長期インターンとは、おもに開催期間が1カ月以上のインターンを指します。社員と同じ実務に長期間携われるため、短期インターンに比べて業界や企業についての理解をより深められる点が特徴です。
夏季・冬季休みを利用して、実践で使えるスキルを身につけたい学生や、新しい知識や経験から視野を広げたい学生の参加が見られます。
当記事では、意欲的に就活に励みたい方はもちろん、「時間はあるけど何をしたらいいかわからない」「自己PRでアピールできるスキルや経験がない」と悩む方に向けて、長期インターンの必要性や一般的な期間、選び方などについて解説します。
長期インターンとは
インターンシップとは、学生が企業で実際に業務に触れて、業務内容や企業理解を深めるための職業体験です。期間に明確な定義づけはありませんが、なかでも、1カ月以上にわたり開催されるものが「長期インターン」と呼ばれます。
期間は企業から指定される場合と、企業と相談しながら自分で期間を決められるケースがあります。長期インターンに参加する目的によって1カ月・3カ月・6カ月・1年のいずれかで期間が決まるのが一般的です。
株式会社リクルート「就職みらい研究所」が2020年4月に発行したデータによると、2020年度に1カ月以上のインターンに参加した割合は、インターン全体の0.7%と非常に少ない数字でした。
画像引用:就職みらい研究所 就職活動・採用活動に関する振り返り調査(学生調査 2020年卒大学生・大学院生)
※回答者数:2020年卒1,904名、2019年卒2,030名、2018年卒1,825名
長期インターンの参加率が低い理由として、募集の母数が少ないほか、選考過程を含め参加のハードルが高いことが考えられます。また、大学の授業やアルバイトなどとの両立が難しく、長期間参加するための時間を確保できないといったこともあるでしょう。
長期インターンと短期インターンの違い
長期インターンと短期インターンの大きな違いは期間の長さです。ほかにも募集対象条件やプログラム内容などに違いが見られます。業界や企業によって傾向は異なりますが、以下の表では一般的な違いや特徴をまとめています。
長期インターン | 短期インターン | |
期間 | 1カ月〜1年程度 | 2日〜2週間程度 |
募集対象 | 大学1年生〜 大学院生まで全学年 | 就活している学生 (おもに大学3年生) |
プログラム内容 | 社員と同様の実務 | ・会社、事業説明 ・グループディスカッション |
長期インターンは短期インターンに比べて期間が長いことから、ひとつのプロジェクトの計画から改善までのサイクルを実務と同じように経験できるケースが多いです。また、大学1年生から参加できるものが多いので、複数の企業に参加して比較したり、ひとつの企業に年単位で参加して知識やスキルを高めることもできます。
社会に出る前から実務と同様の経験を積めるため、インターン先で就職する場合は、入社後に即戦力として実務に携わることもあるでしょう。
長期インターンの内容例
長期インターンは、インターン先の企業へ通うものと、フルリモートで参加できるものがあります。実際にどのような内容のインターンシップがあるのか例を見てみましょう。
具体的な長期インターン例
■自動車部品の営業に関する長期インターンシップ(通い)
期間:指定なし
勤務時間:週3日以上(1日3時間以上)
給与:時給1,050円〜
業種:商社
クライアントのニーズやプランの提案などを学び、経営会議にも参加する。未経験者を歓迎。大学の授業やゼミによる勤務日数の変動にも対応。
具体的な長期インターン例
■画像認識やアプリ開発に関する長期インターンシップ(通い)
期間:指定なし
勤務時間:週3日以上(1日3時間以上)
給与:時給1,050円〜(インセンティブあり)
業種:IT/ソフトウェア
プログラミングスキルを活かすことができ、未経験の場合は習得をサポートしてくれる。インターン生と社員が議論やプレゼンをする「インターンサミット」を月1回実施。
具体的な長期インターン例
■ITベンチャーの事務・アシスタントに関する長期インターンシップ(フルリモート)
期間:3カ月
勤務時間:週3日以上
給与:時給1,500円〜
業種:人材
事業報告書の作成やプロジェクト管理全般を行う。人工知能に関する知識やプロジェクト立ち上げスキルが身につく。
具体的な長期インターン例
■Webメディアのライティングに関する長期インターンシップ(フルリモート)
期間:指定なし
勤務時間:週2日以上(1日4時間以上)
給与:時給1,100円〜、納品ごとに3,000円など
業種:コンサルティング・メディア
ライティングや編集業務、SNSの運用などを担当する。Photoshopやillustratorなどの使用経験があればスキルを活かすことも可能。
長期インターンに参加するメリット
長期インターンに参加するメリットは、以下のようなものがあります。
メリット
- 社員と同じ目線で具体的な仕事や業務フローを体験できる
- 自分のスキルを実務で試せてスキルアップも図れる
- 業界の動向や企業の動きを学べる
- 就活マナーや社会人として必要な知識を得られる
- 就活でアピールできるエピソードができる
- 実際に働いている方から貴重な話を聞く機会になる
長期インターンは学生のうちから実際の現場で実務経験を積むことができ、業界の動向や企業の動きを深く体感できます。長い期間をかけて社員と同じように実務に携わるため、実践的なPDCAサイクルを学び、自分でサイクルを回せるようになるでしょう。
