商社の仕事内容を徹底解説！職種別の業務・向き不向き・やるべき就活準備

商社は、商品の調達や販売、企業への事業投資など幅広い事業を手がけ、ビジネスの根幹を支えています。企業や職種ごとに役割や求められるスキルが異なるため、商社の仕組みや仕事内容を正しく理解しておくことが重要です。

本記事では、商社の基本情報をはじめ、職種別の仕事内容、やりがいや厳しさ、向いている人の特徴を詳しく解説します。商社への理解を深め、納得いくキャリアを選択するための参考にしてみてください。

そもそも商社とは？業界の基本情報

ここでは、商社がどんな仕組みでビジネスを展開しているのか、どんな役割を果たしているのかを解説します。

商社とは：企業間の取引を仲介し、流通を支える企業

商社とは、企業間の取引を仲介し、国内外のモノやサービスの流通を支える役割を担う企業です。商品を「仕入れて売る」だけでなく、ビジネスに必要な人・お金・情報などをつなぎ、取引全体をコーディネートします。

商社は単純に売り買いを行うだけの企業ではありません。取引に伴うリスクを軽減するための保険の手配や、資金調達・決済などお金に関するサポートも担っており、ビジネス全体を支える多角的な役割を果たしています。

総合商社と専門商社の違い

商社はその業態から大きく「総合商社」と「専門商社」に分類されます。

総合商社は、取り扱い分野の広さと事業投資の規模が大きく、グローバルかつ多角的なキャリアパスが魅力です。一方の専門商社は、特定領域において知識や経験を深めやすい点が特徴です。

商社とメーカーとの違い

商社とメーカーとの違いは次のとおりです。

	商社	メーカー
おもな機能	他社の製品を 調達・流通・販売	製品を自社で 開発・製造・販売
強み	情報力・交渉力・ 調整力・多様な商材の扱い	技術力・製品の品質・ ブランド力
役割	商材と企業を「つなぐ」企業	商材を「つくる」企業

メーカーは自社製品を企画・開発・製造・品質管理し、その後販売まで一貫して行います。自社ブランド・製品への責任が大きく、技術力や品質管理に力を入れているのが特徴です。

商社は自社では製造せず、国内外で製造された製品を調達・流通・販売します。多様な商材・業界を扱い、情報収集・交渉力・リスク管理が求められます。

人事吹き出し：商社はモノやサービス、情報、人などを「つなぐ」のが仕事です。海外と日本、売り手と買い手、現場と経営など、異なる立場の関係者を結びつけ、円滑にビジネスが進むよう調整する役割を担っています。

商社のおもな事業内容は2つ

商社のおもな事業内容は「仲介・トレーディング」と「事業投資・事業開発」の2つです。これらは業種や規模、企業の方針によって比重が異なりますが、いずれも商社の本質を理解するうえで欠かせない要素です。

仲介・トレーディング

仲介・トレーディングとは、商品を仕入れて売る取引のことを指します。商社の伝統的なビジネスモデルであり、多くの商社がこのモデルを中心に展開しています。

▼仲介・トレーディング事業の流れ

• 商社が海外のメーカーから商品を調達する
• 輸送・通関・品質確認などの貿易実務を担当する
• 国内外の顧客へ商品を販売する
• 販売先との間で契約・代金回収・リスク管理を実施する

商社はこの過程で、情報収集力・調整力・信用力・為替や在庫のリスクマネジメント能力を活かし、売買差益や手数料収入を得ています。

事業投資・事業開発

総合商社を中心に注力されているのが、「事業投資」や「事業開発」と呼ばれるビジネスモデルです。企業やプロジェクトそのものに出資・経営参加し、中長期的に収益を得ます。投資対象の事業が継続的に利益を上げれば、商社にとって安定的な収益基盤となります。

出資後には経営にも深く関与し、企業価値の向上を目指します。その結果、株式の売却や配当収入といった形で、追加の利益を確保しています。

商社が動かすビジネスの流れ

商社が携わるビジネスは、商材の調達から販売、事業投資に至るまで一貫して関与することが一般的です。例えば、ある鉄鋼製品を日本国内で販売する場合の仕事の流れは、次のとおりです。

• 海外のメーカーと契約を締結し、製品を仕入れる
• 船舶や航空便で日本に輸送し、通関手続きを行う
• 国内の取引先に製品を納入する
• 決済や資金回収を管理する
• 必要に応じて、製造設備への出資や共同事業を行う

原材料の調達から販売先との取引まで、バリューチェーン全体を動かす中核的存在となっており、それこそがほかの業種にはない、商社ならではのポイントです。

商社の仕事内容【職種別】

商社の仕事は「海外と取引する」といった漠然としたイメージを持たれがちですが、実際には多くの職種が存在し、それぞれ異なる役割を果たします。

1. 営業（国内・海外）

商社の営業職では顧客の課題を把握し、仕入先との交渉・契約・納品までを一貫してマネジメントする、ビジネスのプロデューサー的な役割を担っています。

例えば「東南アジアから調達した水産加工品を、日本の外食チェーンへ安定供給する」といったプロジェクトで、営業担当がすべての流れを設計・管理します。国内営業では日本企業とのやりとりが中心となり、海外営業では現地法人との連携や駐在も想定されます。

