オープン・カンパニーとは、2025年卒採用から導入された、新しいキャリア形成支援プログラムです。学生が企業や業界について知ることを目的としており、就業体験を伴わない点が特徴です。
この記事では、オープン・カンパニーの定義や特徴、インターンシップとの違い、参加するメリットなどを詳しく紹介します。プログラムの探し方や服装、事前に準備しておきたいことも解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- オープン・カンパニーは就業体験を伴わないプログラムであり、選考との関連性はない
- オープン・カンパニーは全学年対象であり、1、2年生が参加できるプログラムもある
- 企業や業界への理解を深めるためには、参加前にある程度調べておくことが大切
オープン・カンパニーとは?定義と意味
オープン・カンパニーとは、学生が企業や業界について理解を深めるために実施される「キャリア教育支援プログラム」のことです。
経団連(日本経済団体連合会)では、オープン・カンパニーを「就業体験を伴わないプログラムであり、企業の業務内容や雰囲気を知ることを目的としている」と定義しています。
例えば、就職情報サイトを運営する企業や学校のキャリア支援センターなどが主催する、会社説明会や社員との座談会、職場見学、グループワークなどがオープン・カンパニーにあたります。企業の情報提供が中心であり、実際に業務を体験することはなく、選考には直結しないプログラムであることが特徴です。
この定義により、これまで「1day仕事体験」や「1dayインターンシップ」と呼ばれていたプログラムは、2025年卒以降、原則「オープン・カンパニー」として扱われるようになりました。
ただし、企業によっては変更前の呼び方で案内している可能性もあります。
オープン・カンパニーとインターンシップの違い
オープン・カンパニーとインターンシップでは、次のような違いがあります。
オープン・カンパニー | インターンシップ | |
---|---|---|
おもな目的 | 業界・企業理解、 キャリア形成支援 | 実務体験、職業理解 |
対象者 | 全学年 | 大学3年生(学部最終年)が中心 |
期間 | 半日〜1日程度 | 5日以上 |
就業体験 | なし (座談会・説明・見学が中心) | あり (実際の業務を体験する) |
選考との 関連性 | なし | 一部のプログラムは 選考につながる場合がある |
インターンシップは、企業の業務を体験することで働くイメージをつかむ実践型のプログラムです。対象者がおもに大学3年生(学部最終年)に限られ、実際の業務を体験します。例えば、営業への同行、商品開発の補助、データ分析など、より具体的な業務を体験することになります。
一方、オープン・カンパニーは、実際に業務を体験するのではなく、業界や企業について知ることに焦点を当てたプログラムです。学士・修士・博士課程を問わず、全学年を対象としているため、就活をまだ意識していない低学年の学生も気軽に参加できます。
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オープン・カンパニーと会社説明会の違い
続いて、オープン・カンパニーと会社説明会の違いを見てみましょう。
オープン・カンパニー | 会社説明会 | |
---|---|---|
おもな目的 | 業界・企業理解、 キャリア形成支援 | 採用に向けた情報提供、 エントリーの促進 |
対象者 | 全学年 (1・2年生も参加可) | 大学3年生(学部最終年)が中心 |
実施時期 | 通年 | おもに本選考の前 (大学3年生の3月以降) |
内容 | 企業説明、座談会、職場見学、 質疑応答、ワークなど | 事業内容や採用情報の説明が中心 (質疑応答あり) |
選考との 関係 | なし | 選考に関わる場合もあり |
会社説明会は、本選考に向けた採用広報活動の一環として行われ、学生のエントリーを後押しすることを目的としています。対象はおもに大学3年生や修士1年生以上で、3月以降に始まることが多いです。
一方、オープン・カンパニーはあくまでキャリア支援を目的とした教育的なプログラムであり、採用を前提とした内容ではありません。1・2年生など低学年の学生も参加できることも、会社説明会との違いです。
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オープン・カンパニーのおもな特徴
オープン・カンパニーは、学生が企業や業界について理解を深めることを目的とした、就業体験を伴わないキャリア教育プログラムです。特徴をより詳しく見ていきましょう。
就業体験は含まれない
オープン・カンパニーでは、実際の業務を体験するのではなく、企業に関する情報を得ることに焦点が置かれています。具体的には、次のような内容が含まれます。
オープン・カンパニーの内容例
- 企業や業界の説明会
- 社員との座談会、交流会
- 職場やオフィス見学
- グループワーク

仕事を「体験」するというよりも、企業や業界への理解を深めるための場といえます。
採用活動とは切り離されている(広報・キャリア教育の一環)
経団連の指針では、オープン・カンパニーは採用選考と直接結びつけてはならないとされています。
早期選考に案内されるなど、参加したことで選考に有利になることはありません。あくまで、企業や働くことについて考える機会として提供されています。
期間は半日〜1日で短期間で気軽に参加できる
オープン・カンパニーは、半日〜1日ほどで完結する短期間のプログラムを指します。そのため、学業やアルバイトと両立しやすく、複数の企業に参加して比較することも可能です。最近ではオンライン開催やオンデマンド視聴型も増えており、自宅からでも気軽に参加できます。
全学年対象(大学1・2年生の参加も可能)
インターンシップが大学3年生を対象としているのに対し、オープン・カンパニーは全学年が対象です。大学1・2年生でも参加できるため、早い段階から企業と接点を持ち、将来のキャリアを考えるきっかけになります。大学3・4年生が志望業界を絞り込むための場としても活用できるでしょう。
学生と企業の相互理解を促進する場
オープン・カンパニーは、学生が企業を知るだけでなく、企業にとっても自社の魅力や考え方を学生に伝えるよい機会となります。将来の応募につながるかもしれない学生と接点を持つことができるといった企業側のメリットがあることも特徴です。
