「社交性」とは、他者と円滑に関係を築き、良好な人間関係を構築する能力を指します。ビジネスシーンでは、社内外問わずさまざまな立場や年齢の人と関わるため、社交性は重要なスキルといえるでしょう。
自己PRで社交性をアピールする際は、自分なりの定義を明確にすることや、企業でどう活かせるかを伝えることが大切です。また、表情や姿勢などにも社交性が表れるため、意識すると効果的にアピールできます。
社交性は、これからでも習得できる可能性があるスキルです。「社交性が低いが習得したい」と感じている方も、高め方を確認して実践してみましょう。
この記事でわかること
- 社交性は仕事において大切なスキルのひとつ
- 社交性をアピールする際は具体的なエピソードなどを伝えると説得力が増す
- 言い換え表現を活用してほかの学生との差別化を図るのもおすすめ
社交性とは？意味と定義を理解しよう
「社交性」とは、他者と円滑に関係を築き、良好な人間関係を構築する能力のことです。人付き合いが得意であることに加え、コミュニケーション能力や共感力、適応力など、さまざまなスキルの集合体を指します。
社交性はビジネスシーンにおいて、チームワークの向上や顧客との関係構築、リーダーシップの発揮などの役割を果たすため、重要なスキルといえるでしょう。
社交性は後天的に高めることができるスキルであり、「社交性がない」と思っている人でも習得できる可能性があります。
社交性がある人の特徴
社交性がある人には、次のような特徴があります。
初対面でも物おじせず、積極的に話しかける
社交性がある人は、初対面の人に対しても積極的に話しかけ、コミュニケーションを図ることができます。人見知りせず、誰とでも打ちとけられるため、交友関係を広げやすいのが特徴です。
交友関係を広げることで話題が豊富になるため、初対面でも共通の話題が見つけやすかったり、話が尽きなかったりします。
また、相手の話をしっかり聞き、気持ちを理解しようとする姿勢が伝わるため、相手から「この人と仲よくなれるかもしれない」と思われることもあります。
ポジティブ思考で、失敗を恐れず挑戦する
社交性がある人はポジティブ思考で、チャレンジ精神が旺盛なのも特徴のひとつです。困難な状況でも明るく対応し、周囲にもポジティブな影響を与えることができます。
環境の変化にも適応しやすく、柔軟性があるともいえるでしょう。さまざまな人と関わるなかで興味や関心が生まれ、新しいことにも「挑戦してみよう」と思えるのも特徴です。
相手の気持ちを察し、適切な対応ができる
社交性がある人は、相手の表情や態度から気持ちを察し、適切な対応ができます。観察力があり、周囲の状況に応じて柔軟に行動できるため、信頼を得やすいのが特徴です。
言葉だけではなく、その場の雰囲気や相手の表情から「どんなことを考えているのかな」「今こうしてほしいと思っているのかな」など、相手の欲していることを読み取る能力があります。そのため、自然と相手の気持ちに寄り添った対応ができるため、信頼を得やすいのです。
社交性を自己PRでアピールするメリット
就職活動において「社交性」は、性格のよさだけではなく、業務遂行能力やチームで活躍できる能力などを示す重要な資質としてアピールできます。
自己PRで社交性をアピールするメリットを紹介します。
チームで行う業務への適性を示せる
ビジネスシーンでは個人の成果よりも、チームの連携によって成果を出す働き方が求められることも多々あります。社交性は、業務を円滑に進めるための重要なスキルといえるでしょう。
特に、意見の異なるメンバー同士をつなぐ役割や、その場の雰囲気を和らげる働きかけができる人は、ムードメーカー的存在となり、貴重な社員になります。
自己PRでは「どんなチームのなかで、どんな関係性を築き、何に貢献したいのか」を具体的に伝えると効果的です。
対人スキルの高さをアピールできる
自己PRで社交性をアピールすることで、対人スキルの高さが示せます。ビジネスでは、上司や同僚など社内のメンバーをはじめ、顧客や取引先などさまざまな立場や年齢の人と関わる機会があります。
どんな仕事でも他者とのつながりは不可欠であり、仕事を円滑に進めるためには信頼関係の構築が大切です。対人スキルは、仕事を進めるうえで大切な要素となるため、アピールするのに効果的といえるでしょう。
アピールする際は、具体的なエピソードを交えて、社交性を発揮した経験を伝えることで、説得力のある自己PRになります。
柔軟性や適応力をアピールできる
社交性の高さをアピールすることで、柔軟性や適応力も示せます。社交性がある人は、周囲の空気や相手の反応を敏感に察知し、その場に適した行動ができるためです。
例えば、緊張している人に穏やかに話しかけたり、盛り上がっている場では話題を広げて和ませたりなど、空気を読む力や状況に応じた柔軟な対応ができます。
