企業によっては、面接でプレッシャーを与えるような態度や仕草、発言をされることがあります。このような面接スタイルを「圧迫面接」といいます。
厳しい質問や威圧的な態度を取られると「自分が否定されているのでは」と不安になるかもしれません。しかし、すべての圧迫面接が学生を攻撃する目的で行われるわけではなく、企業がストレス耐性や対応力などを知るために実施している場合もあります。
この記事では、圧迫面接の特徴や企業が行う理由、面接でされる厳しい質問例とその対処法などを詳しく解説します。
この記事でわかること
監修者からのコメント

これから面接を受けるという時、「圧迫面接だったらどうしよう」と不安になる人もいるかもしれません。意図をもって圧をかける場合もあれば、ハラスメントに近い場合もあります。どのようなことが起こりうるか事前に想定し、その場で慌てず対処できるようにしておきましょう。
圧迫面接とは
圧迫面接とは、面接官が学生へプレッシャーをかける面接スタイルのことです。具体的には、回答を否定されたり、無表情・無反応で面接を進められたりといったことがあります。
企業によっては、圧迫面接をあえて取り入れていることもあり、必ずしも「面接官が学生を嫌って攻撃している」とは限りません。意図的な圧迫面接だけでなく、面接に慣れていないことから、無自覚に圧迫面接のような対応になってしまう可能性もあります。
企業が圧迫面接をあえて取り入れる意図
企業が圧迫面接をあえて取り入れる意図としては、次の3つが考えられます。
ストレス耐性を確認するため
社会人になると、顧客からのクレーム対応や上司からの厳しいフィードバックなど、強いプレッシャーにさらされる場面があります。企業によっては、プレッシャーのかかる状況でも冷静に職務を遂行できる人に入社してほしいと考えているところもあるでしょう。
そのため、あえて否定的な言葉や強い口調で面接を行い、学生が落ち着いて対応できるかどうかを知ろうとして、圧をかけるような面接を展開することがあります。
感情のコントロールと論理的思考力を確認するため
予期せず否定されたとき、人は感情的になりやすいものです。そのような状況でも感情をコントロールしながら、筋道を立てて自分の考えを伝えられるかを知ろうとしている可能性もあります。
例えば「その程度の成果では弱いと思いますが」といわれたとき、感情的に反論するのではなく、落ち着いて根拠を補足できる人は、ビジネスの現場でも信頼されやすいと考えられます。
予想外の事態に対する対応力を見るため
ビジネスの現場では、想定外のトラブルや急な方針転換に対応しなければならない場面があります。
予想外の質問や理不尽に感じる発言をあえて投げかけることで、学生がどのように対応するかを知ろうとしているのでしょう。

ハラスメントへの意識が高まる昨今、昔ながらの圧迫面接は大きく減少しています。ただし、反応を見る目的で、あえて厳しめの質問が続く場合はあります。深掘りを圧迫と捉えすぎず、質問に誠実に向き合う姿勢で臨みましょう。
圧迫面接の特徴は2つ
圧迫面接の特徴は「態度・仕草によるもの」と「質問・発言によるもの」の大きく2つに分けられます。
具体的に、どんな態度や質問があるのか確認してみましょう。
態度・仕草によるもの
言葉ではなく、態度や仕草といった非言語コミュニケーションによってプレッシャーをかけるケースです。言葉で厳しく指摘されなくても、威圧的な雰囲気にプレッシャーを感じる場合があります。
具体例
あからさまに無視をする
- 一切目を合わせない
- わざとらしく大きなため息をつく
- ほかの作業をしているような態度をとる
威圧的な姿勢をとる
- 腕組みをして背もたれにもたれる
- 机を指でコツコツと叩く
- 貧乏ゆすりをする
質問・発言によるもの
言葉で直接的なプレッシャーを与えるケースです。プレッシャーがかかる状況でも、論理的に考え、冷静に対応できるかを知るために、このような質問や発言をしている可能性があります。
具体例
発言を否定する
