面接で頻出することが多い「志望動機」ですが、企業に興味があっても、なぜ働きたいかを言語化するのは簡単ではありません。
志望動機が思い浮かばないときは、過去に行った自己分析と企業研究を再度行ってみるのがおすすめです。そうすることで、潜在的に思っている「やってみたいこと」「なりたい姿」が具体的に見えてくるでしょう。
この記事でわかること
- 志望動機が思い浮かばないときは、自己分析と企業研究を振り返るとよい
- 志望動機では伝える内容のほか、表情や話し方も意識する
- 「入社後、どんな活躍をしたいか」を伝えることで、魅力をアピールしやすくなる
監修者からのコメント

ガクチカや自己PRなど、自己分析を行えば自分のことを書いたり話したりするのはできるものの、「志望動機が思うように伝えられない……」と悩んでいる人はいませんか?企業研究や職種研究もふまえて、志望動機を上手に伝えられるように準備していきましょう。
目次[表示]
面接官が志望動機を聞く理由
面接官が志望動機を聞く理由には、次のようなことが考えられます。

面接では、ES(エントリーシート)などの志望動機をより深掘りして、踏み込んだ内容を知ろうとしている面接官が多いはずです。
自社を選んだ具体的な理由を知るため
志望動機は、面接官が「同業他社が多数あるなかで、なぜ自社を選んだのか」を知るために質問します。
志望した明確な理由がなければ、面接官は「他社でもよいのではないか」「とりあえず自社に応募したのではないか」と捉えてしまう可能性があります。
明確な理由をもって応募したことを伝えるためにも、その企業の面接ならではの具体的な志望動機を伝えましょう。
志望度の高さを知るため
「自社に入社する熱意はどれくらいあるのか」を知るために質問することも考えられます。
志望動機から、企業の情報を十分に収集できていることや、入社後の具体的なビジョンを描けていることが伝われば、志望度の高さをアピールできます。
自社の文化やビジョンに合致しているかを確認するため
志望動機と企業文化、企業方針が合致しているかを確認するためにも、志望動機を聞くことが考えられます。
学生のやりたいことと、企業の方針や実際にできることにギャップがあると、早期退職につながる可能性があります。
企業にとって早期退職を防ぐことは重要ですが、学生にとっても将来のキャリアを考えるうえで、ミスマッチによる早期退職は避けたいと考えているはずです。
そのため、選考過程では、学生の人柄や将来のビジョンが企業とマッチしているかどうかを丁寧に確認しています。

監修者吹き出し:志望動機は「御社のここに魅力を感じています」「こういう仕事で貢献したい」ということを伝えるものです。相手、つまり志望する企業をよく調べて企業に対する思いを言語化することで、自分の熱意やフィット感を伝えることができます。
0からできる!面接で伝える志望動機の考え方
「この企業で働いてみたい!」っていう気持ちはあるけど、志望動機として言語化するのは意外と難しいですね……。


何もないところから志望動機を考えるのは難しいですよね。まずは、このような順番で志望動機を考えてみましょう!

1.自分の価値観や企業選びの軸を明確にする
志望動機を考えるときに必要なのは「就活の軸」です。就活の軸とは、企業選びや業界選びで重視する、自分なりの価値観や譲れない条件を指します。
自分を軸に考えた「自分は何をしたいか、将来どうなりたいか」と、社会を軸に考えた「社会にどう貢献したいか」の2つの観点から考えてみましょう。
就活の軸を考えるとき、次のポイントを参考に考えてみてください。
就活の軸を考えるときのポイント
- 仕事をするうえで大切なことは何か
- 仕事を通じて実現したいことは何か
- 何にやりがい、生きがいを感じるのか
- どんなキャリアを描いているのか
- どんな社風、職場環境で働きたいのか
志望動機や就活の軸が明確になっていないのであれば、今一度自己分析をして自分を振り返ってみるのもおすすめです。

