フリーターとは、15~34歳の若年者(学生・主婦を除く)のうち、勤め先における呼称がアルバイトまたはパートの人を指す言葉です。さまざまな事情で大学卒業後にフリーターになる人がおり、メリットもあります。しかし、賃金の差など年齢が上がるほどに顕著になりやすいため、フリーターになる目的や将来のことも考えながら、自分の進路を考えていきましょう。
この記事でわかること
- フリーターは時間に融通が利きやすいなどのメリットがある
- 収入の差以外にも、雇用の不安定さキャリア形成の難しさなどのデメリットもある
- 大学在学中であれば、今から就活をしても卒業までに内定を獲得できる可能性はある
大卒・大学院卒のフリーター経験者の割合
独立行政法人 労働政策研究・研修機構が2021年に実施した調査「大都市の若者の就業行動と意識の変容」によると、大学・大学院卒でフリーターを経験している人の割合は18.3%(2021年時点)となっていました。
この調査結果は、大学・大学院卒のフリーター経験者(25〜29歳)の数値であり、正社員などを経てフリーターになった人も含まれる数値です。
※N=991
大卒でフリーターになる理由
卒業後すぐフリーターになった人もいれば、正社員として働いていたがフリーターになった人などさまざまです。大卒でフリーターになった理由として考えられるものは、次のとおりです。
在学中に内定を得られなかった
大学在学中に、志望した企業から内定を得られず、やむを得ずフリーターになる場合があるでしょう。
内定が出なかった人もいれば、志望度の低い企業からの内定をあえて断った人もいると考えられます。
就活・就職に対するモチベーションが上がらなかった
大学在学中、途中で就活を諦めた、働くことに対するモチベーションが湧かず就活をしなかったという人もいるでしょう。
一生懸命就活をしていたものの内定がもらえず疲れたり、自分のやりたいことが見つけられなかったりといった理由で、少しずつモチベーションが落ちてしまったとも考えられます。
早期退職した
早期退職をする理由としては、次のようなことが考えられます。
- 入社した企業が自分に合わなかった
- ハラスメントなどつらい経験をした
- 病気やケガで退職せざるを得なかった など
退職を望まなかったものの、退職せざるを得なかったということもあるでしょう。
本当にやりたいことがあった
大学卒業後に入社したものの、夢を諦めきれず退職しフリーターになった人もいます。人によりやりたいことはさまざまで、次のような理由があるでしょう。
- 起業したい
- フリーランスとして働きたい
- 家業を継ぎたい
- 海外に行きたい
- 専門学校などに行きたくてフリーターと学生を掛け持ちしている
- フリーターとして働きながらクリエイティブな仕事に挑戦したい など
正社員の場合は時間を確保しづらいため、ある程度時間に余裕が生まれやすいフリーターを選ぶという選択肢もあります。
大卒でフリーターになるメリット
大卒でフリーターになるメリットには、次のようなものがあります。
時間に融通が利く
正社員として働くことと比較すると、フリーターのほうが時間に融通が利きやすいでしょう。
職場によって異なりますが、早朝や深夜に働ける、シフトが自由といったアルバイトもあります。正社員の場合は多くがフルタイムで働くため、やりたいことがあり時間が必要な人にとっては、時間を確保しにくくなります。

体調や体力に不安がある場合は、フリーターを選択して短い時間のみ働くということもできますね。
好きな仕事を掛け持ちできる
フリーターであれば、ひとつの企業や職種にとらわれることなく、アルバイトを掛け持ちするということもできます。
異なる種類の仕事を経験すれば知識や技術が身につき、幅広いスキルを得られるでしょう。
正社員と比較するとプレッシャーが小さい
正社員と比較すると、アルバイトやパートは、重たい責任を負わないこともあります。まったく責任がない、責任感なく仕事をしてもよいわけではありませんが、そのぶんプレッシャーが小さくのびのび仕事ができると考えることもできます。
これにより、人間関係の悩みが大きくなりづらい、精神的負担を感じにくいことはメリットのひとつです。