- 「それは誰でもできます」
- 「うちの企業には合わないと思いますよ」
- 「それ、社会に出たら通用しないでしょうね」
回答に対して何度も質問を重ねる
- 「なぜ?」
- 「どうしてそう思ったのですか?」
- 「ほかには?」
挑発的な問いかけをする
- 「あなたを採用するメリットって何だと思いますか?」
- 「その程度の経験では活躍は難しいと思うけどね」
ただし、圧迫面接の内容によっては法的に問題となりえるものもあります。
詳しくは「これは違法かも?不適切な圧迫面接の見分け方」で解説しています。
面接でされる厳しい質問例とその対処法
面接では、次のような厳しい質問をされることがあります。
このような質問をされた場合の対処法とあわせて、詳しく見ていきましょう。
「それって誰でもできることですよね?」
自己PRやガクチカに対して、ほかの学生と比べるような発言をされることがあります。
このような質問には、感情的に反論せず、いったん受け止めたうえで、自分ならではの工夫を補足するのがポイントです。
対処法(答え方の例)
- 「たしかに似た経験をされた方もいると思いますが、私の場合は〇〇という点で工夫しました」
- 「表面的には同じように見えるかもしれませんが、〇〇という壁があり、それを乗り越えるために△△しました」
- 「ご指摘のとおりです。ただ、そのなかでも特に△△の部分は自分なりに考えて行動した結果だと思っています」
「なぜ?」を繰り返される
ひとつの回答に対して「なぜそう思うのですか?」「それはなぜですか?」「ほかには?」と何度も深掘りされるパターンです。論理の一貫性や思考の深さを知るために質問されることがあります。
答えに詰まったときは無理に話を続けようとせず「少し整理してお答えしてもよろしいでしょうか」など、一度話を整理する一言を挟むと落ち着いて話しやすくなります。
また、理由を順序立てて説明することを意識すると「なぜ?」と繰り返し質問されても答えやすくなるでしょう。
対処法(答え方の例)
- 「少し整理してお答えしてもよろしいでしょうか」
- 「理由は大きく2つあります。1つ目は〇〇、2つ目は△△です」
- 「恐れ入りますが、もう一度ご質問の意図を伺ってもよろしいでしょうか」
「あなたを採用するメリットはありますか?」
直接的に自分の価値を問われる、答えにくい質問です。この質問には、自分の強みと企業側のメリットをあわせて伝えるのがポイントです。
対処法(答え方の例)
- 「〇〇の経験を通じて培った課題解決力を、御社の業務で活かせると考えています」
- 「即戦力としての実績はまだありませんが、〇〇に取り組んできた粘り強さは、長期的に活躍するうえで発揮できる強みだと考えています」
- 「入社直後は覚えることも多く、すぐに貢献するのは簡単ではないかもしれませんが、〇〇という姿勢を強みに、一日も早く成果を出せるよう尽力したいと考えています」
「その経験、社会に出たら通用しないでしょうね」
社会人として経験のある面接官だからこそ、学生に厳しい意見を伝えることがあります。指摘を一度受け止めたうえで、前向きに話を展開してみましょう。
対処法(答え方の例)
- 「ご指摘のとおり、学生と社会人では求められるレベルが異なると思います。その経験を踏まえ、社会人としては〇〇を意識して取り組みたいと考えています」
- 「貴重なご指摘ありがとうございます。だからこそ、入社後は御社の環境でさらに鍛えていきたいと考えています」
- 「おっしゃるとおり未熟な部分もあると思います。ただ、学び続ける姿勢は変わらず大切にしたいと考えています」
これは違法かも?不適切な圧迫面接の見分け方
いくら「ストレス耐性を見るため」とはいえ、面接官が何を聞いても許されるわけではありません。
厚生労働省の指針でも不適切とされている内容があり、度を超えた圧迫面接は、不法行為(民法第709条・第719条)として損害賠償の対象となる可能性があります。
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