就活の序盤に行う自己分析も大切ですが、実際に選考を受けたり企業と接したりする中で、自分自身への理解がさらに深まることがあります。
-
-
自己分析のやり方7選|簡単にできる診断ツールや注意点を解説【就活】
自己分析とは、過去を振り返って自分を理解し言語化することです。この記事では、自己分析の方法7選や注意点、行き詰まったときの対処法などを解説します。無料で利用できる自己分析ツール5選も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
続きを見る
-
-
就活の軸の決め方|見つからないときの考え方や業界別・職種別の例を紹介
就活の軸とは、企業や業界を選ぶうえで譲れない条件を指します。就活の軸を決めることで、自分なりの思いを中心に企業を選び、選考に臨むことができます。今はまだ決められていない方も、自己分析や他己分析などをすることで見つけられるでしょう。
続きを見る
2.志望企業ならではの強み・魅力を洗い出す
志望する企業が同業他社と比較して、どんな強みや魅力があるのかを整理してみましょう。企業の強みや魅力を洗い出すときは、次のポイントを参考に考えてみてください。
企業の強みなどを洗い出すポイント
- 働く人の魅力:経営者、社員
- 業務内容の魅力:事業・商品の特徴、サービスの品質、話題性
- 価値観への共感:企業理念、経営方針、経営理念、事業戦略、社員のビジョン
- 働き方の魅力:就業環境、勤務場所、福利厚生、評価・教育制度
多くの企業では同業他社が多数存在するため「なぜこの企業に入社したいのか」を明確に伝える必要があります。ありきたりで抽象的な志望動機では、企業研究が浅いという印象を与えてしまう可能性があります。
その企業ならではの魅力や、自分との接点を具体的に示すことで、志望度の高さが伝わりやすくなります。
入社後はどんな部署で何をしているか、入社から数年後にはどうなっていたいかを想像したときの内容を、企業の強みや魅力に当てはめていくことで、志望動機が見えてくるはずです。
-
-
業界研究のやり方|今すぐ始められるポイントや効率的な情報収集方法を紹介
業界研究とは、業界の種類や特徴を調べて理解することです。この記事では、業界研究のやり方や調べる内容、情報を得る方法などを詳しく解説しています。志望業界が決まっていない学生向けのポイントも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
続きを見る
-
-
企業研究のやり方5ステップ!ノート・シートの作成方法や就活への活かし方を解説
就活における企業研究は、企業の詳細な情報を収集し分析するプロセスです。この記事では、企業研究のやり方を5ステップで解説します。情報収集の方法や企業研究で得た情報を就活で活かすポイントなども紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
続きを見る
3.自分が志望企業で働くべき理由を考える
就活の軸と志望企業の強み・魅力を整理できたら、「自分はなぜその企業でなければならないのか」を考えましょう。
「将来◯◯になりたい。その目標を叶えるためには△△の特徴がある企業で働く必要がある」「自分の強みである◯◯を活かせるのは、△△な特徴を持つ企業だから」といったイメージで、自分の目標や強みと企業を結びつけてみてください。
志望動機で企業の強みや魅力を伝えるだけでは、不十分な可能性があります。企業の強みに自分を関連づけることで、深みのあるエピソードも思い浮かぶでしょう。
4.入社後の活躍を考える
最後に、入社後の業務内容や、組織での立ち位置などにおける自分の活躍を具体的に考えてみましょう。
面接官が志望動機から知りたいのは、入社後にどう成長するか、高いパフォーマンスを発揮する素質があるかといったポイントです。
「将来は◯◯をしたい」といったざっくりとした回答だけでなく、3年後や5年後、10年後のビジョンを伝えるほうが、伸び代があり長く活躍してくれると期待されやすいでしょう。
将来のことを伝えるのは少し恥ずかしいけど……。自分をアピールするためには、活躍するイメージを具体的に伝える必要があるんですね。

面接で伝わりやすくなる志望動機の構成

志望動機を文章で作るとき、構成をどう組み立てればよいのか悩むかもしれません。ここで紹介する流れに沿って志望動機を作成すれば、面接官に自分が働きたい理由が伝わりやすくなります。