オープン・カンパニーに参加するメリット
オープン・カンパニーは、単に企業を知るためのイベントでなく、将来のキャリアや就活に向きあうためのきっかけになります。ここでは、オープン・カンパニーに参加することで得られる、具体的なメリットを見ていきましょう。
業界や企業についての理解が深まる
オープン・カンパニーでは、企業の担当者から業界の仕組みや動向、仕事内容などを直接聞くことができます。就活情報サイトやパンフレットだけでは得られない、よりリアルな情報を得られるでしょう。
また、複数の企業のプログラムに参加することで、企業ごとの雰囲気や考え方の違いを知ることもでき、業界全体への理解も深まります。
志望動機や自己PRの材料になる
企業の話を聞いたり、社員と交流したりすることで、「その企業に関心を持った理由」や「どんな仕事に興味を持ったか」などを自分の言葉で整理しやすくなります。
これらの経験は、ES(エントリーシート)や面接で志望動機を考えるときに役立ちます。社員との対話や現場の雰囲気を見た経験があると、自信を持って具体的なエピソードを語れるようになるでしょう。
自分にあう企業・職種を見極める材料になる
企業の話を聞いたり、職場を見学したりするなかで、「思っていたイメージと違った」「もっと自分にあいそうな仕事を知れた」など、新たな発見があるかもしれません。こうした経験は、自分の関心や就活の方向性を見直すきっかけになります。まだ志望業界が決まっていない学生にとっては、視野を広げる貴重な機会になるでしょう。
早期から就活を意識できる
オープン・カンパニーは、大学1・2年生からでも参加できます。早い段階から社会人と話す経験を積んだり、ビジネスマナーに触れたりすることで、自然と将来の進路について考える時間が増えていきます。
また、同じようにキャリアに向き合っている学生と出会うことで、自分自身のモチベーションを高められるでしょう。
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オープン・カンパニーの探し方・参加方法
オープン・カンパニーは、次のような方法で探すことができます。
- 就活情報サイト(マイナビ・リクナビなど)で検索する
- 興味のある企業Webサイトの採用ページを定期的にチェックする
- 学校のキャリア支援センターで紹介や掲示を確認する
- SNS(X・Instagramなど)で「#オープンカンパニー」を検索する
- 就活掲示板や口コミサイトで体験談を確認する
- 身近な先輩や友人に直接話を聞く
企業によって情報の出し方や募集時期は異なるため、複数の方法を活用し、定期的にチェックすることがおすすめです。
参加したいプログラムを見つけたら、詳細を確認し、案内に沿って申し込みます。プログラムによっては、先着順であったり、早期に募集受付を終了したりする可能性もあるため、気になる企業を見つけたら、早めに申し込みを行いましょう。
オープン・カンパニーの服装
オープン・カンパニーは選考とは直接関係しませんが、就活において第一印象は大切な要素です。参加時の服装は、企業の案内に沿って適切なものを選びましょう。
服装選びの判断基準
- 企業からの案内に沿った服装を選ぶ
- 私服指定の場合:私服でOK
- 服装指定がない場合:スーツがおすすめ
- 服装自由と記載されている場合:ビジネスカジュアルがおすすめ
基本的には、企業からの案内に従うことが大切です。「スーツを着用いただく必要はありません」「私服でお越しください」といった案内がある場合は、私服で問題ありません。ただし、派手な色や柄の服装や露出の多い服装、サンダルでの参加は、その場の雰囲気にあわない可能性があるためTPOにあわせましょう。迷うときは「ビジネスカジュアル」がおすすめです。

ビジネスカジュアルとは、ビジネスの場にふさわしい、スーツより少しカジュアルな服装を指します。
服装に関する指定がない場合は、スーツを選んでおくと安心です。スーツはビジネスの場になじみやすく、かっちりした印象を与えられるため、迷ったときにおすすめの選択肢といえます。
「服装自由」とされている場合は、その企業の雰囲気や開催場所、時間帯などを踏まえて、その場に馴染みやすい服装を意識してみましょう。必ずしもスーツを着用する必要はありませんが、自分が落ち着いて参加できる服装を選ぶことが大切です。
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オープン・カンパニーに参加するための準備
オープン・カンパニーに参加するための準備として、次の5つを行っておきましょう。
準備を進めておくことで、より多くの学びや気づきを得られるでしょう。
企業研究・業界研究をしておく
オープン・カンパニーは気軽に参加できるプログラムもあるため、「企業の名前だけを見て申し込んだ」というケースもあるかもしれません。そういった場合でも、参加前に企業の基本的な情報や業界の特徴を調べておくのがおすすめです。企業のWebサイトや採用ページなどで、最低限の情報には目を通しておきましょう。
事前に調べておきたいポイント
- どんな事業をしているか
(例:BtoBかBtoCか、製品を作っているか、サービスを提供しているか、など) - 企業理念やビジョン
- 主力商品やサービス、強みとなる技術
- 業界内での位置付け
(例:シェアが高いか、同業他社にはどんな企業があるか、など)
さらに、会社四季報や業界地図などを活用すれば、企業単体だけでなく、業界全体の流れや特徴も把握しやすくなります。何も知らない状態で参加すると、説明の内容を理解しづらくなることもあるため、ある程度調べておくことが大切です。
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質問を用意しておく
オープン・カンパニーでは、座談会や質疑応答の時間が設けられていることがあります。社員に直接話を聞ける貴重な機会なので、気になることがあれば質問できるように準備しておきましょう。質問内容を2〜3個程度メモしておくと、緊張していてもスムーズに話しやすくなります。
質問例
- 〇〇さんが入社を決めた理由を教えてください
- 入社前後のギャップはありましたか?
