傾聴力(けいちょうりょく)とは、相手の意見に耳を傾けることに加え、潜在的な悩みを引き出したり問題解決に導いたりできるスキルです。ただ話を聞くのが得意なだけではなく、コミュニケーションから何かを生み出せることが特徴です。
傾聴力は、長所としてアピールできます。また、さまざまな企業や職種でも重宝されるスキルであるため、自己PRとして伝えるのもおすすめです。
この記事でわかること
- 傾聴力は、相手の話を聞く+問題解決ができることであり、「聞き上手」なだけではない
- 傾聴力がある人材は、さまざまな企業で活躍できる可能性がある
- 長所・自己PRなどで傾聴力をアピールすることができる
傾聴力とは:相手が話す内容や様子を深く理解して聞き取る能力
傾聴力とは、「相手の話を聞く力」です。相手が話す内容や様子から感情や悩みを理解できる人を、傾聴力がある人といいます。
傾聴力は、他人の意見や感情を尊重するためのスキルのひとつであり、コミュニケーションや人間関係の構築に役立ちます。
言葉の意味を理解するだけではなく、表情や声のトーン、姿勢なども見ながら話を聞くことで、相手が表層的・深層的に話したいことを引き出せるでしょう。そして、相手の話を適切に要約したり問題解決に導いたりできる力も含めて「傾聴力」といいます。
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傾聴力のある人材が必要とされる理由
傾聴力はさまざまな企業で注目されるスキルのひとつであり、自己PRでアピールすることもできます。具体的な理由は、こちらのとおりです。
社内メンバーやクライアントと良好な関係を築けるため
傾聴力があると、相手が伝えたいことを正確に理解したうえで適切な対応ができるため、コミュニケーションに関連するミスの軽減ができます。
正しいコミュニケーションがとれるスキルを身につけていれば、同僚や上司、顧客などとよい人間関係を構築でき、仕事の結果にもつながるでしょう。
相手のニーズを理解できるため
傾聴力があれば、同僚や顧客の声から正しいニーズを把握できます。
特に営業や接客といった顧客とのコミュニケーションが重要になる仕事では、相手がどんなことで悩んでいるのか、潜在的に何を求めているのかを知るため傾聴力が必要です。
日々の問題解決に役立つため
業務では日々多様な問題解決に取り組みます。
傾聴力がある人は相手の立場になり、さまざまな角度から問題にアプローチできます。そのスキルは個人が抱える問題だけではなく、チームの問題解決能力の向上にもつながるでしょう。
さらに、自分の意見と他人のアイデアを組み合わせ、新しい解決策を生み出すことも期待できます。
自己PRで傾聴力をアピールする場合のポイント
自己PRで傾聴力をアピールするときは、これらのポイントを考えてみましょう。
- 企業がどんな能力を求めているのかを確認する
- 傾聴力を発揮したエピソードを伝える
- 第三者からのフィードバックや評価を引用する
- 傾聴力が応募先企業でどう活かせるかを説明する
- 傾聴力をほかの言葉に言い換えできないかを検討する
企業がどんな能力を求めているのかを確認する
自己PRを考える際、まずは応募する企業の文化や価値観を確認しましょう。その内容を踏まえ、企業が求める傾聴力のタイプを把握します。
傾聴力がある人を求めている場合でも「時間をかけて積極的に意見を出し合える」「スピーディに仕事を進められる」といったように、求められる傾聴力の種類が違うかもしれません。
志望する職種で黙々と作業する業務が多い場合、傾聴力よりも「論理的思考力」や「自己マネジメント力」をアピールするほうが有効になる可能性があります。
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傾聴力を発揮したエピソードを伝える
自己PRに限らず、ES(エントリーシート)や面接でアピールするときは、具体的なエピソードを伝えるのがおすすめです。学校でのゼミ・研究の活動やボランティア、アルバイト、サークルなどのなかで、傾聴力を発揮した経験がないか振り返ってみましょう。
「自分には傾聴力がある。◯◯の仕事に活かせる」ではアピールとしては物足りないため、どんなシーンで傾聴力を発揮できるか、傾聴力のスキルは業務のどこで活かせるかを伝えます。
例えば、「傾聴力の高さにより、研究活動で立ち塞がった問題を解決に導いた」「アルバイトでお客様の潜在的な声を把握してニーズを掴み、売上につなげた」などです。
具体的な自己PRの例は「傾聴力をアピールする自己PRの例文」で紹介しています。
第三者からのフィードバックや評価を引用する
学校の先生や教授、先輩や後輩、友人、家族などに「自分に傾聴力を感じたことはあるか」を聞き、その答えを引用するのもおすすめです。主観的に「自分は傾聴力がある」と伝えるよりも、周りがどう感じたか、どう評価してくれているかという客観的な意見含めると、説得力がアップします。
例えば、「グループ研究のなかで、教授から『リーダーとして全員の意見をよく聞き、みんなが納得できる結論が出せるよう貢献していた』と評価されました」などと、自分に対する評価を引用する方法です。
傾聴力以外にも、自分にはどんな長所や特徴があるのかを聞いてみると、ESや面接でアピールできることが増えそうですね!