就活の自己PRにて、自分の強みや学生時代に力を入れたこととしてアピールもできます。「長期インターンとは」の項目を見てもわかるとおり、長期インターン経験者はインターン参加者のなかでも割合が非常に少ないため、ほかの就活生と差別化しやすい点も魅力です。
業界や職種によっては、インターン先の社員だけでなく顧客や取引先などの社会人とのコネクションを持ちやすくなります。インターン先の社員とはコミュニケーションを取る機会が多いため、就活や就職後の参考になるリアルな話を聞くチャンスも増えるでしょう。
参加する目的を決めておくことが大事
長期インターンに参加する際は、上述したメリットを参考にしながら参加する目的を明確にしておくことが重要です。もし、「長期インターン経験者」というステータスを得ることだけが目的になると、貴重な機会を無駄にしてしまうことになります。
長期インターンで何を学び、就活や就職後にどのように活かしていくのかを洗い出してまとめておくことで有意義に過ごせるでしょう。
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インターンシップに参加する目的とは?志望動機を書くコツも解説
参加目的は人によって異なりますが、「業界・企業への理解」のためにインターンシップへ参加している学生が多いです。ざっくりとした企業の理解を深めたいなら「1day仕事体験」、実務スキルを磨きたいなら「長期インターン」など、業種・業態・期間および目的によって種類は多岐にわたります。
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長期インターンの参加時期
株式会社アイタンクジャパンが運営する「キャリアバイト」が2021年10月に発表したデータによると、長期インターンに参加するのは3年が37%と最多です。次いで2年、4年という分布になっています。
画像引用:キャリアバイト「どんな学生が応募しているの?長期インターンシップの特徴を徹底解明」(2021年10月発行)
※回答者数:約142,000名
1・2年を合計すると全体の3分の1以上を占めています。その要因としては、複数の長期インターンに参加して業界や企業を比較するためや、学生時代から長い実務経験を積んで就職時に即戦力になりたいためなどが考えられます。
長期インターンの探し方
長期インターンは以下のような方法で見つけられます。
長期インターンの見つけ方
- 企業の公式サイトのリクルートページを見る
- インターン紹介のポータルサイトに登録する
- 大学のキャリアセンターを利用する
- 大学のインターンイベントに参加する
- OB・OGの紹介を受ける
興味のある企業が決まっている方は、企業の公式サイトを最初にチェックしてみましょう。公式サイトのリクルートページにインターン実施の案内や募集要項が記載されている可能性があります。
まだ具体的に企業が決まっていない場合は、インターン紹介のポータルサイトや大学のキャリアセンター、インターンイベントなどで、条件を長期インターンに絞って探してみましょう。
先輩や卒業生に相談して紹介を受けるのも探し方のひとつです。実際に長期インターンに参加した方や、現在働いている方の声も一緒に聞けるので、イメージしやすくなります。
長期インターン探しに特化したおすすめサイト
インターンサイトのなかでも、特に長期インターンに特化したおすすめサイトをご紹介します。
JEEK(ジーク)
サイト名 | JEEK(ジーク) |
メリット | ・勉強支援金がもらえる ・無料相談ができる |
デメリット | ・都市特化型で地方案件数が少ない |
スカウトサービス | なし |
採用祝い金 | あり |
運営会社 | Techouse |
JEEK(ジーク)は長期や有給に特化したインターンサイトです。インターンに合格すると勉強支援金をもらえます。キャリアコンサルタントに無料で相談できるサービスもあるため、就活の進め方に迷ったときやスキルに自信がない職種のインターンに挑戦したいときなどにも安心です。
インターンシップガイド
サイト名 | インターンシップガイド |
メリット | ・案件数、利用者ともに業界最多レベル ・全学年が募集対象のインターン多数 |
デメリット | ・地方の案件数が比較的少ない ・本選考へのエントリーができない |
スカウトサービス | あり |
採用祝い金 | なし |
運営会社 | futurelabo |
「インターンシップガイド」は国内大手のインターンサイトです。長期インターンの募集も多く、幅広い業界のなかから自分の希望にあったインターンを探せます。ただし、インターンに特化したサイトで、本選考にエントリーするサービスはないため、本選考に応募する場合はほかの求人サイトから行いましょう。(2022年1月現在)
ユアターン
サイト名 | ユアターン |
メリット | ・勤務日数やこだわり条件を細かく指定できる ・適性診断などサポートが手厚い |
デメリット | ・案件数が比較的少ない |
スカウトサービス | あり |
採用祝い金 | なし |
運営会社 | 東晶貿易 |
「ユアターン」は適職診断や個別面談など手厚いサポートが特徴のインターンサイトです。どんな業界や企業で働きたいかお悩みの方に向いています。
WANTEDLY(ウォンテッドリー)
サイト名 | WANTEDLY(ウォンテッドリー) |
メリット | ・地方も含め案件数が多い ・新卒採用情報も掲載されている |
デメリット | ・サポートがない |
スカウトサービス | あり |
採用祝い金 | なし |
運営会社 | ウォンテッドリー |