このような柔軟性や適応力は、特にチームでの連携や他者との話し合いの場などで活躍する能力です。
自己PRで社交性をアピールする際のポイント
自己PRで社交性を効果的にアピールするポイントは、次のとおりです。
自分なりの「社交性」の定義を明確にする
「社交性」という言葉は抽象的であり、人によって解釈が異なります。そのため、自分にとっての社交性とは何かを明確にして、具体的な行動や価値観を言語化することが大切です。
例えば、「初対面の人ともすぐに打ちとけられる」「相手の気持ちを察して行動できる」など、自分なりの社交性の定義を明確にしてみましょう。
自分の経験に基づいた定義を示すことで、説得力のある自己PRが作成できます。
社交性を発揮した具体的なエピソードを交える
社交性をアピールする際は、具体的なエピソードを交えると効果的です。社交性が業務に活かせるスキルであり、再現性があると採用担当者にアピールできます。「自分がとった行動が、どんな成果を生んだのか」を意識して、具体的なエピソードを交えるのがおすすめです。
例文
「アルバイト先で新人教育を担当した際、積極的にコミュニケーションを図ることで、新人が早期に仕事を覚え、活躍できるようになりました」
企業や職種を把握したうえでのアピールを心がける
自己PRで社交性をアピールする際は、応募する企業や職種にあわせて内容を調整することが大切です。企業が必要とする人物像や価値観に、自分の社交性がどのようにマッチするのかを具体的に伝えるためです。
例えば、営業職の場合「初対面の顧客と信頼関係を築く力」、チームでの業務が多い職種の場合「メンバー間の調整力や協調性」など、必要な社交性の側面を意識してアピールしてみるとよいかもしれません。
企業や職種に応じてアピールする内容を調整するためには、企業研究が大切です。応募先企業や職種に関する情報収集をしてみましょう。
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他者からの評価を取り入れる
自己PRでは自分の主張だけではなく、他者からの評価を取り入れることで客観性と信頼性が増します。
例えば、「教授から『話しかけやすい雰囲気がある』といわれた」「バイト先の店長から『相談しやすい存在』として頼りにされている」など、周囲からの具体的な評価を示すことで、社交性の高さをアピールできます。
社交性が企業でどう活かせるかを示す
社交性をアピールする際は、その企業でどう活かせるかを示すことが大切です。具体的な目標や将来のビジョンを伝えることで、採用担当者に入社後のイメージが伝わりやすくなり、効果的なアピールができます。
例文
「貴社のチームワークを重視する文化のなかで、私の社交性を活かしてメンバー間の円滑なコミュニケーションを図り、プロジェクトの成功に貢献したいと考えています」
企業研究を念入りに行い、入社後の姿をイメージして、社交性を活かせる場面を考えてみるのがおすすめです。
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差別化に有効！自己PRで使える社交性の言い換え表現
社交性を別の表現に言い換えることで、自分が考える社交性の定義を明確に示すことができます。また、ほかの学生と差別化を図れるため、採用担当者の印象に残りやすい自己PRになるかもしれません。
社交性の言い換え表現は次のとおりです。
| 言い換え表現 | 意味・特徴 | アピール例 |
| コミュニケーション能力 | 他者と円滑に意思疎通を図る力。 情報伝達や関係構築に長けていることを示す。 | 「初対面の方ともすぐに打ちとけ、 信頼関係を築くことが得意です」 |
| 協調性 | 周囲と協力し、 調和を保ちながら物事を進める能力 | 「チームメンバーとの意見交換を積極的に行い、 円滑なプロジェクト進行に貢献しました」 |
| リーダーシップ | チームを導き、 目標達成に向けてメンバーをまとめる力 | 「サークル活動でリーダーを務め、 メンバーの意見を尊重しながら目標達成に導きました」 |
| 傾聴力 | 相手の話を注意深く聴き、 理解しようとする姿勢 | 「アルバイト先でお客様の要望を丁寧に伺い、 適切な提案を行いました」 |
| 親しみやすさ | 他者に安心感や信頼感を 与える性格 | 「お客様から『話しやすい』と評価され、 リピーターの増加につながりました」 |
| 打ちとけやすさ | 相手に親しみや好感を 与える性格 | 「初対面でも相手の話に耳を傾け、 自然を会話を広げ、円滑な関係構築が得意です」 |
| 柔軟性 | その場に応じた適切な判断ができ、 状況によって臨機応変な対応ができること | 「状況に応じて優先順位を考え、 適切な対応がとれます」 |