- 1日のスケジュールや繁忙期の働き方について教えてください
- 学生時代にやってよかったと感じることはありますか?
- 御社で働くうえで感じる魅力ややりがいはどんなところですか?

自分から質問することで、より深く企業のことを知るきっかけにもなります。
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当日の持ち物を確認する
企業からの案内メールや募集要項には、当日の持ち物が記載されている場合があります。参加前に確認し、忘れずに準備しておきましょう。
持ち物例
- 筆記用具、メモ帳
- 参加案内メール
- 学生証や本人確認書類
参加中は、PCでメモをとることも可能ですが、さっと書ける紙のノートがあると便利です。企業からの参加案内メールは印刷しておくか、スマートフォンでいつでも確認できるようにしておきましょう。
学生証や本人確認書類は、対面での受付時に必要になることがあるため、念のため持参しておくと安心です。
オンライン参加の場合は環境を確認する
オンライン開催のオープン・カンパニーでは、通信環境や機材の不具合が原因で、スムーズに参加できないことも考えられます。トラブルを防ぐためにも、事前に次のポイントを確認しておきましょう。
オンライン参加時のチェック項目
- 使用ツール(Zoomなど)は最新版がインストールされているか
- プロフィール画像やアカウント名がプライベート用になっていないか
- Wi-Fi環境は安定しているか(不安定な場合は別の場所や有線接続を検討)
- 背景に生活感のあるものが写っていないか
- カメラの角度や高さ、マイクの音量は適切か
- 部屋の明るさは問題ないか、表情が見えにくくなっていないか
- 身だしなみが整っているか
当日は静かな環境で姿勢を正して参加します。オンラインであっても、飲食をしながらの参加は避けましょう。
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スケジュール管理・リマインド設定をする
「せっかく申し込んだのに、当日参加するのを忘れてしまった」という事態を防ぐためにも、スケジュール管理は重要です。
特に、複数の企業に申し込んでいる場合は、Googleカレンダーやスマートフォンのリマインダー機能などを活用し、前日や当日に通知が届くように設定しておくことがおすすめです。
オンライン参加では、直前に慌てないよう開始の10〜15分前には接続を済ませ、準備を整えておきましょう。
よくある質問
オープン・カンパニーとは何ですか?
オープン・カンパニーとは、学生が企業や業界について理解を深めるために実施される、就業体験なしのプログラムです。説明会や社員との座談会などを通して企業の雰囲気を知ったり、キャリアについて考えるきっかけを得たりできます。1・2年生が参加対象に含まれるプログラムもあるため、就活が本格化する前の段階でも、気軽に参加しやすいことが特徴です。
「オープン・カンパニーとは?定義と意味」で詳しく解説しています。
オープン・カンパニーとインターンシップの違いは何ですか?
オープン・カンパニーは情報提供が中心で、実際の業務を体験する内容は含まれていません。一方、インターンシップは業務の一部を体験する、実践的なプログラムです。目的や期間、選考との関連性などが異なります。
「オープン・カンパニーとインターンシップの違い」で詳しく解説しています。
オープン・カンパニーと会社説明会の違いは何ですか?
会社説明会は、本選考が近づいた時期に採用広報の一環として行われるものです。対象はおもに大学3年生以上で、選考と関連するケースもあります。一方、オープン・カンパニーは選考とは切り離されたキャリア支援の一環で、1・2年生からでも参加できるプログラムです。
「オープン・カンパニーと会社説明会の違い」で詳しく解説しています。
オープン・カンパニーは何年生から参加できますか?
オープン・カンパニーは、基本的に全学年が対象です。大学1・2年生でも気軽に参加できるプログラムもあるため、早い段階からキャリアについて考えたい学生にとっては、参加するハードルが比較的低いといえます。