「WANTEDLY(ウォンテッドリー)」は新卒採用情報も掲載されているので、就職活動への連携も取りやすい点が特徴です。地方の案件数も比較的多いので、東京や大阪といった都市エリア以外で長期インターンを探している方にも向いています。
Infra(インフラ)インターン
サイト名 | Infra(インフラ)インターン |
メリット | ・検索条件が細かく指定できる ・スキルアップ講座など支援制度が充実 |
デメリット | ・案件数が比較的少ない |
スカウトサービス | あり |
採用祝い金 | あり |
運営会社 | Legaseed |
「Infra(インフラ)インターン」は学生をサポートするサービスが充実したインターンサイトです。長期インターンを経験した学生だけが登録できる「Infra Pro」や独自メディアの運営、スキルアップ講座の実施など、長期インターンを探している学生を支援するためのサービスに注力しています。
長期インターンの参加までの流れ
長期インターンに参加するまでの基本的な流れは以下のとおりです。
参加までの流れ
- インターンへの目的を明確にする
- 興味のある業種や企業を考える
- 長期インターンを探して応募する
- インターンの選考を受ける
- インターンに参加する
1. インターンへの目的を明確にする
長期インターンを探す前に、「なぜ長期インターンに参加したいのか」を明確にしましょう。長期インターンに参加すること自体が目的になってしまうと、時間を無駄にするかもしれません。目的を定めるためには「長期インターンに参加するメリット」の項目も参考にしてみてください。
2. 興味のある業種や企業を考える
どの業種や企業で長期インターンをするかを決めましょう。自分にどういった企業が向いているのか迷っている場合は、無料相談を行っているインターンサイトのサービスを利用したり、業界研究や企業研究をしたりしてみると、興味のある企業を絞り込むことができるのでおすすめです。
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3. 長期インターンを探して応募する
興味がある業界や企業が決まったら、インターンサイトや公式のリクルートページなどで長期インターンを探してみましょう。希望にあった長期インターンがあれば必要事項を登録して応募します。
インターンサイトによっては、自分の情報を詳しく登録しておくことでスカウトのオファーが届くサービスもあるので、企業選びに悩んでいる方は活用してみるのもいいかもしれません。
Q:興味がある業界や企業以外のインターンに応募してもいい?
A:1日〜2週間程度の短期インターンであれば、知見や興味の幅を広げるのに役立ちますが、数カ月におよぶ長期インターンは興味がないと意欲が続かず、多くの時間を無駄にしてしまう可能性もあるので避けたほうがいいでしょう。
4. インターンの選考を受ける
長期インターンに応募するとインターンサイトや企業から、インターンの選考方法について案内があります。選考方法は書類選考や適性検査・筆記試験、面接などが一般的です。選考のために提出する書類の種類や、面接回数などは企業によって異なるので募集要項や選考案内メールを確認しましょう。
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5. インターンに参加する
インターンの参加が決まったら企業と話し合って初出勤日を調整します。当日までに服装や持ち物を確認して準備し、ひとつめのステップでまとめた「インターンに参加する目的」を振り返りながら、インターン初日に備えましょう。
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長期インターンで気をつけるべき服装
インターンに参加するときの服装は、インターン先の企業からの指示に従いましょう。指定される服装はスーツが多いですが、なかにはオフィスカジュアルや私服のこともあります。いずれの服装であっても、ベーシックなカラーや柄で清潔感のある装いが基本です。
長期インターンの場合、週の勤務日数や勤務時間にもよりますが、洗濯を考慮して複数のパターンを用意しておいたほうがいいでしょう。スーツであれば、自宅で洗濯できるものがクリーニングに出す手間が省けておすすめです。
就活のマナーにあったスーツ選びに迷っている方は、洋服の青山がおすすめする「安心おまとめセット」をチェックしてみましょう。スーツだけでなく、シャツやネクタイ、ベルトなど、就活をはじめるにあたって最初に揃えておきたい基本的なアイテムをリーズナブルに揃えられます。
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インターンに参加する服装は、企業の案内に従いましょう。指定がなければスーツを、服装自由であればスーツと私服どちらでも問題はありません。自分に合う服を着用して、自信を持ってインターンに参加しましょう。
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まとめ
長期インターンは1カ月以上のインターンを指すことが多いです。インターンの期間は企業と相談しながらプロジェクトの進行具合や、学生の希望にそって柔軟に決められるケースも少なくありません。
長期インターンは、実務経験と同様のスキルを身につけられたり、社会人と交流する機会を増やしたりすることができる点などがメリットです。
長期インターンに参加する際はどういったことを学んだり、達成したりしたいのかを明確にして有意義な時間を送りましょう。