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自己PRで社交性をアピールするときの注意点
自己PRで社交性をアピールする際は、次の点に注意が必要です。
表情や姿勢など社交性を感じさせる話し方を意識する
自己PRでは、話す内容に加え、表情や目線、姿勢など非言語的な要素も社交性を伝えるために重要です。「社交性が強みです」と伝えても、視線を合わせなかったり、難しい表情をしたりしていると、説得力が下がる可能性があります。
自己PRで社交性をアピールする際は、次のような表情や姿勢を意識してみましょう。
表情や姿勢のポイント
- 柔らかく自然な笑顔を心がけ、明るい表情を意識する
- ハキハキとした話し方を心がける
- 背筋を伸ばして姿勢を正す
- 相手の目を見て話をするまたは聞く
アピール内容だけでなく、表情や姿勢を意識することで、採用担当者に社交性の高さを印象づけることができます。
伝える短所と矛盾がないようにする
社交性を長所としてアピールした際に短所を聞かれた場合は、矛盾しない特徴を伝えることが重要です。例えば、社交性を強みとしている一方で、人見知りや引っ込み思案などの短所を挙げると矛盾が生じます。
矛盾が生じない短所の例を、確認してみましょう。
- 相手の意見を尊重しすぎて遠慮がちになる
- 多くの人と関わるなか、情報整理が追いつかないことがある
- 人との関わりに集中しすぎて、タスクの優先順位を見失うことがある
社交性が高いがゆえに生じる短所を挙げると、矛盾が生じにくくなります。
社交性をアピールする自己PRの例文【内容別】
社交性をアピールする自己PRの例文を、内容別に紹介します。
学業
例文
私の強みは、誰とでも打ちとけられ、リーダーシップを発揮できるところです。大学2年生のとき、アメリカへ留学しました。当初は言葉や文化の違いがあり、私が現地の学生に話しかけても、会話が広がらず打ちとけることができませんでした。
そこで、授業で行われたディスカッションでリーダーに立候補しました。メンバー全員が発言できるように、積極的に声をかけて話題を振ることを心がけました。
すると、現地の学生から「あなたがリーダーをするディスカッションは、みんなが活き活きしている。話しやすい」といわれました。
この経験を活かして、さまざまなバックグラウンドを持つ人々と協力しながら業務に取り組みたいと考えています。
ポイント
- 社交性を「誰とでも打ちとけられる」と具体的に言い換えている
- 社交性とリーダーシップの2つの強みをかけ合わせ、より説得力が増している
- 現地の学生から実際にいわれた言葉を使用し、自分の行動に対する成果がわかりやすい
ゼミ活動
例文
私の強みは、社交性があるところです。ゼミ活動で行動経済学について研究しました。具体的には、人が何かを判断するきっかけになるのは何か、市場にどんな影響を及ぼすのかを研究しました。
研究を進めていくなかで、メンバー同士の意見のすれ違いが発生しました。私はそれぞれの意見を聞き、研究そのものの目的や方向性を確認しあい、すれ違いの解消に貢献しました。
また、研究結果をまとめる際は、データ分析を担当し、メンバーと協力して複雑な内容をわかりやすくまとめました。
ゼミ活動の最後の発表会では、教授より「わかりやすくまとまっている」と評価していただきました。
この経験を通じて、異なる意見をまとめ、成果につなげる力を身につけることができました。入社後も、社交性を活かして周囲と協力し、成果を出していきたいと考えています。
ポイント
- 社交性と分析力の2つの能力を掛けあわせて独自性のあるアピールをしている
- 意見の異なるメンバー間の潤滑剤として機能し、社交性があることが伝わりやすい
- 教授の言葉を使用したことで、社交性を発揮した成果が明確にわかる
部活動・サークル
例文
私の強みは、周囲と円滑な関係を築けることです。大学では、バスケットボール部に所属しています。部員数が少なく、試合にエントリーするにはほぼ全部員が出場しなくてはなりませんでした。しかし、練習スケジュールにメンバーの生活リズムがあわず、参加率が低下していました。
私は部員一人ひとりの話を聞き、練習日や時間を調整しました。結果、練習の参加率が上昇し、試合に向けて戦略を練った練習ができるようになりました。
あわせて、新入部員の募集方法を見直しました。今まで校内にポスターを掲示するだけでしたが、練習を公開したり、試合の様子を動画に撮ってWebサイトへの掲載を依頼したりしました。
募集方法を変えたところ、新たに3名入部してくれました。
この経験を活かして、貴社ではチームの業務が円滑に進むように取り組んでいきたいと考えています。
ポイント
- 社交性を周囲と円滑な関係を築くことができると具体的に言い換えている
- 社交性と問題解決能力の掛けあわせで強みを強調している
