面接の冒頭で行われることが多い自己紹介は、採用担当者との挨拶のようなものです。このとき、アピールをしたい気持ちが先走って、自己PRのように伝えたい内容を詰め込みたくなるかもしれませんが、面接の自己紹介では「自分がどんな人物であるか」を簡潔に伝えることを優先してみましょう。
何をどのように伝えればよいのかを把握して、わかりやすくまとまった自己紹介ができるポイントを解説します。
この記事でわかること
- 面接の自己紹介には、人柄を知るだけではなくアイスブレイクや雰囲気づくりの目的もある
- 自己紹介は、30秒・1分・2分など面接により時間が指定されるケースもある
- 1分間の自己紹介を想定して、指定された時間をもとに内容を調整するのがおすすめ
面接で行う自己紹介の目的
面接における自己紹介の目的は、企業や採用担当者によってさまざまです。目的として挙げられる一例をご紹介します。
- 学生の人柄を知るため
- 学生の緊張をほぐすため
- コミュニケーションがとりやすい雰囲気をつくるため
- 書類と面接をする人物に相違がないか確認をするため
- 話を簡潔に伝えられるか知るため
個人、集団を問わず、多くの面接では、「まずは自己紹介をお願いします」と面接官から促されることは多いでしょう。面接の冒頭に行われるため、声のトーンや表情、話し方などで、第一印象を左右する可能性があります。
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面接の自己紹介で話す内容
面接の自己紹介では、おもに以下の内容を話します。
自分がどんな人物であるかを、簡潔に伝えましょう。
はじめの挨拶
自分の情報を伝える前に挨拶をすると採用担当者の注意を引くことができ、挨拶のあとに述べる氏名や学校名が伝わりやすいでしょう。
はじめの挨拶の例
- 本日はお時間をいただきありがとうございます
- 本日はよろしくお願いします
- はじめまして(面接の前段階でやりとりをしていない場合)
氏名・学校名などのプロフィール
挨拶のあとは「◯◯大学△△学部4年、◯◯(氏名)と申します」というように、学校名と学部名、氏名を伝えます。
これらの情報は、提出された履歴書やエントリーシートと本人に相違がないか確認する目的で行われることもあるため、早口にならないよう一度で聞き取ってもらえるように伝えましょう。
ガクチカや趣味
採用担当者にどんな人物かを知ってもらうために、ガクチカや趣味を取り入れてみましょう。
ガクチカとは
採用担当者に感じてもらいたい自分のイメージを厳選して、簡潔に伝えてみてください。
ただし、ここで話すガクチカや趣味はあくまでも自己紹介の一部です。自己PRのように詳細を話しすぎて、長くならないよう注意するとよいでしょう。自己紹介の時間が「30秒程度」などと指定されている場合は、省いても問題ありません。
締めの言葉
最後は、面接の意気込みや感謝の言葉などで自己紹介を終了します。
締めの言葉の例
- 本日はどうぞよろしくお願いいたします
- 貴重な時間をいただきありがとうございます
締めの挨拶をするとともに、30度くらいの角度で礼をするとよいでしょう。緊張することもありますが、笑顔を見せられるとさわやかな印象になります。
自己紹介の一連をまとめた例が知りたい方は、「自己紹介の例文」の項目を確認してみてくださいね!
面接で自己紹介をするときの5つのポイント
面接で自己紹介をするときは、以下のポイントを押さえてみてください。
5つのポイントを守ることで、よりわかりやすく伝わる自己紹介になるでしょう。
時間は1分程度が基本
自己紹介は、面接の冒頭に行われるもので導入部分です。自分自身に関する詳細は、面接のなかで聞かれるため、詳しく伝えるよりも1分程度で簡潔に話せるとよいでしょう。
面接の自己紹介は、採用担当者から「30秒程度で自己紹介をお願いします」「名前と学校名を教えてください」と指定されることも考えられます。指定されたことに対して、臨機応変に対応できるように備えておきましょう。
時間を指定された自己紹介のポイント
- 30秒:ガクチカや趣味に関する内容は短めにする。もしくは省く
- 2分:ガクチカや趣味の話をより具体的にする。企業や業務内容に関心をもった理由を追加する
1分間の自己紹介をベースに、話の内容を削ったり追加したりすると話す時間を調節しやすくなります。
「◯秒くらい」と指示があっても、細かく時間を計測されるわけではありません。あくまでも目安として考えてみてくださいね!