このステップは志望動機だけではなく、自己PRやガクチカ、長所・短所などさまざまな質問に対する回答でも使えます。
STEP1.最初に志望動機を一言で伝える
最初に、志望動機の結論を一言で伝えましょう。企業のどんなところに魅力を感じたのか、その理由を簡潔に伝えることが大切です。
結論から伝える例
- 「私は御社の◯◯に魅力を感じ、入社したいと考えました」
- 「御社で△△に挑戦したいと思い、入社したいと考えました」
STEP2.志望する理由を具体的に伝える
次に、結論で伝えた強みや魅力に対して「どんな場面でそう感じたのか」「なぜ興味を抱いたのか」といった、きっかけに関するエピソードを伝えます。感じたこと、調べてわかったことを伝え、その内容が自分の価値観や目標にマッチしているとアピールしてみてください。
ESで書き切れなかった詳細なことがあれば、このタイミングで補足しましょう。
STEP3.入社後に活躍する自分のイメージを伝える
最後に、「入社したらどんなことに挑戦したいのか」「自分は企業でどう活躍できるか・したいか」を伝えます。
ESに志望動機を書いていても、面接官はあらためて志望動機を聞くこともあるでしょう。質問する理由には、志望動機を直接聞くことで、学生の性格やビジョンをより詳しく知る目的が考えられます。
伝えた志望動機からさらに深掘りされる可能性もあるため、どんな質問をされるか想定して答えられるようにしておくと安心です。
面接で伝える志望動機の例文
ここでは、さまざまな種類の志望動機の例文を紹介します。
仕事内容を志望動機にした例
具体例
私は御社の自動車の開発・製造業務に興味を抱き、入社したいと考えました。
御社が開発する「◯◯エンジン」は、日本だけではなく欧州や北米といった、グローバルな展開をしており、世界中の人に愛されています。私自身、御社の「△△」に乗っており、実際に乗ることで知識が増え、愛着も湧いてきました。「△△」が人生で初めて買った車になり、本当に満足しています。
昨今は、環境や騒音、安全性といった厳しい規制があるなかで素晴らしいエンジンを製造、開発する社員になり、第一線で活躍するエンジニアの方たちとともに働ける環境を夢見ています。
入社後は、大学で学んだ機械工学の知識を活かし、世界一愛される車のエンジンの開発をするために御社を志望しました。
ポイント
- 自分自身が志望企業の商品を利用しており、志望動機のオリジナリティが高い文章となっている
- 志望企業が現在どんな状況に置かれているかを把握し、そのなかで自分がどう活躍したいかを明らかにしている
事業の内容を志望動機にした例
具体例
私は、御社の事業内容である「健康管理に関するスマートフォンアプリ、ウェアラブル端末の開発」に興味を抱き入社したいと考えました。
アプリや端末を開発するメーカーは世界中に存在しますが、御社はユーザーの活動状況から幸福度も数値化する機能を業界で初めて搭載したと知り、御社が将来どのような開発をしていくのか興味が湧きました。健康を通じて結果的に幸福へつなげることは、どのような企業でも想定していたことかと思いますが、可視化したのは御社ならではのアイデアだと思います。特に日本では年代を問わずストレスを感じやすい環境であり、そのなかで少しでも幸せを感じてほしいという、開発者の熱い思いを感じました。
御社の企画・開発に携わりながら、新しい時代に求められている機能を見つけ、実現するために御社を志望しました。
ポイント
- 「御社ならではのアイデア」を志望動機に入れることで、同業他社ではなくこの企業で働きたいという熱意を伝えられる
- 事業内容を将来の自分を組み合わせ、どんな活躍をしたいかを交えアピールできている
商品・サービスを志望動機にした例
具体例
私は御社のシャープペンシルである「◯◯」を愛用しており、画期的な製品の開発に携わりたいことから入社したいと考えました。
子どもの頃から慣れ親しんだ御社の名前と製品ですが、特に高校受験、大学受験のシーズン中は家族や友人よりも長い時間を共に過ごしました。
私は筆圧が強くシャーペンの芯を折ることがかなり多くストレスを抱えていたのですが、5年前に発売された、御社の「◯◯」は折れないことが売りの商品で、私の悩みを一気に解決しました。