- 課題を明確にしてどんな取り組みをしたのかがわかりやすい
アルバイト
例文
私の強みは、どんな人とも円滑にコミュニケーションを図り、信頼関係を築くことができる社交性です。高校2年生から大学3年生まで雑貨店でアルバイトをしていました。さまざまな商品を取り扱っており、年齢性別問わずお客様が来店されます。お客様の様子を見て商品を探していたり、悩んでいたりする様子が見られた場合は、積極的に声をかけ、お客様の求める商品を一緒に探すように心がけました。お客様から「一緒に探してくれて助かった」「声をかけてくれてよかった」とのお言葉をいただきました。
入社後は、社交性を活かしてお客様とコミュニケーションを図り、お客様の求める商品が提案できるように関わっていきたいと考えています。
ポイント
- 社交性を具体的に表現されており、わかりやすい
- お客様の声を引用し、自分の行動に対する成果を明確に示している
- 入社後に社交性をどのように活かすかが明確になっている
ボランティア
例文
私の強みは、相手の表情や仕草を見て、よく話を聞き、相手の感情や思考を考えながらコミュニケーションが図れることです。
大学1年生から3年生まで、介護施設のボランティアに参加しました。利用者と一緒に将棋やオセロなどのボードゲームをしたり、散歩に付き添ったりなどの活動を行いました。
20名ほどいる利用者とコミュニケーションを図り、自分の顔と名前を覚えてもらえるまでになりましたが、一人の利用者様は話しかけても難しい表情をされていました。施設の職員からは「元々あまり話をされない方」だと聞いていたため、返事がなくても声をかけることにしました。ある日、編み物の話題を出したところ、表情が明るくなり「あなたも編み物するの？私も大好きなの」と話をしてくれました。その後、ボランティアに行くと一緒に編み物をするようになり、利用者様から笑顔が見られました。「私は気難しい性格で、ここでの生活になかなか馴染めなかった。あなたがいつも声をかけてくれて救われてたの。ありがとう」といっていただき、信頼関係が築けたと感じました。
入社後は、社内外問わずどんな人でも話をよく聞き、相手の感情や思考を考えて自分にできることがないかを意識して業務に取り組んでいきたいと考えています。
ポイント
- 社交性を具体的に言い換えており、イメージしやすい
- 大勢の利用者に顔と名前を覚えてもらえることから、社交性の高さが伝わる
- コミュニケーションが図りにくい人にも声をかけ続けた結果、信頼関係の構築につながっている
社交性に自信がない人も要チェック！社交性の高め方
社交性は、生まれつきの性格だけではなく、意識的な行動や習慣によって習得できるスキルです。「社交性がない」と思っている方でも意識次第で習得できることがあります。また、社交性がある方は、より高めることができるため、社交性を高める方法を確認してみましょう。
社交性を高める方法
- 挨拶や感謝の言葉を積極的に使う：基本的な挨拶や「ありがとう」などの言葉を意識的に伝える
- アイコンタクトと表情を意識する：会話中に相手の目を見る、笑顔を心がけるなど、非言語的なコミュニケーションを意識する
- 積極的に話しかける：自分から話しかけることで、コミュニケーションの機会が増え、社交性が向上する
- 傾聴力を養う：相手の話をしっかりと聴き、相手の意見や感情に共感を示すことを意識する
- 多様な人と交流する：異なる背景や価値観を持つ人々と接することで、視野が広がり、さまざまな状況での対応力が向上する
よくある質問
社交性とはどんな意味ですか？
「社交性」とは、他者と円滑に関係を築き、良好な人間関係を築く能力を指します。
社交性がある人・社交性がない人の特徴を教えてください。
社交性がある人は、初対面でも積極的に話しかけ、相手の話をよく聞き、信頼関係を築くのが得意です。一方、社交性がない人は、警戒心が強く、他者との関わりを避ける傾向があります。
社交性を高めるメリットは何ですか？
円滑な人間関係を構築できる、信頼関係を形成できる、業務を効率化できる、自己成長につながりやすいなど、社交性を高めることはビジネスシーンで多くのメリットがあります。
自己PRで社交性をアピールする場合のポイントは何ですか？
自己PRで社交性をアピールする際は、次の点を意識してみましょう。
- 自分なりの「社交性」の定義を明確にする
- 社交性を発揮した具体的なエピソードを交える
- 企業や職種を把握したうえでのアピールを心がける
- 他者からの評価を取り入れる
- 社交性で企業にどう貢献できるかを示す
詳しくは「自己PRで社交性をアピールする際のポイント」を確認してみましょう。
社交性の英語表現は？
社交性を表す英語表現には、「sociability（社交的）」「outgoing（外向的）」などがあります。文脈に応じて適切な表現を選ぶのがおすすめです。