就活の面接では、自己PRや志望動機といったよくある質問だけでなく「苦手な人はどんな人ですか?」という少し変わった視点の質問をされることがあります。答え方によってはネガティブに聞こえることもあるため、どう答えたらいいか悩む方もいるでしょう。
苦手な人に関する質問では「どんな人が苦手か」よりも「苦手な人との関わり方」が重要です。質問の意図を理解したうえで、これまでの経験や今後の対処を踏まえた回答を考えてみましょう。
この記事でわかること
- 面接官が「苦手な人」を聞く理由は、学生の性格や苦手な人との接し方を知るため
- 苦手な人が見つからない場合は、過去の経験を振り返るなどして回答を考える
- 「苦手な人」を答えるときは、まず結論述べてから、理由や入社後の対処法を伝える
就活面接で「苦手な人」を聞く意図とは?
面接官が「苦手な人はどんな人ですか?」と質問する意図は、おもに以下の3つが考えられます。
学生の本当の性格や価値観を知るため
志望動機や自己PRといったよくある質問は、ほとんどの学生が事前に回答を考えてくるでしょう。そこで、面接官は「苦手な人」という違った角度からの質問をすることで、学生の素の部分を見出そうとします。
「苦手な人」は、本人と逆のタイプであると認識されることがあります。例えば「時間にルーズな人が苦手」という答えた場合、学生は「自分は時間をきっちり守るタイプである」と捉えられることもあるでしょう。
苦手な人との接し方・付き合い方を知るため
企業で働くと社員や取引先の人など、さまざまな人と関わる機会があるため、苦手な人と働く可能性があります。仕事をするうえでは、どんなに自分と合わない人であっても、うまく付き合いながら業務を進める必要があります。
面接官は苦手な人に関する質問をすることで「入社後に苦手な人と関わることになったら、どう対処するのか」を確認しています。苦手な人との関わり方を明確に答えられないと「苦手な人とのコミュニケーションを投げ出してしまうのでは」と不安に感じられるかもしれません。
苦手な人を答えるだけでなく、その人に対してどう関わるかを明確にしましょう!
社風や社員との相性を確かめるため
苦手な人を聞くことは、社風や社員との相性を確かめるためでもあります。社内の人と合わなかったり、トラブルになったりすると早期退職につながることも考えられます。
学生にとっても、入社後に上司や同僚となる人が苦手な人だと、仕事がうまく進められなかったり、人間関係に悩んだりする可能性があります。
社風や社員と学生の相性を確かめることは、企業にとっても、学生にとっても大切です!
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「苦手な人」の回答を考えるときのポイント
「苦手な人」の質問に対する回答は、自己分析で苦手な人を明確にしたうえで、これまでの経験を振り返り、入社後の対処法を考えます。
自己分析で苦手な人を明確にする
苦手な人を明確に伝えるには、自己分析を通して自分を理解することが重要です。「なんとなく苦手」のようにあいまいにしておくのではなく、「なぜ苦手なのか」「どういった場面で苦手と感じるのか」を掘り下げていくことで苦手な人・苦手な理由が明確になります。
苦手な理由が複数思いついた場合は、ひとつに絞ることもポイントです!
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苦手な人がわからないときは?
苦手な人がわからないときは、以下のような方法で考えてみましょう。
- 過去にトラブルになった経験を振り返る
- うまく付き合えなかった人を振り返る
- 自分の長所から考える
- 友人や家族に相談する
過去にトラブルになった経験やうまく付き合えなかった人を振り返ると、苦手な人が見えてくることがあります。
苦手な人は、自分の長所と逆の人であるケースがあります。例えば、自分の長所が「気遣いができること」である場合、逆の特徴である「気遣いができない」「自分勝手」といった人に対して苦手意識を持っているかもしれません。
友人や家族に「自分が苦手だと感じる人の特徴」や、「自分の性格に合わないタイプ」を聞いてみることも有効です。
苦手な人との接し方を振り返る
これまで苦手な人と関わることがあったときに「自分がどう対処したか」「その人から学んだことはあるか」などを振り返ってみましょう。
面接官は、苦手な人の特徴そのものよりも「苦手な人とどう関わるのか」を重視していることが考えられます。
例えば、自分の意見を押し付けるような人が苦手な場合であれば、「まずは相手の意見をしっかり聞き、対話を重ねることで、お互いの理解が深まるように努力している」といった対処法を伝えられます。
入社後をイメージし、苦手な人との接し方や工夫を考える
入社後に苦手な人と一緒に働くことになったり、取引先や顧客に苦手な人がいたりするケースも少なくありません。入社後の姿を想像して、どう関わっていくか、どう工夫するかを考えましょう。
「苦手な人」を聞かれたときの答え方
「苦手な人」に関する質問には、以下の流れで回答すると話がまとまりやすくなります。
結論:苦手な人を述べる
まずは「私が苦手な人は、◯◯な人です」といった結論を述べましょう。結論から話すことで、伝えたい内容が端的に相手に伝わります。また、結論を先に伝えることは、後に続く内容が冗長的になることを防ぐ目的もあります。