退職に対するハードルが低い
アルバイトやパートの場合、仕事を変える選択が正社員と比較して容易といえるでしょう。「スキルを身につけるために期間限定で働く」といった柔軟な選択をすることも可能です。ただし、退職回数が多いと新たな就職が難しくなることがあるため、注意が必要です。
新たなステップを踏み出しやすいことは、フリーターのメリットといえます。
大卒でフリーターになるデメリット
大卒でフリーターになるメリットがある一方で、次のようなデメリットもあります。
正社員と比較して収入が低い傾向がある
時給などによって異なりますが、一般的な傾向としてフリーターと正社員では収入差が大きいとされています。
大学卒業直後は大きく変わりませんが、年齢が上がるにつれて年収の差も大きくなりやすいでしょう。
2025年3月に厚生労働省が公表した「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、正社員以外と正社員の賃金の差は次のようになっています。
| 正社員以外 | 正社員 | |
|---|---|---|
| 20~24歳 | 19.7万円 | 23.7万円 |
| 30~34歳 | 22.2万円 | 30.9万円 |
| 40~44歳 | 22.3万円 | 36.7万円 |
参考:令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況(雇用形態別にみた賃金)
※調査対象数:78,679 事業所 有効回答数:58,375 事業所
20代前半は約4万円の差ですが、30代前半になると約8.7万円、40代前半では約14万円といった大きな差になります。
働く条件によっては、フリーターは賞与がない場合もあります。賞与がない場合、時給換算、月給のみでみると大きな差はありませんが、賞与がある正社員のほうが収入が高くなるでしょう。また、正社員の場合、住宅手当などの福利厚生がアルバイトなどと比較して手厚いこともあります。
収入が制限されることで、今後の人生にも影響が出る可能性もデメリットといえます。
雇用が不安定な場合がある
有期雇用契約の場合、企業や景気によっては、契約が更新されないリスクもあります。
例えば、2020年から流行した新型コロナウイルス感染症のようなできごとがあれば、シフトが減る、働く時間が短くなる、場合によっては仕事を辞めざるを得ないことがあるかもしれません。
有事に影響を受けやすいのが非正規雇用のスタッフであり、デメリットといえます。
社会的信用を得にくい
正社員と同等の収入があった場合でも、正社員と比べて不安定だという認識になる可能性があります。
例えば賃貸契約やローンの審査といった面で、不利になることがあるかもしれません。
スキル・キャリア形成が難しい
業務内容によりますが、アルバイトなどの仕事は定型業務や未経験でもやりやすい仕事が多く、専門的な知識を身につける機会、プロジェクトを主導するような機会が限られます。
専門的なスキルが身につかない、経験がない状態で年齢を重ねたとき、さまざまな経験をした同年代と比較すると、実績やスキルに差がついている可能性があります。年齢を重ねるごとに、企業は即戦力となる人を求めることもあり、数年後、十数年後に転職をする際にハードルが高くなる可能性はあるでしょう。
大卒でフリーターのままでもいい?
フリーターのままでもよいかは、個人の価値観やライフプランによって異なります。
長期的に見たとき、「大卒でフリーターになるデメリット」で紹介したように、デメリットを感じる機会は増えてしまうでしょう。
しかし、フリーターでありながら達成したいことがあるときや、経済的なデメリットを受け入れられるときは、フリーターのままでもよいといえます。
もし、「いつかは転職して正社員になりたい」と思っているのであれば、何歳までに、何年後までになど明確なゴールを先に作っておくことが大切です。目的もなくフリーターをしている、経済的なリスクは容認できない、理由はないが正社員になりたくないという場合は、年月が経過してから後悔することがあるかもしれません。
大学在学中なら今からでも就活に間に合う可能性あり!