そういった経験があり、学生、受験生、社会人誰が利用しても「もうこのシャーペンしか使いたくない」という製品を開発したいです。5年後には「商品開発部」で◯◯の企画に携わり、10年以内にはさらに進化した◯◯の企画主任になることを目標にしています。
文字を書く疲労を軽減でき、集中力を欠かすことのない理想のペンを作ることを夢に御社を志望しました。
ポイント
- 志望企業の商品・サービスを利用したことを志望動機にすることはあるが、独自のエピソードを交え深みのあるストーリーにしている
- 部署名・役職名を交えて5年後、10年後のキャリアを伝えていることで、熱意の高さを感じられる内容となっている
企業の方針を志望動機にした例
具体例
私は、御社の「自分らしさを大切に生きる」という方針に共感し、入社したいと考えました。
私は高校時代、母とともに祖母を介護した経験があります。祖母は手指の力が衰えておりうまく食事できず、食事そのものを嫌がっていましたが、私が偶然インターネットで見つけた御社の介護用スプーンが救世主となりました。
祖母が少しずつ食事に前向きになってきた頃から、私は介護用品に興味をもち、なかでも御社が開発する介護用品ならではの工夫や気遣いの技術、安全性に対するこだわりを知ることができました。
道具をひとつ変えるだけで、介護する側・される側のストレスが減り、笑顔になるきっかけができます。笑顔こそがその人の「自分らしさ」だと思います。
入社後は、介護士の方だけではなく自宅介護する個人の方にも、御社の介護用品をより多くの人に知ってもらうための提案力を磨きます。
介護に対するイメージを変えるきっかけとして、営業という形で御社の製品を広めることを目標に志望しました。
ポイント
- 志望企業の商品を知ったエピソードは、「祖母の介護」という実際の経験によるもので、ほかの学生の志望動機と差を付けやすい
- 商品のメリット以外にも、介護をしないとわからなかった家族との関係性もエピソードに交えており、「御社の製品を広める目標」にリアリティ、深みが出ている
就業環境を志望動機にした例
就業環境の志望動機例
私は、デザイナーとしてのスキルも活かせるSNS運用ができる環境で働きたいと思い、御社に入社したいと考えました。
私は大学1年生のころからブログを運営し、わずかではありますが収入を得ていました。ここ数年はSNSに力を入れ、自作したオリジナルの画像で情報発信をして、約1万人のフォロワーがいるアカウントを2つ運用しています。
現在のSNSのアルゴリズムをすでに把握していることと、実際に運用してフォロワーを獲得していることが私の大きな強みであり、実務でも活かせると思います。
御社は、創業3年目のベンチャー企業で、社長、社員の全員が20代で、私自身が働きやすい環境であると考えました。若い人たちが集まり、風通しのよい環境で柔軟な発想力を発揮したいことから、御社を志望しました。
ポイント
- SNSを運用しどんな成果を得たか、具体的な数字(フォロワー約1万人)を用いて説明していることで、志望企業に努力の内容が伝わりやすい
- 志望企業にはどんな社員がいて、なぜ自分にとって働きやすいかを理解しており、企業としては「自社への志望度が高い」と感じられる
教育制度に関連付けた志望動機の例
教育制度の志望動機例
私は御社で経理のプロフェッショナルとなることを目標に、御社に入社したいと考えました。
経理やパソコンに関するスキルは高校・専門学校で取得しました。将来経理に関する仕事に携わることを目標にしていたため、スピーディーな仕事をするために、ミスを少なくする工夫なども楽しみながら見つけています。
入社後は、御社が実施している社員のスキルアップ制度を利用しながら、経理以外にも会計や財務といった、より専門的で企業の経営をサポートする業務にも挑戦したいです。経理はバックオフィス業務で目立つことはありません。しかし、経理は企業の経営に必要な存在であり、企業を支える重要な役割としてプライドをもって業務に臨みたく、御社を志望しました。
ポイント
- 「社員のスキルアップ制度」だけを志望動機にせず、会計や財務にも挑戦したいという意欲をアピールしている
- 面接では、高校、専門学校でスキルを身につけるために努力したことを深掘りされる可能性があるので、「どんなスキル・どうやって」身につけたかを答えられるようにしておくと、なおよい
志望動機に入れないほうがいい内容

