(雇用保険料)−4,700円(所得税)=194,200円

2カ月目の場合

支給
差し引かれる金額
額面給与 200,000 雇用保険料 1,100
    所得税 4,700
    健康保険料 9,910
    厚生年金 18,300
手取り額:200,000−1,100−4,700−9,910−18,300=165,990

保険料の計算方法

健康保険料:協会けんぽの「令和7年からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」から算出

厚生年金:200,000(額面給与)×0.183(厚生年金保険料率18.3%)÷2(企業と折半)=18,300(厚生年金保険料率は18.3%で固定されている)

人事

初任給と比較すると、差し引かれる項目が増えたため、手取り額が減少しているのがわかります。

2年目以降の場合

支給
差し引かれる金額
額面給与 200,000 雇用保険料 1,100
    所得税 4,700
    健康保険料 9,910
    厚生年金 18,300
    住民税 17,015
手取り額:200,000−1,100−4,700−9,910−18,300−17,015=148,975

住民税の計算方法

年間の住民税:課税所得金額×税率10%+均等割5,000円

165,990円×12カ月(課税所得金額)×税率10%+均等割5,000円=204,118円

204,118円÷12カ月=17,015円(ひと月あたりの住民税)

人事

2年目以降はさらに住民税が差し引かれます。

初任給が支払われるタイミング

​初任給の支払日は、企業の給与規定によって異なります。給与の支払いには「締め日」と「支払日」があり、それぞれの意味を確認しておくことが大切です。

  • 締め日:ひと月の区切りとなる日
  • 支払日:給与が支給される日

初任給をはじめ、給与の支払いには、おもに次の3つのパターンが考えられます。4月1日入社日と仮定して、確認してみましょう。

支払いのパターン締め日支払日特徴
末締め翌月払い4月30日5月25日1〜30日分の給与が翌月に支払われる
15日締め当月25日払い4月15日4月25日1〜15日分の給与が同じ月に支払われる
末締め当月25日支払い4月30日4月25日・1~30日分の給与が同じ月に支払われる
・26~30日分は勤務したと仮定して支払われる

支払いのパターンによっては初任給が半月分になる場合があります。支払日や締め日は、企業の就業規則や給与規定に明記されているため、確認しておきましょう。​

初任給は高いほうがいい?キャリア全体で考えよう

長期的なキャリアプランを考える際には、初任給だけでなく、その後の年収の成長や昇給制度、福利厚生などを総合的に検討することが重要です。

初任給より年収成長が重要!

初任給は入社時の最初の給与を示しています。重要なのは、その後の年収の推移であり、初任給の高さはあくまで参考程度にしておくのがおすすめです。

​例えば、初任給が高くても昇給が少ない場合、長期的な収入は伸び悩む可能性が考えられます。​一方、初任給が平均的でも昇給や賞与が充実している企業では、数年後には高い年収を得られるかもしれません。

​そのため、入社後の昇給率やキャリアパスを事前に確認し、長期的な視点で収入を考えることが重要です。

給与だけでなく昇給制度や福利厚生もチェックする

給与以外にも、昇給制度や福利厚生は働きやすさや、生活の質に大きく影響します。​例えば、住宅手当や健康保険、退職金制度などの福利厚生が充実している企業では、実質的な収入が増えるだけでなく、生活の安定にもつながりやすいといえるでしょう。

​定期的な昇給制度が整っている企業では、モチベーションを維持しながら働けるかもしれません。これらの情報は、企業の公式サイトや採用情報、会社説明会などを通じて確認しておくのがおすすめです。

初任給の高さだけでなく、さまざまな要素を総合的にみて、自身のキャリアプランに合った企業選びを行うことが、長期的な満足度につながります。

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年収アップを目指す方法

年収アップを目指す場合は、次の項目を実践してみるのがおすすめです。

社内で昇給・昇進を目指す

入社後の昇進や昇給を通じて、収入を増やすことも重要です。企業の昇進制度や評価基準を理解し、積極的にスキルアップや成果を上げることで、昇給のチャンスを高めることができます。

同じ企業でも、部署によって給与水準や昇進のしやすさが異なる場合があるため、昇給・昇進しやすい部署への異動希望を出すことも選択肢のひとつです。

勤続年数に応じて年収が上がっていく企業もあるため、誠実に仕事に取り組み続けることで収入アップにつながるかもしれません。

スキルを身につけて市場価値を上げる

特定の資格を取得することで、資格手当が支給される場合があります。基本給に加えて手当が支給され、手取り収入の増加につながるでしょう。

資格手当は、就業規則に詳細が記載されていることがあるため確認しておくのがおすすめです。資格手当は永続的に支給されるのか、一時金として支給されるのかなどもあわせて確認しておきましょう。

人事

資格取得には時間と労力がかかりますが、市場価値を上げる効果に加え、今後のキャリアアップにも活用できる可能性があります。

手当・制度を活用する

年収アップを目指すうえで、企業が用意している手当や制度を上手に活用することも大切です。例えば、月5万円の家賃補助がある企業なら、実質的に年収が60万円多いのと同じことになります。通勤手当や食事補助などの支給も、生活費の節約につながるポイントです。

さらに、研修制度や資格取得支援などの福利厚生は、将来的な昇給やキャリアアップにつながる可能性があります。こうした制度は、自分の成長や生活の安定にも関わるでしょう。初任給の金額だけにとらわれず、手当や制度を含めた「実質的な待遇」にも注目することで、自由に使えるお金が増えることも期待できます。

平均年収の高い業界・企業に転職する

経験を積んだ後、より高い給与水準の業界や企業への転職を検討することも、年収を上げる方法のひとつです。

​給料が高い企業は、成果主義や高い業務負荷が伴う場合があるため、企業文化や働き方を事前に確認してから転職を検討してみましょう。

副業を始める

本業以外に副業を行うことで、収入源を増やすことが可能です。近年、副業を推進する企業も増えており、在宅でできる仕事やフリーランスとしての活動など、多様な選択肢があります。

ただし、企業によっては副業を禁止している場合もあります。副業を始める際は、勤務先の規則を確認し、コンプライアンスを意識することが大切です。

よくある質問

大卒の初任給の平均はいくらですか?

「2024年度 決定初任給調査」によると、大卒の初任給の平均は、21〜23万円です。業界や職種などによって異なります。

高卒の初任給の平均はいくらですか?

「2024年度 決定初任給調査」によると、高卒の初任給の平均は、18〜19万円です。

初任給23万円だと手取りはいくらですか?

初任給は、額面給与から雇用保険料と所得税が差し引かれて支給されます。額面給与が23万円の場合は、約18万円になります。

詳しい計算方法は「初任給や2年目の手取り額をシミュレーション」をご確認ください。

新卒1年目の平均年収はいくらですか?

新卒1年目の平均年収は、約200万〜250万円です。

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