傾聴力が応募先企業でどう活かせるかを説明する
自己PRの方向性は、「業務のなかでどう活かせるか」「スキルや自分の存在がどう貢献できるのか」につながる内容にしてみましょう。
例えば、「自分の傾聴力は、お客様に寄り添い、同じ目線で物事を考えることができる」などです。寄り添うことができれば、顧客が抱える悩みの解決ができ、結果的に企業の利益にもつながるはずです。
傾聴力をほかの言葉に言い換えできないかを検討する
「傾聴力」という言葉は、類語に置き換えることもできます。「傾聴力」を自分の特徴に近い言葉に言い換えることができれば、長所をアピールしやすくなる可能性があります。
傾聴力の 言い換え | 詳細 |
---|---|
調和力 | 異なる要素や人々との 調和を保つ能力 |
理解力 | 他人の意見やアイデアを受け入れ、 考慮する能力 |
洞察力 | 他人や状況を理解し、その背後に ある要因や動機を把握する能力 |
問題解決力 | 問題を分析し解決策を考え 実行する力 |
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自己PRで傾聴力をアピールする場合の注意点
自己PRで傾聴力を伝えるとき、これらのポイントに注意しましょう。
伝え方次第で、注意点を解決したうえで自分のアピールポイントにすることができます。
「傾聴力がある=聞き上手」ではない
傾聴力とは、相手の話を聞くことだけではなく、相手の考えを尊重し適切に対応するスキルのことです。受け答えが上手な「聞き上手」とは異なるため、それを踏まえたうえでアピールしてみましょう。
「多くの人の悩みを聞いた」「聞き役に徹することが多い」というのは、聞き上手に寄せたアピールです。傾聴力の高さを伝えたいときは、相手の話を聞くなかで何を意識したのか、どんな問題を解決してきたのかを考えてみてください。
自主性や積極性がない人だと認識されないようにする
相手の話を聞くことを中心にアピールすると、自分の意見を言わない人という認識になることも考えられます。
実際の業務では、相手の声に耳を傾けるだけではなく、自分の意見を主張するシーンもたくさん出てきます。そういった場で「自分の意見を積極的に言えない人」「周囲に流されやすい人」と思われないよう、自主性もアピールすることを意識してみてください。
相手の話を聞きながら自分の意見も伝え納得してもらったことなど、問題解決に導いた具体的なエピソードを盛り込むと、傾聴力の高さがアピールしやすくなります。
傾聴力をアピールする自己PRの例文
ここでは、学生生活のなかにある5つのできごとから、「傾聴力」をテーマにした自己PRの例文を紹介します。
学校での活動
学校での活動例
私の強みは、相手の考え方や価値観を受け入れる傾聴力です。
大学の授業では、異なるバックグラウンドや知識をもつメンバーと共同で研究を進める機会がありました。各メンバーがもつ独自のアイデアと視点を最大限に活用したいと思い、会議やディスカッションの際には注意深くメンバーの発言を聞き、その意見や提案を尊重する姿勢を大切にしました。また、チームメンバーが意見を述べ終えるまで待つことで、誰もが自身の考えを十分に表現できるようにしました。
その結果、チームのメンバーと良好な関係を構築することができ、データ収集や分析、プレゼンテーションなどの準備を円滑に進められました。担当の教授からもチームでの研究の進め方・プロセスを評価していただきました。
入社後も自分の傾聴力を活かして、社内メンバーの意見や考えを取り入れながら、開発プロジェクトに専念したいと考えています。
ゼミ活動
ゼミ活動の例
私の強みは、立場が異なる人の真意を聞き出せる傾聴力です。
私は、所属ゼミのメンバーと地元企業の社員で、「◯◯共同研究プロジェクト」をゼミ活動としてスタートしました。
プロジェクト開始時、ゼミメンバーはアイデアを出し合ったり、積極的に発言したりすることに慣れておらず、課題を解決することに時間を要していました。一人ひとりに話を振り、こちらから質問をしながら話を聞き始めると、メンバーはこれまで言えなかったアイデアや、自分の思いを少しずつ話せるようになりました。
相手が本当は何を言いたいか、どうすれば思っていることを話してくれるのかを引き出す力が、ゼミ活動のなかで学べました。
相手の意見を聞きまとめ伝えるということは、ゼミメンバー同士のコミュニケーションだけではなく、私と企業担当者とのやりとりでも活用でき、社会人の一員として役に立つスキルが身についたと実感しています。
部活・サークル
部活・サークルの例
私の強みは「傾聴力」であり、大学のバスケットサークルで培うことができました。
先輩から「来年こそライバルの大学との試合に勝ってほしい」と言われており、私はメンバーとその目標を達成するため練習に励んできました。