志望動機を作成する際、素直な思いを込めたい方もいるでしょう。しかし、ネガティブな印象になるような内容は避けたほうが、自分をポジティブにアピールできるはずです。
次のような内容は、志望動機に入れるのは避けるようにしてみてください。
どの企業にでも当てはまる
抽象的な志望動機は、ほかの学生と差がつきにくくなります。
例えば「御社は社会貢献に力を入れている」「◯◯を製造していることが魅力」などは、ほかの企業、業界でもいえるため、ほかの理由とあわせるなどしてその企業ならではの志望動機を見つけることが大切です。
他社を貶めるような表現がある
他社を否定することで、志望している企業を持ち上げるような表現は控えましょう。
「志望している企業が好き、素晴らしい」と伝えるニュアンスであっても、他社に対してネガティブな表現をするのは業界全体に対する敬意や、自社への熱意が感じられにくい可能性があります。例えば、「A社(他社)は、◯◯で問題を起こしていた」「A社の商品は自分にはあわなかった」といった内容です。
他社名は出さず、志望している企業だけにフォーカスした内容を考えてみましょう。
給与・福利厚生のみに興味を抱いている
給料が高い、ボーナスが多い、休みが多いといった、給与や福利厚生を志望動機の中心にすると、条件面を重視している印象になります。理由としては、企業や業務には興味を抱いていないという印象になる可能性があるためです。
給与や福利厚生といった企業の制度を「就活の軸」にすることは問題ありません。志望動機では、仕事内容や事業内容、商品・サービスについて触れながら仕事で活躍する姿を伝えるほうが、自分をアピールしやすくなります。
-
-
福利厚生にはどんな種類がある?内容例や企業選びのポイントを解説
福利厚生とは、企業が従業員に提供する給与以外の支援やサービスを指します。企業によって導入する福利厚生の内容はさまざまです。この記事では、「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の内容例、就活の企業選びで確認したいポイントなどを解説します。
続きを見る
志望企業への憧れだけで完結している
志望動機として、「昔から憧れていた」「御社の製品が好き」などの理由だけでは、不十分かもしれません。憧れや好きといった理由は具体性がなくなるため、さらに深い理由、エピソードを付け加えましょう。
「憧れ・好き」を志望動機のきっかけにし、企業で何を学び、将来は企業でどんな活躍するか、までを伝えられると、自分の魅力をしっかりと伝えられます。
「学びたい」という気持ちだけが強い
「成長したい」「学ばせてほしい」といった理由は、面接官からは受け身に感じられるかもしれません。成長や学びは働くにあたり重要ですが、成長した先のことを伝えるようにしてみてください。
将来どんな活躍をしたいかは、「◯年後の自分」「理想のキャリア」などと絡ませながら伝えましょう。
他人を中心とした理由になっている
就活の進め方によっては、「先輩からおすすめされた」「キャリア支援センターから推薦された」「就活エージェントから紹介されて選考を受けに来た」といった方もいるでしょう。選考を受ける理由としては事実ですが、あくまできっかけにすぎません。そこから興味を持って自分で調べて選考を受けるに至った理由が志望動機になります。
おすすめされた、紹介されたことを踏まえ、「企業にどんな魅力を感じたのか」などを考え面接で伝えてみましょう。
志望動機は面接とES・履歴書と同じでも問題ない
面接ではESに記載した志望動機より、さらに具体的に伝えることを意識してみてください。面接官が学生の志望動機を聞くなかで気になることがあれば、理由や具体的な内容を聞かれる可能性もあるのでESに書いた内容を一言一句暗記するのは避けましょう。
ESの場合、記載できるスペースや文字数に制限があり、エピソードを簡潔にまとめている方もいるでしょう。その企業ならではの志望動機にするためにも、面接官が具体的にイメージできるような説明(または情報)を追加してみてください。そうすることで、志望度や熱意の高さを伝えられます。