理由:なぜ苦手なのかを述べる
「なんとなく苦手だから」などの曖昧な理由は避け、「なぜ苦手と感じるのか」という具体的な理由を伝えることが大切です。
例文
意見が違うとすぐに反論する人とは、うまくコミュニケーションを取ることができないことがあります。すぐに反論する人がいることで、周りの人が萎縮してしまい、物事の進捗にも影響を与えてしまうからです。
実際に対処したエビソード:苦手な人との付き合い方を述べる
苦手な人がいても、歩み寄ろうとした姿勢を伝えることが大切です。過去に実践した改善方法であれば、具体的なエピソードを交えて伝えるとよいでしょう。
例文
自分の意見をすぐに反論されて悔しい思いをすることもありました。しかし、私は「意見を言ってくれてありがとう」と伝えることを心掛けました。そうすることで、相手も私の意見を少しずつ聞き入れてくれるようになりました。
入社後の対処法:仕事上での苦手な人と接し方や工夫を述べる
苦手な人との付き合い方や改善した努力を、入社後にどう活かすのかを伝えると、入社後もしっかりビジョンをもって働く意思があると判断されやすくなります。
例文
入社後の仕事において、自分の意見を否定されることはあると思います。そんなときは、相手の意見を受け止め、感謝の気持ちを伝えたうえで「よりよい方向に進めるにはどうしたらいいか」を考えていきます。
【タイプ別】「苦手な人」を聞かれたときの回答例文
1.ネガティブな人
例文
私が苦手な人は、ネガティブな人です。ネガティブな人と一緒に仕事をすると、気持ちが沈んでしまい、やる気が失われることがあります。
そういったネガティブな人との付き合い方については、まずは相手の話をしっかり聞き、理解することが大切だと考えています。そのうえで、相手の気持ちを汲み取り、ポジティブな言葉やアプローチで対応するようにしています。
入社後にも、私はポジティブな姿勢を持ち続け、周りの人たちと協力しながら、目標達成に向けて努力することを目指しています。ネガティブな状況でも、前向きな考え方や解決策を見出す力を身につけ、職場全体の雰囲気を明るく維持することができるよう努めます。
2.協調性がない・自己中心的な人
例文
私が苦手な人は、協調性がない人です。チームでの仕事を行う際には、メンバー間でのコミュニケーションや協力が不可欠であり、協調性がない人がいるとチーム全体の業務の進捗に影響が出ることがあるからです。
大学時代にもそのような人に出会いましたが、そのときにはまず相手の意見や考え方に耳を傾け、それを尊重することを徹底していました。相手とのコミュニケーションを大切にし、問題が生じた場合には率先して解決策を提案するなど、積極的に対処するよう心掛けています。
入社後においても、協調性を大切にし、周りの人たちと協力して目標達成に向けて取り組みます。また、チームでの業務の進捗を考慮しつつ、各自が持つ得意分野を生かし合いながら、より効率的に仕事を進められるように努力します。
3.高圧的・自己主張が激しい人
例文
私が苦手な人は、高圧的な人です。高圧的で自己主張が激しい人がいると、常にその人の目や顔色をうかがってしまうからです。
大学時代にアパレル販売員のアルバイトをしているときに、そのような人と働く機会があり、緊張感から接客がうまくできずにいました。その人との関わり方を先輩に相談したところ、接し方のアドバイスをしてもらい、徐々にコミュニケーションを取れるようになってきました。高圧的で自己主張が激しいと思っていたけれど、コミュニケーションを取るうちに、私の意見も聞き入れてもらえるようになりました。
入社後においても、相手の顔色をうかがうだけでなく、苦手な人にも少しずつ歩み寄り、ときには周りの人を頼りながら進められるように努力します。
4.時間にルーズな人
例文
私が苦手な人は、時間にルーズな人です。チームなど、複数人で何かに取り組むときに、時間にルーズな人がいることで進捗に影響が出てしまうからです。
大学で所属していたダンスサークルでは、練習の時間に度々遅れてくる人がいました。周りに支障が出ない日は遅れてもあまり気にしないようにしましたが、大切な練習があるときは、時間について話し合う機会を設けました。いつも遅れてしまう理由を聞いたうえで、遅れないようにする対策を一緒に考えたことで、だんだんと時間通りに来てくれるようになりました。
入社後においても、時間にルーズなことで周りに迷惑をかけてしまう人がいたら、まずは相手の話を聞いて、一緒に対策を考え、業務をスムーズに進められるよう努力します。
5.挨拶ができない人
例文
私が苦手な人は、挨拶ができない人です。こちらから挨拶をしても返してくれない人がいると「無視されてしまった」と思い、気持ちが沈んでしまうからです。
大学の研究室で、「おはよう」と声をかけても目を合わせてくれない人がいました。とても残念な気持ちになり、それ以降私からも挨拶をしなくなりました。しかし、あるときその人と話していると「集中していると周りが見えなくなってしまう」という話を聞きました。それから、挨拶ができない人に出会ったときは「何か理由がある」と考えるようになりました。
入社後において、挨拶ができない人はあまりいないかと思います。もし挨拶できない人がいたら、「挨拶してくれないから私もしない」ではなく、別のタイミングで話しかけるなどして、相手を知ることを心掛けます。
