就活で「自分に合う仕事がわからない」と悩んだときは、企業選びの軸を明確にしましょう。業界研究や企業研究、自己分析を進めるなかで企業選びの軸を少しずつ見出すことで、どのような職場で働きたいのかがわかり、自分の希望に合う企業が定まってきます。
企業選びの軸が明確になれば、志望動機の厚みも増します。効率よく、目標をもって就活を進めるためにも自分なりの軸を見つけましょう。
この記事でわかること
- 企業選びの基準となる項目
- 企業選びの軸をもつべき理由
- 企業選びの軸の見つけ方
就活における企業選びの基準となる7項目
企業選びは、以下の7つのポイントに注目して自分にとって軸となる要素を考えてみましょう。
- 社風
- 業種
- 職種
- 待遇
- 安定性
- 成長性
- 人間関係・チームワーク
選考情報が解禁されたあとも企業選びの軸が決まっていないと、興味のある企業や強みを活かせる企業にエントリーできない可能性があります。エントリーするタイミングを逃してしまわないよう、できるだけ早く軸を決めておくと安心です。
社風
社風とは、企業の雰囲気や価値観、文化のことです。
社風の一例
- 風通しのよさ
- 上下関係を重視する
- アットホームな環境
- チャレンジ精神を大切にする
- 会社の伝統を重視する
- 個人の能力を尊重する
- チームプレイを重視する
理想とする職場のイメージと社風がマッチしていると、仕事の成果を出しやすいといったメリットがあります。
社風は、企業のウェブサイトにある経営理念や社員のインタビューページなどで確認できます。会社説明会に参加したりOB・OG訪問をして直接話を聞いたりすれば、よりリアルな社風を知れるでしょう。
同じ業種、職種の企業であっても、社風は異なります。興味のある業種、職種のなかで企業の比較をしながら、自分に合う社風の企業を探してみましょう。
業種
業種とは、企業が属する業界のことです。業種の区分はウェブサイトにより異なるケースもありますが、総務省の「日本標準作業分類」を基準に分類されるケースが見受けられます。
業種の一例
- 製造業
- 情報通信業
- 建設業
- 卸売業、小売業
- 宿泊業、飲食サービス業
- 教育、学習支援業
- 医療・福祉
自分の得意分野であるスキルを活かせる業種であれば、やりがいを感じやすく成長するきっかけが多くなるでしょう。
就活の際は、業種に対する関心度の高さに加えて、スキルアップやキャリアアップのチャンスがあるかも確認してみてください。成長志向の方であれば、自分の能力を伸ばせる環境を選ぶとよいでしょう。
職種
職種とは、仕事の種類のことであり担当する業務内容ごとに分類されています。
職種の一例
- 営業
- 経理
- 企画・経営
- 金融系専門職
- 不動産系専門職
- 事務
- 販売・サービス
興味のある業種で内定を得たものの、実際に働いてみると職種が合わず、早期退職につながる可能性もあります。エントリーの際は仕事内容も確認して、ミスマッチを防ぎましょう。
待遇
待遇とは給与や勤務時間、福利厚生など、働く人に対する取り扱いのことです。
興味のある業種、職種で働けたとしても、給与が業務内容に見合っていないときや、福利厚生が充実していないとやりがいを感じにくいことも考えられます。
会社独自の福利厚生である「法定外福利厚生」の内容を確認しましょう。法定外福利厚生には、通勤や住宅に関する手当、育児や介護における休暇や短時間勤務、フレックスタイムへの対応、資格取得のために必要な費用の補助など、企業によってさまざまな制度が存在します。
安定性
安定性とは、今後も企業が経営を続けられるかを指します。「長く働きたい」という方にとって、リストラや倒産の心配がなく、働き続けられる安定性があるかは重要なポイントです。
企業の安定性は、おもに以下のポイントで判断できるでしょう。
- 老舗企業である
- 大手企業である
- 国内外で知られている有名企業である
- 財務状況が健全である
- 発展途上にある業界・企業であり業績が伸びている
- 離職率が低い
上記のポイントに当てはまっていればノーリスクとは言い切れませんが、企業選びで比較するポイントとして参考になります。
成長性
成長性とは、企業の成長する見込みを指します。成長性がある企業は、将来的に業績を伸ばし経営の拡大が期待できることから、働く人自身の成長や変化にもつながるはずです。
企業の成長性は、以下のポイントで判断できるでしょう。
- 売上や利益が増加している
- 新たな分野への挑戦(事業展開)をしている
- 新商品、新サービスの開発を積極的に行っている
- 従業員が増加している
- 純資産の伸び率が増加している
成長性は、企業が公開している売上高や営業利益、純利益などからチェックできます。おもな企業の成長性は、「就職四季報」と呼ばれる書籍に掲載されています。