面接は、学生と企業のコミュニケーションの場です。丸暗記ではなく、面接官と会話のキャッチボールができるように、志望動機の要点をまとめておきましょう。
面接で気をつけたい志望動機の話し方・答え方
初めての面接……。正しい言葉遣いやうまい話し方ができるか不安です。


練習を重ねることで、自然な敬語や言葉遣いができるようになります。友人などと一緒に練習したり、面接のポイントをまとめた動画などを見たりして、イメージしていきましょう!

正しい敬語を使う
面接に限らず就活などのビジネスシーンでは、正しい敬語、言葉遣いをすることが大切です。
例えば面接で出てくる言葉として、相手の企業を指す「御社」があります。御社は話し言葉、ESなどの書き言葉では「貴社」と表現します。
普段は使い分けができている言葉でも、面接で緊張をしていると、不自然な言葉になることがあるかもしれません。まずは、面接で頻出する言葉だけでも把握しておきましょう。
-
-
就活で頻出!正しい敬語一覧|間違いやすい言葉遣いを確認しよう
就活では、企業説明会や面接、メールのやりとりなど、敬語を使う機会が多くあります。ビジネスマナーのひとつとして、正しい敬語を使うことが重要です。この記事では、就活で頻出する尊敬語や謙譲語の正しい使い方、間違いやすい使い方などを解説します。
続きを見る
-
-
御社と貴社の違いは?面接や履歴書、メールでの正しい使い方を解説
面接など言葉にするときは「御社」、履歴書やメールで文章にするときは「貴社」です。言い間違えをしやすい言葉ですが、一般常識のひとつであるため、できるだけ正しい使い方ができるよう意識しましょう。
続きを見る
表情や目線にも気を配る
面接では何を話すかに加え、どう話すかも重要なポイントです。無表情だったり、目線が定まらなかったりすると、自信がないように見えてしまうかもしれません。
面接官の目や顔を見る、少し口角を上げるよう意識する、適度に相づちを打つなどして、表情や目線など、言葉以外の部分でもよいコミュニケーションができるように心がけましょう。
口癖が出ないよう注意する
「えー」「あの」などのつなぎ言葉は、できるだけ出ないようにするのがおすすめです。つなぎ言葉を何度も口にすると、話が聞き取りにくかったり、理解しにくくなったりする可能性があります。
つなぎ言葉や口癖は、本人に自覚がない場合もあるでしょう。面接の練習シーンをスマートフォンで撮影する、友人に見てもらうなどして、客観的に自分の話し方を振り返ってみると気づけます。
丸暗記せずに自然に伝える
ESに書いた志望動機を丸暗記して面接で伝えようとすると、不自然な話し方になる可能性があります。
面接では、志望動機に対して深掘りした質問や、想定外の質問をされることも少なくありません。もし丸暗記をしてしまっていると、想定外の質問に対してスムーズに回答ができなくなるでしょう。
志望動機以外でも同様に、文章を丸暗記するのではなく、キーワードまたは伝えたいことの要点だけを頭に入れることを意識してみてください。
面接で志望動機を話す長さときは何分がベスト?
面接で志望動機を伝えるときは、1分程度を意識してみましょう。1分間話した場合、文字にすると、250~300文字程度になります。
そのため、面接用に志望動機を作成する際は、300~400文字前後になるよう作成するのがおすすめです。多少であれば、文字数に過不足があっても問題ありません。