2. 営業事務・貿易事務

営業や取引を裏側から支えるのが、営業事務・貿易事務の役割です。書類業務や日程の管理、関係各所との調整などの業務を担当し、正確性と調整力が求められます。

海外から鉄鋼製品を輸入する場合、書類を整え、通関がスムーズに通るよう調整し、輸送が予定通りに進むようスケジュールを管理します。事務職でもグローバルに関わる仕事ができるのが商社の特徴です。

3. 事業投資・事業開発

商社はモノやサービスを売買するだけでなく、企業や事業に直接出資して育てていく「投資家」のような役割も担っています。

事業投資・事業開発の業務は、長期的な視点で大きな利益を狙うスケールの大きな内容です。語学力だけでなく、経営視点・金融知識・国際感覚が求められます。

4. マーケティング・商品企画

商社のなかには、扱う商品に関して自ら販路を開拓したり、販売戦略を立てたりする業務を担うマーケティング・商品企画の部署もあります。マーケティングや商品価格の仕事では、市場を読む力・企画力・伝える力が問われます。

5. 管理部門（人事・法務・経理など）

企業のなかから全体を支えるのが、管理部門の役割です。いわゆる「裏方」ともいわれますが、組織運営において欠かせない存在です。

商社の仕事内容から見たやりがい

商社で働くやりがいは、次のとおりです。

• スケールの大きなビジネスに関われる
• 海外との取引や駐在経験ができる得られる
• 若手のうちから裁量が大きい

スケールの大きなビジネスに関われる

商社の取引は、一度に数千万円〜数十億円規模が動くこともあります。資源開発やインフラ整備といった国家レベルのプロジェクトに関わることもあり、影響力の大きさを肌で感じながら働けるでしょう。

長期にわたる契約や国際的な交渉を通じて、「日本や世界の産業を支えている」という実感を得やすい仕事です。

海外との取引や駐在経験ができる得られる

商社の多くは世界中にネットワークを持っており、若手のうちから海外出張や駐在、外国人との取引が発生します。現地企業との交渉やプロジェクトマネジメントを通じて、国境を越えたビジネスを経験できるのは魅力でしょう。

異文化のなかで仕事をすることで、語学力はもちろん、国際感覚や柔軟な対応力も自然と身についていきます。

若手のうちから裁量が大きい

商社は一般的に「個人の裁量が大きい職場」として知られています。若手であっても、プロジェクトや商材を任されることが多く、責任と自由の両方を持って仕事に取り組めます。

自身の判断が取引に直結するため、成長スピードも早く、成果に表れやすい環境です。

商社で働く厳しさやデメリット

商社を志望するなら、やりがいだけでなく厳しさやデメリットも知っておくことが大切です。商社も企業によって厳しさはさまざまですが、ここでは一般的な内容を解説します。

• 成果への責任・プレッシャーを感じやすい
• 業務量によってワークライフバランスに差がある
• 英語力・語学対応が求められる場面が多い

成果への責任・プレッシャーを感じやすい

商社の営業職や事業開発職では、売上や契約数などの明確な成果目標が課されるのが一般的です。さらに、取り扱う案件の規模が大きいため、一つのミスが大きな損失につながるリスクもあります。

また、国際的な取引は政治・経済・為替などの外部環境にも影響を受けやすく、思わぬトラブルへの対処も必要です。日々の判断が事業全体に直結するため、強い責任感と冷静な判断力が求められます。

業務量によってワークライフバランスに差がある

商社の仕事は、プロジェクトの進行状況や取引先との関係性によって業務量が大きく変動します。特に海外案件を担当する場合は、時差の影響で早朝や深夜に連絡を取る必要があることもあり、生活リズムが不規則になることもあります。

また、交渉や納期調整などでプロジェクトが佳境に入ると、休日出勤や長時間労働になるケースもあります。ただし、常日頃から激務というわけではなく、職種や時期によって業務量には差がある傾向です。

英語力・語学対応が求められる場面が多い

商社では、多くの業務がグローバルに展開されている中、日常的に英語を用いる場面が発生します。海外の取引先とのメールや電話、契約書の確認、海外出張や駐在など、語学スキルが仕事の質を左右する場面も多いです。

また、応募時にTOEICなどの語学スコアが応募条件になっていることもあります。英語を武器に仕事をしたい学生にとっては大きなチャンスでもありますが、語学に自信がない場合は早めの対策が必要です。

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自分にあっている？商社に向いている人の特徴

商社は華やかなイメージがある一方で、厳しい局面でも成果を出す力が求められる仕事です。ここでは、商社で活躍しやすい人の特徴を5つ紹介します。

• 自分で考え、動ける人
• 人と関わることが好きで、相手にあわせた対応ができる人
• 変化を楽しめる人
• 好奇心が強く、学び続けられる人
• 国際的な環境に前向きに取り組める人