就活をする学生に向けた書籍であり、選考のポイントや採用実績、待遇に関する情報などもある便利な書籍です。
人間関係・チームワーク
理想の業種・職種に就いて社風が自分とマッチしていても、人間関係で悩むことが多いと仕事のパフォーマンスに負の影響を与える可能性があります。
企業の人間関係やチームワークの有無を見極めることは難しいですが、就活のなかで雰囲気を判断する材料は見つけられます。
会社説明会やインターン、OB・OG訪問では、実際に働いている人とコミュニケーションがとれる場所です。社員同士が話している雰囲気を見たり、社員間の交流や普段の社内の雰囲気について質問をしたりするとよいでしょう。
面接での逆質問では、個人とチーム、どちらで仕事をする機会が多いかを聞いてみることもおすすめです。
-
-
【就活面接の対策】頻出の質問や目的、前日の準備を解説
面接を控える学生に向けて、企業側の視点や面接当日の流れ、想定される質問と回答例などを紹介します。これまでの面接対策を振り返り、抜けているポイントがないかを確認していきましょう。
続きを見る
-
-
インターンで的確な質問がしたい!聞いておきたい内容と注意点を解説
インターンでの質問を的確にするために、押さえておきたい質問のマナーとコツを紹介します。本番で慌てないために、質問例からいくつか選んで準備しておきましょう。
続きを見る
企業選びの軸を持っておきたい理由

企業選びの軸を持っておきたい理由には、以下の3つがあります。
- 就活の効率がよくなる
- 志望動機が明確になる
- ミスマッチを防げる
企業選びの軸をもつことができれば、就活中や入社後の迷いを軽減できます。自分が大切にしたい軸を把握したうえで、就活を進めましょう。
就活の効率がよくなる
企業選びの軸を決めておくと、数多くの企業のなかからエントリーしたい企業が見つかりやすくなります。
例えば、おおまかな業種だけを決めておいた場合、そのなかでどういう企業が自分に合うのかわからず、手当たり次第エントリーをしてしまったり、エントリーする企業が少なすぎたりすることがあるかもしれません。
「自分はどんな企業で働きたいのか」を明確にすることで、エントリーする企業探しから、書類選考や面接の対策まで効率よく進められるでしょう。
志望動機が明確になる
「何を書けばよいのか」「どうすれば魅力的な志望動機になるのか」と悩むケースは多いですが、企業選びの軸を明確にしておくと、志望動機に一貫性と説得力が生まれます。
エントリーシートや面接において、志望動機で悩む学生は少なくありませんが、悩み続けて答えがでないときは、企業選びの軸が充分に定まっていないのかもしれません。
採用担当者は、学生の志望動機を重要視しています。ほかの学生と差をつけられる点でもあることから、オリジナリティを出すために企業選びの軸は入念に考えるとよいでしょう。
入社後のミスマッチを防げる
企業選びの軸が定まらないままで就活を進めてしまうと、理想の働き方と実際の働く環境の差を感じてしまう可能性が高まります。
「社風が自分には合っていなかった」「待遇がいまいちだった」と悩んでしまい、長く働きたかった企業でも早期退職をしてしまうこともあるかもしれません。
社風や待遇など会社の特徴は、就活中にある程度把握できることは多いでしょう。「なんとなく」の気持ちでエントリーをするよりも、企業選びの軸をもとに企業を探し、入社後のミスマッチを防ぐほうがよいといえます。
-
-
就活の軸とは?必要な理由や業界別の具体例を解説
「就活の軸が見つからない」「自分に合う企業がどこなのかわからない」という方に向けて、就活の軸の決め方と必要性について解説します。企業選びにおける自分らしい就活の軸を見つけることで就活を効率化できます。
続きを見る
企業選びの軸を見つける方法

企業選びの軸を見つける方法は、以下の4つです。
- 自己分析で価値基準・判断基準を明確にする
- 業界・企業研究をする
- インターンに参加する
- OB・OG訪問に参加する
自己分析で価値基準・判断基準を明確にする
自己分析は就活準備の最初に行うことが多く、企業選びの軸を固めるために重要な作業です。
自己分析では過去の経験を洗い出し、そのなかから自分の価値観や、向き不向きを把握していきます。この作業を入念に行うことで、自分に向いている業種や職種、働きたい環境を少しずつ明確にできます。
自己分析をすると企業選びの軸が浮かんでくるでしょう。以下は自己分析により考えられる企業選びの軸の一例です。
- 大きな事業に携わりたい
- 新たな事業に挑戦する企業で働きたい
- ワークライフバランスを重視したい
- 今あるスキルを存分に発揮できる仕事がしたい
- 協調性を活かしてチームで働ける仕事がしたい
自己分析は就活の序盤で行いますが、就活の途中で改めて分析をしたり振り返ったりして、自分自身を見直すことも大切です。

自己分析の具体的な方法、流れは以下の記事で確認してみてくださいね!