面接官から◯秒、◯分、簡潔になど指示がある場合は、それに従いましょう。
志望動機に関連する面接で頻出の質問
志望動機に関連し、面接官から次のような質問をされることがあります。質問されることを想定し、自分ならどんな回答をするかもイメージしてみましょう。
ほかに選考を受けている企業はありますか?
面接官によっては、他社の選考状況を質問することがあります。質問された場合、素直に回答をしても問題ありません。質問される前に、選考を受けている具体的な企業名を回答する必要はないでしょう。
回答例
- 「現在、2社の面接を受けています」
- 「御社と同じ◯◯業界の面接を受けています」 など
-
-
他社の選考状況の答え方|聞かれる理由や注意点を解説【就活】
就活の面接では他社の選考状況を聞かれることがあります。企業の質問意図を把握したうえで状況に合わせた回答を用意しておくことが大切です。この記事では、他社の選考状況を聞く企業側の意図や回答のポイント、状況別の例文などを紹介します。
続きを見る
入社後に挑戦してみたいことはありますか?
入社後に挑戦してみたいことは、企業研究を十分に行っていないと回答が難しくなります。質問されることを前提に「こんなことをしてみたい」とスムーズに伝えられるよう、練習をしておきましょう。
回答例
入社後は御社の営業部に所属し、製品やサービスの価値を最大化することに尽力したいです。
プライベートの趣味で、御社が個人向けに展開している「◯◯(商品名)」を活用しており、1ユーザーとしての経験も役立つと思います。
また、市場動向や顧客ニーズの把握を通じて戦略的な提案を行い、御社で活躍したいと考えています。チームで行う業務のなかでコミュニケーション能力を向上させ、高い営業成績を残し、御社の営業部で成績1位を目指したいです。
-
-
面接やESで頻出!入社後にしたいことの例文と回答のコツを紹介【就活】
「入社後にしたいこと」は頻出質問ですが、具体的な内容を考えるのは難しいかもしれません。自分がなりたい人の歩んできたキャリアを見て、今の自分に足りないものを補うことを「したいこと・やりたいこと」として考えるのもおすすめです。職種・業種別の「入社後にしたいこと」の例文も紹介しています。
続きを見る
◯年後のビジョンを教えてください
「5年後のビジョンを教えてください」「10年後はどうなっていたいですか?」など、将来どんなことをしたいか、どんなポジションにいたいかを質問されることがあります。
「入社後に挑戦したいこと」同様、その企業についてある程度把握していないと回答ができないため、企業研究を十分に行うことがポイントです。その企業で働いている人のインタビューなどを見ることで、将来の自分をイメージしやすくなるでしょう。
回答例
私は就職して10年後には、御社で営業部のエキスパートとしての実績を重ね、営業チームを牽引するリーダーになりたいと考えています。
そのために、まずは御社のサービスの理解を深めたうえで、顧客のニーズを的確に捉え、信頼関係を構築できる営業を目指します。
将来的には、チーム全体の目標達成に向けてメンバーの育成や戦略立案にも積極的に取り組み、御社のさらなる成長を目指したいと考えています。
-
-
【例あり】キャリアビジョンとは?考え方5ステップ、就活面接での答え方を解説
キャリアビジョンとは、仕事における将来の目標のことです。キャリアビジョンは就活の面接でも聞かれることがあります。この記事では、キャリアビジョンの考え方などを詳しく紹介します。職種別の例文も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
続きを見る
面接でうまく話すには練習を重ねることが大切!
魅力的な志望動機を作成したあとは、面接を想定した練習をすることが大切です。練習を重ねることで、志望動機を通して自分の魅力をスムーズに伝えられるようになります。
本番では、実際の面接官を目の前にする、ほかの学生がいるといった、練習とは違う環境になるでしょう。練習を重ねておくことで、本来の力を発揮しやすくなります。
友人と練習をする、キャリア支援センターなどで相談、練習をするなどして本番に臨みましょう。
-
-
本番前にやりたい面接練習!一人でできるやり方や練習しないデメリットも解説
面接の練習をすることで、本番の緊張を軽減できるメリットがあります。練習相手がいなくても、面接練習アプリやYouTubeのシミュレーション動画を活用すると、本番のような練習ができます。
続きを見る