大学4年生の夏や秋の場合、今から就活をすれば志望企業に入社できる可能性があります。「フリーターになりたい」と考えながらも、心のどこかで「正社員になったほうがよいのではないか」と思っている場合は、今からでも就活をスタートするのがおすすめです。
時期によっては、周囲の人はすでに内定を得ているかもしれません。しかし、スタートダッシュが遅れてしまったときに大切なのは、周囲の人と比較しないことです。自分がどうしたいか、何をするかを優先して就活をスタートしましょう。
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秋採用は、春・夏の採用活動が終了したあとに実施されます。夏から継続して就活をしている人以外にも、学業など就活以外のことを優先していた人、公務員試験に挑戦した人、海外留学をしていた人などさまざまな人が参加しています。準備をしっかりと行ったうえで、選考に臨みましょう。
就活の開始が遅れたときの対処法
就活の開始が遅れたときは、まず行動することが大切です。そして、次のことを意識しながら就活を進めていきましょう。
自己分析をして就活の軸を考える
初めて就活をする場合も、就活を再開する場合も、まずは自己分析から行いましょう。自己分析をすることで、自分に向いていることや向いていないこと、興味があること、自分の長所などがわかり、エントリーする企業もある程度絞りやすくなります。
すでに自己分析をしている場合も、期間があいたのであれば再度自己分析をして今の自分と向き合うのがおすすめです。

自己分析の詳しい方法は、こちらの記事で解説しています。
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自己分析を行うことで、自分に合う業界・職種・企業が見つけやすくなります。それだけではなく、ESや面接で頻出する志望動機や自己PRなどで、独自性・具体性のあるエピソードを考えられるでしょう。就活が本格化する前に、自己分析を進めていきましょう。
ES対策・面接対策は友人やキャリア支援センターを頼る
企業にエントリーしたあとは、ES(エントリーシート)の提出を行い、書類選考通過後はグループワークや面接などが実施されます。
就活の開始が遅くなったときは、悩む時間を減らすために、友人やキャリア支援センターを頼るのがおすすめです。すでに内定を獲得して就活を終了している友人であれば、ESのアドバイスなど就活に協力してくれるかもしれません。
大学内にあるキャリア支援センターも利用してみましょう。センターでは、ESの添削や面接の練習にも対応しており、さまざまなアドバイスが受けられるはずです。

ユニキャリでは、書類選考や面接のほか、適性検査など就活に役立つさまざまな記事を公開しています。ぜひチェックしてみてください。
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悩む時間を減らして行動の数を増やす
企業選びで迷ったら情報収集をする、自分にマッチしそうな企業があったらエントリーするといったように、積極的に行動していきましょう。万が一選考に通過できなくても、落ち込まずに改善点を探して次の企業へエントリーするといったように、行動の数を増やすことが大切です。

完璧主義よりもひとつでも多く行動することで、チャンスを掴める数も増えていくでしょう。
卒業後、大卒フリーターから正社員を目指す方法
卒業してフリーターになったあとでも正社員を目指すことが可能です。ここでは、大卒フリーターから正社員を目指す方法を紹介します。
正社員登用を目指す
アルバイトのなかには、正社員登用制度を設けていることがあります。
正社員になる条件は、一定期間は勤続することや勤務の実績、勤務態度、上長の推薦などです。正社員登用制度があるかは企業により異なるほか、求人に記載されていることもあるため確認してみましょう。
働きながら資格取得を目指す
シフトの調整がしやすいというフリーターのメリットを活かし、資格取得を目指すという方法もあります。
資格取得と正社員を目指すのであれば、短期間で取得できる難易度が低いものよりも、将来的に収入に直結するものや、資格手当がもらえる資格を選ぶのがおすすめです。
なりたい自分をじっくりと考えてみよう
フリーターになる、これから就活を頑張る、どちらの場合でも、この機会に「本当にやりたいことは何か」「理想の自分はどんな姿か」を考えてみましょう。
フリーターとして働きながら資格を取得したり、お金を貯めたりして夢を叶えることもできます。新卒で第一志望の企業に入社できなくても、フリーターとして働きながらスキルと経験を積み、本当に働きたいと思える企業に入社することも可能です。
大学を卒業直後の進路だけが自分の人生を決めるものではありません。まずは、目標や夢を叶えるためには何が必要かを考えてみましょう。
よくある質問
大卒でフリーターが「やばい」といわれる理由はなんですか?
大卒でフリーターになるとやばいといわれる理由には、次のようなことがあります。
・正社員と比較して収入が低い傾向がある
・雇用が不安定な場合がある
・社会的信用を得にくい
・スキル・キャリア形成が難しい
ただし、「◯年後・◯歳までに正社員になる」といったフリーターでいる期限を決めていたり、明確な目標があったりする場合は、一概にやばいとはいえないでしょう。
「大卒でフリーターになるデメリット」では、やばいといわれる理由と、フリーターでいると起こりうるデメリットを紹介しています。
大卒がフリーターになるメリットはありますか?
大卒がフリーターになるメリットには、次のようなことがあります。
・時間に融通が利く
・好きな仕事を掛け持ちできる
・正社員と比較するとプレッシャーが小さい
・退職に対するハードルが低い
メリットがある一方で、年齢を重ねるごとにデメリットが出てきやすいことは把握しておきましょう。
大学卒業後にフリーターになっている人はどれくらいの割合ですか?
独立行政法人 労働政策研究・研修機構が2021年に実施した調査「大都市の若者の就業行動と意識の変容」によると、大学・大学院卒でフリーターを経験している人の割合は18.3%(2021年時点)となっています。
なお調査結果は大学・大学院卒のフリーター経験者(25〜29歳)であるため、卒業直後にフリーターになった人だけではなく、正社員などを経てフリーターになっている人も含まれる数値です。
※N=991