私はサークルのリーダーであり、「どうすれば試合で勝てるか」を日々考えていました。そのなかで、練習をするだけではなく、メンバーの声にも耳を傾けることが必要だと気づきました。
まず、ただ自分が意見を言うだけではなく「◯◯をしたいがどう思うか」と話を振り発言しやすい環境づくりを行いました。そして、意見を出してくれたメンバーには「なぜそう思ったのか」を聞くなどして、それまで以上に深い話し合いに導くことができました。また、これまでメンバーの意見に耳を傾けていなかったことに反省する機会にもなりました。
この経験から、チームでひとつの目標を達成するためには、傾聴力が必要だと学びました。入社後は、私の傾聴力を活かしプロジェクトをまとめるリーダーとして活躍したいと思います。
アルバイト
アルバイトの例
私の強みは、仲間とネガティブな状況を抜け出す傾聴力です。
私は大学2年生のときから、居酒屋で接客のアルバイトをしています。アルバイトを始めた当初居酒屋はオープンしたばかりで、自分が接客に不慣れなこともあり、お客様やバイト仲間に迷惑をかけることもありました。
アルバイトのなかで、お客様の注文を誤ることが続き、短期間に数件クレームをいただいたことがありました。店の評判低下や食材ロス、会計のミスにもつながりかねないため、アルバイトメンバー5人と話し合いをし、どうすればミスが出ないかを話し合いをしました。
解決策は「注文内容を繰り返す」「メニュー名をできるだけ覚える」「わからないことはその場で聞く」「メニューの写真を指で指して確認する」といったことを徹底しました。メンバーがそれぞれやっていたことではありますが、話し合いの場を設けることで、メンバー全員が解決策を共有・実施できました。
アイデアを聞き出すこと、メンバーでコミュニケーションを取って共有することが、問題解決には欠かせないとアルバイトで学べました。傾聴力を用いた問題解決力は、御社の業務で活かせると考えています。
ボランティア活動
ボランティア活動の例
私の強みは、ボランティア活動で培った傾聴力です。
私の大学のボランティアサークルでは、定期的に地元の老人ホームに訪問し、レクリエーションを行っていました。手足を動かす、頭を使うなど、入所者のリフレッシュにつながる遊びを行っていました。
似たようなレクリエーションでは入所者の方も飽きてしまい、刺激にならないと考えました。入所者の方に直接、どのレクリエーションが好きか、どういう動きができるか・できないかを教えていただきながら、スタッフの方とともに新しいアイデアを考え、道具の作成などを行いました。
私が考えた「◯◯」という新しい遊びは入所者、スタッフともに評判だったことが非常に嬉しかったです。レクリエーションが苦手であまり参加しなかった入所者の方も、様子を覗いたり時折笑ったりと、以前より明るくなった姿が印象的でした。
ただ、レクリエーションを行うだけではなく、アイデアを生み出すためにはヒアリングが大切だとわかりました。目の前にあるものに満足せず、常に新しいものを作っていくためには、傾聴力が必要です。ボランティア活動で培った私の傾聴力を、御社の業務でも活かしたいです。
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よくある質問
傾聴力とは何ですか?
傾聴力とは、話す内容や様子から相手の感情や悩みを理解する能力を指します。「聞き上手」とは異なり、相手が見せていない心を読み取ることや、問題解決まで導ける能力をもっていることが特徴です。
傾聴力を自己PRや長所としてアピールするときのポイントはありますか?
自己PRや長所で傾聴力をアピールするときは、これらのポイントに注目しましょう。
・企業がどんな能力を求めているのかを確認する
・傾聴力を発揮したエピソードを伝える
・第三者からのフィードバックや評価を引用する
・傾聴力が応募先企業でどう活かせるかを説明する
・傾聴力をほかの言葉に言い換えできないかを検討する
各項目の詳細は「自己PRで傾聴力をアピールする場合のポイント」で解説しています。
傾聴力の言い換えは?
傾聴力と言い換える場合、これらの言葉を活用できます。
・調和力
・理解力
・洞察力
・問題解決力
傾聴力」という言葉を、より自分の特徴に近い言葉と言い替えることで、自己PRをしやすくなる可能性があります。類語の詳細は「傾聴力をほかの言葉に言い換えできないかを検討する」で解説しています。
傾聴力がある人の特徴は何ですか?
傾聴力というスキルはさまざまなシーンで発揮しますが、おもにこのような特徴があります。
・チームプレイヤーである
・リーダーシップがある
・コミュニケーション能力が高い
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