各業界の志望動機は、こちらで紹介しています!
-
-
建設業界の志望動機はこう書く!面接やESで差がつくポイントや例文を紹介
建設業界の志望動機では、業界研究・企業研究を行なったうえで、建設業界を選んだ理由と、その企業を志望する理由を明確に伝えましょう。この記事では、志望動機を作成する際のポイントや注意点、職種別の例文などを詳しく解説しています。
続きを見る
-
-
食品業界への志望動機の書き方とポイントを解説!職種別の例文集あり
食品業界の志望動機は、その企業を志望する理由だけでなく、「なぜ食品業界を選んだか」を具体的に述べることが重要です。この記事では、食品業界の志望動機を書くときのポイントや構成、職種別の例文などを詳しく紹介します。
続きを見る
-
-
公務員の志望動機の書き方と例文集!差別化するためのポイントも紹介
公務員の志望動機を作成する際は、自己分析や仕事内容を深く理解し、オリジナルエピソードを交えると効果的です。本記事の例文を参考に、自分にしか書けない志望動機を作成してみましょう。
続きを見る
-
-
【例文8選】接客業の志望動機の書き方|何を書くか迷ったときに考えたいこと
接客業の志望動機を考えるときは、エピソードを深掘りすること、将来のビジョンも伝えることが重要です。「好きだから」という理由だけでは熱意が十分伝わりきらない可能性もあるため、オリジナリティーのある内容を意識してみましょう。
続きを見る
-
-
金融業界の志望動機はこう書く!構成や差別化のコツ、業種別の例文を紹介
金融業界の志望動機を作成する際は、業界全体の特徴を深く知ることが重要です。金融業界のおもな業種や企業が期待している人物像を確認し、自分の強みが金融業界でどのように発揮できるかを明確に記述しましょう。
続きを見る
-
-
IT業界の志望動機の書き方!差をつけるコツや例文、文系向けのアドバイスも紹介
IT業界の志望動機は、企業の特徴や求める人物像と自分のスキルの共通点と、入社後にどう活躍したいかを具体的に伝えることが大切です。この記事では、IT業界での志望動機の考え方や書き方のポイントを、例文を交えて詳しく解説します。
続きを見る
よくある質問
面接で志望動機を話すときは、どれくらいの長さがいいですか?
1分程度を意識してみてください。1分間話すと250~300文字になります。志望動機を作成する際の、文字数の目安にしてみましょう。
面接官から指示があったときは、指示された時間に従います。
面接で志望動機を伝えるときの、答え方のポイントを教えてください
面接では、「何を伝えるか」のほかにも、「どう伝えるかが」が重要です。志望動機を伝えるときは、次のポイントを意識してみましょう。
・正しい敬語を使う
・表情や目線にも気を配る
・口癖が出ないよう注意する
・丸暗記せずに自然に伝える
それぞれのポイントの詳細は「面接で気をつけたい志望動機の話し方・答え方」で紹介しています。
面接で伝える志望動機は履歴書と同じでもいいですか?
面接で伝える志望動機は、履歴書やESと同じ内容で問題ありません。
ただし、履歴書やESに記載した内容を丸暗記し、そのまま話すことは避けましょう。丸暗記をすると、深掘りした質問などイレギュラーな質問に回答するのが難しくなる可能性があります。
志望動機が思い浮かびません。どうすればいいですか?
志望動機が思い浮かばないときは、次のような順番で考えてみましょう。
・自分の価値観や企業選びの軸を明確にする
・志望企業ならではの強み・魅力を洗い出す
・自分が志望企業で働くべき理由を考える
・入社後の活躍を考える
それぞれのポイントは、「0からできる!面接で伝える志望動機の考え方」で詳しく解説しています。
避けたほうがいい志望動機はありますか?
次のような内容は、ネガティブな印象になるため、志望動機では避けたほうがよいかもしれません。
・どの企業にでも当てはまる内容
・他社を貶める内容
・給与・福利厚生のみに興味を抱いている内容
・志望企業への憧れだけで完結している内容
・「学びたい」という気持ちだけが強い内容
・他人を中心とした理由になっている内容
詳しい理由は、「志望動機に入れないほうがいい内容」で紹介しています。
監修者情報

監修者:遠藤 美穂子さん
新卒で東京三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行、営業店・本部にて法人営業に携わるほか、新人研修講師、採用面接官も経験。
現在はキャリアコンサルタントとして大学での就活支援、キャリア系講義、社会人向けのビジネスマナーやキャリア開発研修などを行っている。
資格:国家資格キャリアコンサルタント/2級キャリアコンサルティング技能士