民法 709条(不法行為)
数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。
民法 719条(共同不法行為者の責任)
正当な範囲を超えた「不適切な圧迫面接」の例としては、次のようなものがあります。
不適切な圧迫面接の例
学生の人格や存在そのものを否定するような発言
「君はどこに行っても通用しないよ」
「親の顔が見てみたいね」
「そんな考え方だから今までダメだったんじゃないの?」
業務上の能力とは無関係な、本人の属性に踏み込んだ発言
「女性なのにそんな仕事ができるの?」
「外国籍だから日本語での仕事は難しいんじゃない?」
「出身地が◯◯だから、そういう考え方なの?」
学生が萎縮している状況で、さらに追い打ちをかけるような発言
「何もいえないなら、もう面接を続ける意味はないね」
「黙っていても何も伝わらないよ。答えられないの?」
「そのまま黙っていても時間の無駄だよ」
厳しい質問を乗り越えるための心構えと対策
厳しい質問をされると、焦りや不安から本来の力を発揮できなくなることがあります。しかし、事前に心構えや対処法を知っておけば、落ち着いて受け答えしやすくなります。
ここでは、厳しい質問に対応するために、心構えや対策を確認しておきましょう。
「これは確認のための質問だ」と捉え直す
厳しい質問をされると「自分が否定された」「攻撃されている」と感じやすくなります。しかし、その質問は個人への攻撃ではなく、企業が用意した確認のための質問と捉えることも大切です。
「これはあらかじめ想定された質問のひとつだ」と一歩引いて客観的に捉えられると、怒りや不安などの感情に振り回されにくくなります。面接官の言葉を「自分自身を否定するもの」ではなく「企業が学生について知るための質問」と受け止める意識を持つことが、冷静さを保つ第一歩になるでしょう。
ある程度は厳しい質問を想定しておく
圧迫面接で動揺するおもな原因のひとつは、予想していなかった質問や状況に直面することです。事前に「こういう質問が来るかもしれない」と想定しておくと、いざ質問されたときに落ち着いて答えやすくなるでしょう。
準備することの例
【想定】「それって誰でもできますよね?」といわれる
【対策】自分ならではの工夫を一言で伝えられるようにしておく
【想定】「なぜ?」を3回以上深掘りされる
【対策】理由を順序立てて説明できるよう、自分の経験を整理しておく
【想定】「あなたを採用するメリットは?」と聞かれる
【対策】自分なりの答えをあらかじめ考えておく
第一志望の企業の面接前に、キャリア支援センターや就職エージェントを活用して、あえて厳しく深掘りされる模擬面接を経験しておくのもおすすめです。
厳しい質問は感情ではなく「型」で対応する
厳しい質問をされると、焦りや驚きから感情的に反応してしまうことがあります。しかし「冷静になろう」と意識するだけでは難しいため、あらかじめ決めておいた型に沿って対応することが大切です。
否定されてもすぐに反論せず、まずは「ご指摘ありがとうございます」「たしかにそうですね」と受け止めてから話すことを意識してみましょう。
例えば「ご指摘ありがとうございます。少し整理してお話しすると、私の場合は〇〇という点でほかの方とは違う工夫をしました」のように「受け止める→整理する→伝える」の流れを意識すると、冷静に対応しやすくなります。
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圧迫面接を受けたかも?面接後に振り返りたい判断軸
時代背景やコンプライアンスの観点から、意図的な圧迫面接は企業イメージの低下や学生の辞退につながるおそれがあるため、実施するリスクがあると考えられています。
面接官による人格否定や、あまりに理不尽な暴言を受けた場合は、入社後も同じような対応を受ける可能性があります。違和感を覚えたときは、無理に選考を続けず、辞退を検討することもひとつの選択肢です。