自己PRと混同しない
自己紹介は、挨拶とプロフィールを簡潔に伝える目的があります。一方自己PRは、自分にはどんな能力があるのか、入社後にはどんな活躍をしたいかなどアピールをすることが目的であり、自己紹介とは異なるものです。
そのため、自己紹介の時点では「強みをアピールしなくてはならない」と焦る必要はありません。面接では、自己紹介と別に自己PRの時間が用意されている可能性が高いので、混同しないようにしましょう。
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明るい話し方・いい姿勢を意識する
自己紹介は「何を話すか」も大切ですが、表情や姿勢も重視したいポイントです。
自然な笑顔とよい姿勢を心がけながら、明るさを感じられるような声のトーンで話せるとよいでしょう。視線は話している相手に向けます。自己紹介の時点で声が小さかったり、猫背になっていたりすると、採用担当者は心配してしまうかもしれません。
緊張していることで、意図せず目線がさだまらなかったり、そわそわして手足を必要以上に動かしたりしてしまうケースもあります。
面接の練習風景をスマートフォンなどで撮影して確認してみると、相手からどのように見えているかを客観的に把握できるでしょう。
採用担当者が複数人いる際は、ひとりだけではなくできるだけ全員の顔を見ながら自己紹介できるといいですね!
「えー」などのつなぎ言葉の使いすぎに注意する
緊張をしたときや、言葉が思い浮かばないときは、「えっと」「あの」といったつなぎ言葉が無意識に出てしまうかもしれません。これらは些細な言葉ではありますが、話の内容が途切れて伝わりにくくなる可能性があります。
特に、面接が始まったばかりの自己紹介のタイミングでは緊張してつなぎ言葉を多用してしまうこともあるでしょう。
つなぎ言葉を減らすためには、面接の練習を重ねる必要があります。面接の風景を撮影したり録音したりして、話し方の癖を客観視して改善していくとよいでしょう。
つなぎ言葉をゼロにすることは難しいものです。「多用しすぎないようにしよう」という程度で意識してみてくださいね。
身だしなみに気を配る
身だしなみは、第一印象を左右する要素のひとつです。挨拶など話す内容よりも先に、服の着こなしやヘアスタイルなどの外見からどんな学生であるかをイメージする採用担当者もいるでしょう。
以下のポイントは、自分では気づきにくい身だしなみのポイントです。
身だしなみで気をつけたいポイント
- 表情が見えづらいヘアスタイル
- 衣服についたホコリやシワ
- 香水や整髪料などによる強い香り
全身鏡を利用して後ろ姿を確認する、面接に行く前のタイミングで家族や友人に確認をしてもらうなどして、自分では見えづらい部分にも配慮できると安心です。
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これは避けたい!面接での自己紹介の注意点
以下は、自己紹介で避けたほうがよいポイントです。
- アピール内容が多過ぎてまとまりがない
- 応募先企業に関係のない内容を話す
練習を重ねれば、これらを避けられる可能性は充分にあります。第三者と面接の練習をして、まとまりのある内容であるか、話が軸からそれていないかをチェックしてもらうと安心です。
アピール内容が多過ぎてまとまりがない
「面接で自己紹介をするときの5つのポイント」でお伝えしたように、自己紹介と自己PRは目的が異なります。自己紹介でアピールをしすぎると、時間を大幅に割いてしまう可能性があり、話のまとまりがなくなることも考えられます。
面接では、自己紹介のあとに長所や短所、志望動機、自己PRなどを質問されるケースがほとんどです。各質問に沿った回答をするほうが、内容がまとまりやすいでしょう。
応募先企業に関係のない内容を話す
面接をしている企業と無関係の話や、自己紹介の目的から大きくそれる話は避けたほうがよいでしょう。
自己紹介で趣味の話をする場合は、自分自身のプライベートなどの前提情報をまず共有しないとわからない話になることもあります。情報を詳しく伝えたい思いから、第三者にわかりやすいようにかみ砕いて話していると、本題からずれて「何が伝えたいのかわからなかった」ということになりかねません。
補足が多く必要になる話は極力避け、企業に関連性のある話題を優先して自己紹介を考えてみましょう。
自己紹介の例文
ここでは、1分間で自己紹介をする例文を紹介します。ガクチカや趣味の部分は、自分のケースに置き換えて文章を作成、調整してみましょう。
学業
学業の場合、講義や資格の取得、実習、卒業論文といった内容を自己紹介のなかで話せるでしょう。
学業を入れた自己紹介
本日はお時間をいただきありがとうございます。私は◯◯大学、△△学部4年の◯◯(氏名)と申します。私は大学で英語を専攻しており、1年生の頃からTOEICのスコアアップに尽力しております。約3年間勉強を継続して、スコアを550点から720点まで伸ばすことができました。大学2年生のときは、夏休み期間を利用してオーストラリアでホームステイをした経験があります。このような経験が御社でも活かせると考え、応募いたしました。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