-
-
【就活】自己分析のやり方|効率的にするポイントやおすすめツール8選もご紹介!
就活の準備に必要な自己分析の効率的なやり方を、5つのステップで解説!ツールを使った分析方法やおすすめの8つのツールも厳選して紹介します。自己PRや志望動機の例文もチェックできるので、ぜひご覧ください。
続きを見る
業界・企業研究をする
業界研究と企業研究を行うことで、「就活における企業選びの基準となる7項目」で紹介した各基準がより明確になります。
「こういう環境で働きたい」という抽象的なイメージだけだったものが、業界・企業の研究を進めることで、「◯◯業界で働きたい」「あの企業にエントリーをしたい」と就活の目標が徐々に明確になるでしょう。
多くの業界・企業を研究すると、自分に合う企業を見つけられる可能性が高まります。特に興味がある業界だけではなく、2番目、3番目に興味がある業界も深掘りしてもよいでしょう。
-
-
業界研究のやり方|今すぐ取り組めるポイントや注意点を解説!
業界研究とは、業界の特徴を調査することであり、就活の初期段階で欠かせない準備のひとつです。業界研究は、次のステップである企業研究の材料であり、ESや面接の志望動機の設定にも役立ちます。
続きを見る
-
-
企業研究のやり方|ノート作成のコツや情報収集のポイントを解説
企業研究の具体的なやり方をステップごとに詳しく解説。情報収集の方法や企業研究ノートを作るコツなど、企業研究に役立つ情報もご紹介しています。企業研究で困っている方は、ぜひご覧になってください。
続きを見る
インターンに参加する
インターンは、就職する前から業務を体験したり実際に働いている社員とコミュニケーションをとったりするための絶好の機会です。
これまで行ってきた業界分析や企業分析により厚みを出せるものであるため、興味のある業界・企業がインターンを募集している場合はぜひ参加をしてみてください。実際に働いている環境や人を見ることで、イメージが大きく変わる可能性もあります。
インターンに参加するメリットは、以下のとおりです。
- 業種、職種に対する理解を深めることができる
- 興味のある企業同士を比較できる
- 自己分析を見直す機会になる
- 入社後のミスマッチを防ぎやすい
- 自分のスキルアップにつながる
長期インターンだけではなく1Day仕事体験でも得られるものは多いはずです。興味のあるプログラムには、積極的に参加してみましょう。
-
-
インターンシップに参加する目的とは?志望動機を書くコツも解説
参加目的は人によって異なりますが、「業界・企業への理解」のためにインターンシップへ参加している学生が多いです。ざっくりとした企業の理解を深めたいなら「1day仕事体験」、実務スキルを磨きたいなら「長期インターン」など、業種・業態・期間および目的によって種類は多岐にわたります。
続きを見る
-
-
インターンシップに行かないと就活で不利?参加しないメリットも解説
インターンシップは学業との両立が難しくなるケースもあるため、参加しないことも選択肢のひとつです。なかにはガクチカに時間を割きたいと考える学生も少なくないでしょう。自分がインターンに参加する目的を明確にして、不要かどうかを判断することが重要です。今回は、インターンシップに参加しないメリット・デメリットなどを詳しく解説していきます。
続きを見る
OB・OG訪問に参加する
OB・OG訪問は、インターネットで調べているだけではわからないリアルな情報を得られます。
業界や企業への理解を深められることに加えて、実際に働いている人の本音を聞けたり、就活におけるあなたの悩みを相談できたりとメリットが多いです。
OB・OG訪問をするなかで「この人のような働き方がしたい」「この人のビジョンに憧れる」といったロールモデルとなる先輩や卒業生を見つけて、企業選びの軸を直接聞いてみるのもよいでしょう。
まとめ
働きたい業界や企業が決まっていない方は、「就活における企業選びの基準となる7項目」を参考に、自分が働きたいと思える企業のポイントを探してみましょう。
企業選びの基準を考えていてもピンとこないときは、自己分析、または業界研究と企業研究を振り返り、さらに分析や研究を重ねることもひとつの手段です。
インターネットで調べるだけではなく、インターンへの参加やOB・OG訪問で、実際に働いている人に企業選びの基準を聞いてみるのもよいでしょう。
エントリーをする少し前までに企業選びの基準を明確にしておくと、採用情報が公開されたときスムーズに就活を進められるはずです。