6.気分屋の人
例文
私が苦手な人は、気分屋の人です。気分屋で、機嫌や意見が日によって変わる人と一緒にいると、自分自身が混乱してしまうことがあるからです。
大学時代のアルバイト先でも、業務を教えてくれる先輩がそのような人で、聞いている内容が機嫌や気分によって変わることがありました。最初は戸惑うことが多かったのですが、自分なりに整理してみようとマニュアルを作成し、細かい内容までメモを取り、確認するようにしました。そうすることで「どっちが正しいんだろう?」と不安になることがなくなり、スムーズに業務を進められるようになりました。
仕事において、相手の意見をしっかり聞き入れることはもちろんですが、振り回されすぎず、自分のなかで整理して確認を取ることを心掛けます。
7.悪口を言う人
例文
私が苦手な人は、悪口を言う人です。人の悪口を聞いていると、ネガティブな気持ちになってしまうからです。
大学時代の友人と話しているときに、その場にいない人の悪口が話題になることがありました。聞いていると気持ちが沈んでしまうので、悪口を聞くだけではなく「問題を解決する方法」を考えることにしました。「こうしたらいいんじゃないかな?」と意見を言ううちに、周りにも納得してもらえて、ポジティブな話し合いに変わってきました。
入社後も、もし悪口を言う人がいた場合は、人を責めるのではなく「解決する方法」を考えて、ポジティブな雰囲気を作っていきたいと考えています。
8.無責任な人
例文
私が苦手な人は、自分の発言や行動に責任を持てない人です。物事において「やります」と言っていたのに、やらずに放置してしまう人がいると「責任を持ってやってほしい」と思ってしまいます。
大学の文化祭の実行委員をしていたときに、同じ実行委員のなかにそのような人がいました。立候補した役割がなかなか進まず、本番が近づくにつれて不安な気持ちになりました。そこで私は、その人が持っている作業と進捗具合、残っている作業を一緒に確認し、人員を増やして配分しなおすように提案しました。話を聞くと、アルバイトが忙しく思うように進んでいなかったことがわかりました。人員を増やしたことで作業が終わり、無事に本番を迎えられました。
入社後においても、無責任な人はいるかもしれません。それでも、ただその人を責めるのではなく、どうしたら解決できるのかを考え、スムーズに業務を進められるように努力します。
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「苦手な人」を聞かれたときは正直に答えて問題ありませんが、以下のような回答は避けることが大切です。
「苦手な人はいない」と答える
苦手な人が見つからないからといって「苦手な人はいません」と答えると、「自己分析が不十分なのでは」と判断されてしまう可能性があります。
面接官は苦手な人を知ることだけが目的ではなく、「苦手な人とどう関わるか」を知りたいと考えています。質問の意図を踏まえたうえで、苦手な人に関する回答を考えてみましょう。
対処法として「その人とは関わらない」「距離を置く」と答える
仕事をするうえで「苦手な人とどうしても関わらなければいけない」というシーンは少なからずあります。
「その人とは関わらない」「距離を置く」などの回答では、「コミュニケーションをとるため努力や工夫ができないでは」と感じられてしまうかもしれません。
どんな人ともコミュニケーションを取り、適切に対応できるように取り組んでいる努力や、工夫していることをアピールしていきましょう。
苦手な人の特徴や苦手な理由を長々と述べる
「苦手な人の特徴」や「苦手な理由」を長々と述べてしまうと、悪口のように聞こえてしまう可能性があります。相手を攻撃するような内容や、偏見のある内容は避ける必要があります。
ネガティブな発言はできるだけ避けて「どのように接しているのか」といったポジティブな発言に焦点を当てた回答を心掛けましょう。
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よくある質問
面接で「苦手な人がいたらどうするか?」と聞かれた場合どのように答えればいいですか?
面接で回答する「苦手な人」を考えるときは、以下のポイントに注目してみましょう。
- 自己分析で苦手な人を明確にする
- 苦手な人との接し方を振り返る
- 入社後をイメージして、苦手な人との接し方や工夫することを考える
詳しくは「「苦手な人」の回答を考えるときのポイント 」で解説しています。
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詳しくは「就活面接で「苦手な人」を聞く意図とは?」で解説しています。
就活面接で「苦手な人」を正直に答えると、マイナスに評価されそうで不安です。
面接官は「誰しも苦手な人はいる」という前提で聞いています。「苦手な人」を正直に答えても、苦手な人との付き合い方・接し方を明確に述べられれば問題ありません。
就活面接で「苦手な人」を聞かれたとき、伝えてはいけない内容はありますか?
苦手な人や苦手な理由として、「身体的・差別的な内容」を答えると、差別的な人であると捉えられる可能性があります。例えば、容姿の特徴や血液型など、外見に関わることや本人の意思とは関係ないことなどは避けるようにしましょう。