ゼミ
ゼミで研究した内容をガクチカにするケースは多いでしょう。研究から得たことや研究に至った経緯を伝えるときは、自己PRにならないよう簡潔にまとめることが重要です。
ゼミの内容をガクチカとして話すのであれば、面接を受けている企業と関連性のある内容が望ましいでしょう。
ゼミでの研究を入れた自己紹介
お時間をいただきありがとうございます。◯◯大学、△△学部4年の◯◯(氏名)と申します。所属しているゼミでは「食育」をテーマに研究を進めてきました。子どもたちの心身が成長のために、どんな食事が必要であるかを研究したり、実際に小学校へ足を運び出張授業をしたりした経験は、御社でも活かせると感じております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
サークル・部活
学内外でのサークルや部活動の経験は、自己紹介として伝えやすい内容のひとつです。
内容によっては、ほかの学生と重複してしまうことも考えられるため、時間の範囲内で簡潔に一歩踏み込んだエピソードや、自分だけが経験したことを伝えられるとよいでしょう。
サークルや部活を入れた自己紹介
貴重なお時間をいただきありがとうございます。◯◯大学、△△学部4年の◯◯(氏名)と申します。私は、大学のバドミントン部に約3年間所属をしており、3年生からは部長を務めておりました。学生の公式大会に出場をして、後輩とのダブルスにて県大会で優勝をした経験があります。チームメンバーの状況や心境に配慮する力や、チームで目標を達成した経験は御社でも活かせると考えております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
アルバイト
学校内での生活と関連性のないアルバイトですが、社会で働く姿勢や経験を伝えられる貴重なアピールポイントになります。
面接を受ける企業と関連している業種や職種である場合、自己紹介にアルバイト経験を交えるとよいでしょう。
アルバイト経験を入れた自己紹介
本日は貴重なお時間をいただきありがとうございます。◯◯大学、△△学部4年の◯◯(氏名)と申します。私は、大学1年生の頃から、御社とグループ会社である「◯◯(店名)の△△店」でアルバイトをしております。キッチンとホールのふたつの業務をこなしており、新しいアルバイトの教育係を任されるようになりました。後輩の指導やコミュニケーションのなかで身につけることができた責任感や気配りする力は、社会人になっても役立つと考えております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
学校外での活動
学校外での活動とは、地域で行うボランティア活動や海外留学などの内容です。
面接のなかでガクチカを深掘りされたり、学業以外で打ち込んだことを質問されたりする可能性があります。自己紹介では、詳細なアピールになりすぎないようにしてみてください。
学校外での活動を入れた自己紹介
お時間をいただきありがとうございます。◯◯大学、△△学部4年の◯◯(氏名)と申します。私は、学校周辺の地域に詳しくなりたいことや、多くの人と関わりをもちコミュニケーションをとることを目的に、入学した当初からボランティア活動をしています。学校の近くにある企業の方や地域住民の方と協力をして、町の清掃やイベント設営に携わってきました。ボランティアで得た経験は、社会人になっても役立てることが多いと思います。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
趣味・プライベート
趣味などのプライベートに関する内容は、学生側としては話しやすいことも多いでしょう。
自分が好きなことをありのまま話すことも大切ですが、広く知られていない物事について話すと、採用担当者にうまく内容が伝えきれないかもしれません。プライベートについて話すのであれば、1分程度で充分にまとめきれる内容がおすすめです。
また、あくまでも面接であるため、企業の事業に関連する趣味や、長所、自己PRにつながる内容が望ましいでしょう。
趣味を入れた自己紹介
本日はお時間をいただきありがとうございます。私は◯◯大学、△△学部4年の◯◯(氏名)と申します。趣味は、父からもらった一眼レフカメラで写真を撮影することです。観光地や風景の写真だけではなく、家族や友人のポートレートの撮影も楽しんでいます。まったく知識がないところから本やインターネットで技術を学び、撮影を始めました。休日のたびに撮影へ出かけスキルアップをして、去年のコンテストでは入選した経験があります。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
まとめ
自己紹介は、面接の冒頭で行う挨拶であるため、特に緊張しやすい場面です。緊張や不安により、自己紹介をするつもりが、つい自己PRをしてしまったり想定より短くなったりするケースもあるかもしれません。
もし自己紹介で「失敗してしまったかも」と思っても、ほかの質問で挽回することは充分に可能です。よい姿勢、明るい表情と声のトーンを意識して、自信をもって自己紹介ができるように準備しましょう!