自分で考え、動ける人

商社では若手のうちから責任ある仕事を任されることが多く、受け身では通用しないこともあるでしょう。「どうすれば顧客の課題を解決できるか」を自ら考え、主体的に行動する力が求められます。自分で判断し、動ける姿勢が重要になる環境です。

人と関わることが好きで、相手にあわせた対応ができる人

商社の仕事は、社内外の関係者との連携が欠かせません。営業先や仕入先、社内の物流担当、海外現地法人など、文化や立場の異なる相手と信頼関係を築く力が重要です。

「相手の意図をくみ取って会話のトーンを変える」「トラブル時にも冷静に対応する」といった、人間関係を大切にできる姿勢は、商社において武器になるでしょう。

変化を楽しめる人

商社では、市場の動きや為替、顧客のニーズ、社内の方針などが常に変化しています。また、転勤や海外駐在など、働く環境自体が大きく変わることもあります。

こういった度々の変化を前向きに捉え、「新しい環境で学びたい」「新しいチャンスにワクワクする」と思える方は、商社での成長機会を活かしやすいでしょう。

好奇心が強く、学び続けられる人

商社の取引分野はエネルギー、食品、化学品、IT、インフラなど多岐にわたります。文系・理系を問わず、未知の分野に飛び込む柔軟さと、学び続ける姿勢が大切です。

「業界ニュースを毎日チェックする」「先輩の動きを観察して学ぶ」といった積極的な学びの姿勢がある方ほど、幅広い仕事でチャンスを得やすくなるでしょう。

国際的な環境に前向きに取り組める人

商社の仕事では、英語を使う場面や海外とのやり取りが日常的に発生します。語学力の高さも強みになりますが、「異文化への理解と受容」も必要です。

「挑戦してみたい」「現地に行って学びたい」という気持ちがある方なら、商社でグローバルに活躍できるでしょう。

商社に合わない可能性がある人の傾向

商社に向いていない可能性がある人の特徴は、次のとおりです。

• 指示がないと動けないタイプ
• 変化が苦手で、安定志向が強い
• 多くの人との関わりにストレスを感じやすい

商社は、スピード感ある意思決定や多様な人々とのやりとりが日常的に求められる環境です。そのため、「上司から指示がほしい」「自分から提案するのが苦手」といったタイプの方は活躍しにくいかもしれません。

また、海外取引や市場の変化に対応するためには柔軟性が必要です。変化に不安を感じやすく、安定やルーティンワークを重視する方にとっては、ストレスを感じることもあるでしょう。

商社の就職を目指す学生がやっておきたい就活準備

商社は人気業界であるだけに、就活準備は早めに始めるのがポイントです。ここでは、志望度の高い学生が実践しておきたい3つの対策を紹介します。

業界・企業研究を徹底する

商社は業種・職種ともに幅広く、企業ごとにビジネスモデルや注力分野が大きく異なります。「なぜその商社なのか」を語れるよう、業界全体の構造と企業ごとの強みを理解しておくことが不可欠です。例えば、資源やエネルギーに強い企業もあれば、食品やライフスタイル事業に注力している企業もあります。

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インターンに参加する

商社は、夏から秋にかけてインターンや仕事体験を多数開催しています。選考直結型のインターンに参加すれば、企業の雰囲気を体感できるのはもちろん、早期選考につながるチャンスも広がります。

長期インターンでなくても、オープンカンパニーやキャリア教育、会社説明会に参加して、企業同士を比較するのもおすすめです。

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TOEICなどの語学対策を進める

商社では日常的に英語を使う場面が多く、TOEICなどのスコアはアピール材料になります。特に海外営業や事業投資に携わりたい場合、800点以上のスコアが一つの目安となるでしょう。

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よくある質問

商社の仕事内容をわかりやすく教えてください。

商社は、モノやサービスを国内外から調達・販売し、企業同士をつなぐ仕事です。商品を売買するだけでなく、事業への投資や新しいビジネスを立ち上げるなど、総合的にビジネスを動かす役割をはたします。

商社における営業の仕事内容は何ですか？

商社の営業は、仕入先と販売先の間に立ち、価格や納期の交渉、契約、リスク管理などを行う仕事です。商材の提案から物流の調整まで幅広く関わり、ビジネス全体を設計・推進する役割を担います。

商社における事務の仕事内容は何ですか？

営業事務や貿易事務では、受発注や請求書の作成、通関書類の準備、輸送スケジュールの管理などを行います。営業のサポートとして、正確な書類業務やスムーズな取引進行を支える重要な役割です。

総合商社はどんな仕事をしていますか？

総合商社は、エネルギー、食品、インフラなど幅広い分野を取り扱い、商品の売買や貿易に加えて、国内外の事業への投資や運営も行います。社会や経済の基盤を支えるスケールの大きなビジネスが特徴です。