面接の辞退・継続を判断する基準
圧迫面接を実施した企業が、必ずしも労働環境が過酷な企業とは限りません。しかし、圧迫面接があったことで「辞退したほうがよいか」と迷うこともあるでしょう。
その場合、次の観点で振り返ってみる方法があります。
| 辞退を検討する場合 | 継続を検討する場合 | |
|---|---|---|
| 質問の対象 | 人格や容姿など 本人の属性への攻撃だった | 能力や経験への指摘だった |
| 再現性 | 説明会やほかの選考でも 同様の雰囲気があった | 圧迫的な対応をしたのは その面接官だけ |
| 態度の一貫性 | 厳しい質問のあと最後まで 威圧的な態度が続いた | 最後にフォローの言葉があった |
| 自分の納得感 | 「ただ攻撃された」という 印象しか残らなかった | 厳しさはあったが 「成長を期待されている」 と感じられた |
これらを踏まえて「鍛えられる環境」だと前向きに捉えられそうか「このままでは入社後も苦しい」と感じるかを、自分なりに整理してみましょう。
圧迫面接などを受けたときの相談先
圧迫面接を受けて「辞退したほうがよいか」「気にしすぎなのか」と悩んだときは、信頼できる人に相談して意見を聞くことも大切です。例えば、次のような場所や人に相談できます。
| 相談先 | 特徴 |
|---|---|
| 学校の キャリア支援センター | 選考状況を踏まえた 客観的なアドバイスがもらえる |
| 就職エージェント | 同じ企業を受けたほかの学生の 口コミや傾向を知っている場合がある |
| OB・OG、先輩 | 実際の社風や働く環境について、 リアルな情報を聞ける |
| 家族や友人 | 気持ちを言葉にして話すことで、 冷静さを取り戻すきっかけになる |
違和感を一人で抱え込まず、誰かに話してみることが、後悔のない選択につながるでしょう。
面接でハラスメントにあたるような言動を受けた場合は、都道府県労働局へ相談することも可能です。

ハラスメントにあたる行為については、厚生労働省の「就活ハラスメント対策リーフレット」も参考にしてみてください。
よくある質問
Q1.圧迫面接とはどんな面接ですか?
面接官が学生へプレッシャーをかけるスタイルの面接のことです。具体的には、学生の回答を否定したり「なぜ?」と繰り返し質問したりします。
企業によっては、プレッシャーがかかる状況でのストレス耐性や対応力、感情のコントロール力などを知るために、選考の一環として実施している場合もあります。
一方で、面接官が無自覚に圧迫面接のような対応をしてしまうこともあるため、必ずしも「学生を攻撃するために行っている」とは限りません。
Q2.圧迫面接はパワハラ(ハラスメント)ですか?
すべての圧迫面接がただちにパワハラに該当するわけではありません。しかし、正当な範囲を超えた言動は、ハラスメントにあたる可能性があります。
人格否定や差別的な発言、家族や思想に関する質問などは不適切であり、民法上の不法行為として損害賠償の対象となる可能性がある深刻な問題です。
Q3.圧迫面接が怖いです。どうすればいいですか?
まずは「これは確認のための質問であり、自分自身が否定されているわけではない」と捉えることが大切です。そのうえで、想定される厳しい質問への答え方を事前に練習しておくと、落ち着いて対応しやすくなるでしょう。
実際に面接を受けて、社風が合わないと感じたり、過度な苦痛を感じたりした場合は、選考を辞退することもひとつの選択肢です。
監修者情報

監修者:遠藤 美穂子さん
新卒で東京三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行、営業店・本部にて法人営業に携わるほか、新人研修講師、採用面接官も経験。
現在はキャリアコンサルタントとして大学での就活支援、キャリア系講義、社会人向けのビジネスマナーやキャリア開発研修などを行っている。
資格:国家資格キャリアコンサルタント/2級キャリアコンサルティング技能士
